4日目
わたしの目の前には美しい女の死体がある
彼女は崩壊してゆく。
昨日までは気が付かなかったが、首から耳の後ろにかけて皮膚がどす黒い紫色へと変色している。
死斑という言葉は知っていたが、なんとなく殺人事件でしか起こらないのだと思い込んでいた。
唇や目の周りなどの柔らかい組織はカサブタのように乾き、赤黒く変質したままだ。
青髭のように見えた顔色は、緑色の範囲が一気に広がり、目、鼻、口をなぞるように顔の中心部が濃く変色していた。
高い鼻梁は重力により下に引き下げられ、鼻の軟骨の形が浮き出てきたように思える。
若いのか老婆なのか、美しいのか美しくないのか、果たして本当にここにいるのは本当に亡くなった彼女なのか。
現実逃避だとはわかっているが、彼女が彼女ではないものに変貌していくことに恐怖を感じる。
臭いがどんどん強烈になる。
どこからかハエが入り込んでいたので、彼女に近づく前に叩いて潰した。
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