花言葉 ワレモコウ

 日差しは暖かいのに風が冷たいと、服装に困りますよね。この時期は、比較的ニットのワンピースを着ていることが多いんですが、ストールを羽織るかジャケットを着るかで悩みます。もう少し寒くなると、ストールだと寒くて耐えられなくなるんでしょうね。


 冷たい風を感じながら歩いていて思ったんですが、あちこちにサルビアが残っているんですよね。夏から秋にかけて咲くイメージがありますが、意外と寒さにも強いんですね。それとも、今年は比較的暖かい晩秋だからでしょうか。


 11月19日の誕生花の『ワレモコウ』も、サルビアほど鮮やかではありませんが、秋らしい赤い花です。

 小さな花が集まって、もこっとした形に風情を感じます。日本や中国、韓国、シベリアが原産国になるようですね。古くから薬に使われたり、和歌や俳句に詠まれるように、日本でも馴染みのある花です。


 源氏物語にも出てくるんですよ。

 物語に出てくる匂宮は、匂いのしない女郎花オミナエシなどには見向きもせず、芳香のある花を好んだという設定です。その文中に花の名前が上がる中に「ものげなきわれもかう」とあります。現代風にいえば「映えないワレモコウ」と言ったところでしょうか。

 見映えよりも、香りの良し悪しが匂宮には重要だったのですね。


 ワレモコウの香りを、私は嗅いだことがないのですが、茎や葉が良い香りがするため吾木香ワレモコウと呼ばれるようになったという話もあります。

 バラ科の植物ですし、ふわりとよい香りがするのかもしれませんね。

 ちなみに、花姿はバラとは似ても似つかずですが、その葉が少し苺に似ているんですよ。


 もう一つ、花の名前の由来があります。

 その花色は何色かと話していたら、花が「我もまた紅なり」と言ったという伝えがあります。そこから、吾亦紅ワレモコウと呼ぶようになったと言われています。


 さて、『ワレモコウ』の花言葉は『変化』『もの思い』『愛慕』です。

 ワレモコウの花姿は、小さな花が集まって固まっているのですが、その先端から少しずつ花を咲かせるのも特徴の一つです。固まりの上から下に向かって花が咲いていく様子が、変化という花言葉になったと言われています。

 また、華やかさがなくとも、趣のある花姿が風になびく姿から、しっとりと、もの思いにふける姿や、温かな愛慕を連想したのではないでしょうか。


 シックな赤が秋らしいワレモコウ。もし見かけたら、その揺れる姿に思いを馳せてみるのも良いかもしれませんね。

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