第329話 城完成
今回は事前に連絡を入れていたのもあるし、悲しいかな今のサラは俺が傍にいる方が
妊婦というのはそういう物なんだろうか? 今度シャーロットに相談してみよう。前世も入れて60年以上生きていて初めての経験だから、分からないことだらけだし、年を取ってからの子供は異常に可愛いというのを聞いたことがあるから、今の俺はそういう状態なんだろうか?
「お帰りなさいあなた。今回も色々あったみたいですね」
「色々と言うか、急にレベル上げがあっただけなんだけどね。それ以外は初めから公開するものだったかね。あぁフランクが余計なことを言ったから飛行船を急遽作ることに成ったね」
「でもその飛行船は売らないんでしょ?」
「うん売らないよ。三機目はどちらかと言うとグラン家に使って貰おうと思っているんだ」
これはフランクのレベルの高さと子供達の為が一番の理由。次にやはりこのままだと家族の寿命が大きく違ってきそうだから、その調整の為。
「あなたの計画ではもっと増やすんでしょ」
「そうだね。後ニ、三機は欲しいね。出来たら大型も早いうちに作りたいと思っている」
「小型は魔境の家でも作れますが大型はどうするんですか?」
「それは今考えているけどまだ決めていないよ」
本当はもう決めている。サラには内緒だから今は言えないだけ。サプライズだからね俺達の城のことは……。
帰還した翌日からまた俺は城作りを再開した。サラに言えなかったように、城には俺専用の研究施設も作る予定。当分は此処が俺の拠点に成りそうだからね。そうなれば魔境の森の家を賢者たちに自由に使って貰おうかとも思っている。
何故そう思うのか、それはこれから俺とフランク達賢者の接点が減ってくると思うから。全く会わないという事では無いが、彼らは彼らの道を進んで行って貰う時期に来ていると思うからです。この世界の仕組みも大体分かったし、いろんな考えも出来るように成ったので、今が独り立ちの良い機会だと思う。
俺が国王として歩み出すのも理由の一つ。彼らに手伝って貰えればこの国の発展は早いし、良い物に成るでしょうが、それではこの国を作るのがこの国の住民ではなくなる。此処の住民がこの国を作ることに意味があるのだから、これ以上は彼等の助けを貰ってはいけない。
ユートピアに帰還して10日後、漸く城が完成した。
「これならサラも喜んでくれるよね。多分この世界の人が見たらぶったまげる物が出来たからね。後はどうお披露目するか」
城のお披露目ならやっぱり建国宣言の時だよな。その方が国民に良い印象を与えることが出来る。自分達の国の国王は凄い人だと思ってもらえるし、国民も自信が持てる。過去が物凄く辛い生活だったからこそ、希望を与える事で気持ちもより前向きになる筈だから、建国宣言と共に建国祭をやろうと思う。
城が完成して三日後、ロベルト達が戻って来た。
「陛下只今戻りました。陛下より指示された事全て終えたことを此処に報告いたします」
「ロベルト、相変わらず堅いな。もう少し崩して話しなよ。こちらまで堅苦しくなるから、勘弁してくれ」
「ですが……」
「いいの、俺がそうしてくれと言っているんだから」
「分かりました。出来るだけそうします」
「それで、戸籍の方は完成したのね。それと俺が国王になることの承諾はとれたのかな?」
「勿論完成しましたし、陛下が国王に成ることに誰一人承諾しないものなどいませんでした」
まだ堅いけどこれ以上言ってもしょうがないから、今はこれぐらいでいいや。そうなると次は役人と議員選挙だな。さてこれをどうするか?
「役人の募集はまだ言ってないんだよね?」
「いいえ、募集がある事と誰でも応募できることは言ってあります。読み書き計算が出来なくても良いと」
「それなら、告知しようか。我こそはと思う人は10日後に王都エデンに集まれと」
「本当に良いのですか? 読み書き計算が出来なくても」
「問題ないよ。俺の試験に合格すればね」
問題は議員の方か、こちらは読み書き計算は出来ないと困るし、それなりの人望と知識は欲しい。
「ロベルト達の他に読み書き計算ができる人はこの国にどれくらいいると思う?」
「そうですね……、三分の一。大体6000人ぐらいでしょうか」
そうすると全人口は20000人位という事か。あれ? ミル村の方はどうしたんだ?
「ロベルトミル村の方は調査したの?」
「はい勿論やりましたよ。ミル村の村長にも会って来ました」
ミル村に行くにはトンネルを抜けなくてはいけないし、抜けてからは特に護衛がないとロベルト達ではきついだろう。そこはどうしたんだ?
「護衛は必要だったでしょ。そこはどうした?」
「そこはご親切にグラン殿がサイラスさんを貸してくれました」
成る程そういう事か、グランは今酒作りに没頭してるから此処での護衛は必要ないもんな。サイラスならこの辺の魔物に後れを取ることもないしな。
「話を戻すけど三割が読み書き計算が出来るとして、その中に人望とそれなりの知識のある人はいるかな? 出来たら10人位」
「どう思う皆? 俺達の知っている中でそんな奴いるか?」
「ロベルト流石に10人はきついんじゃないか。読み書きは別にしても計算までと成ると厳しいと思うぞ」
「俺もそうだと思う」
ロベルトとラング、マッドの三人が言っている感じだと人望はあるが読み書き計算に不安がある人がいるという事だ。それなら今回は人望、言い換えれば人気投票でも良いか。この土地の過去からすれば只の人気投票にはならないだろう。
「あぁ言うのを忘れていたけど、元第一村はファースト村、第二はセカンド、第三はサード村と命名しておいたからこれからはそう呼んでね」
「おぉ~~、村に名前が付いたぞ! これは皆にしらせてやらねば」
「その時に役人募集の告知と村と町の代表を各二名選んで欲しいんだ。投票でね」
「陛下、投票とは何ですか?」
選挙何て知らないだろうから投票も当然知らないよね。
「投票というのは……」
「成る程、投票とは村の代表を村民で選ぶという事ですね。紙に名前を書いて」
前世の選挙なら立候補者に投票するパターンだが、今回の選挙はどちらかと言うと、学校なんかの立候補者がいない時に行われる、人気投票のような物。
初めての選挙だからこれが限界だろう。今は能力よりも人望がある方が良い。言い方は悪いがそう言う人達の方が俺は扱いやすい。
いずれは自分達で国を動かしてもらう事になるが今はそんな段階ではないので、住民に人気があって俺の命令に従順な方が良い。
「それとこれから三人は色々と今まで以上にやって貰いたいことが増えると思うから、補佐役のような人を雇ってくれる。給金はちゃんと払うから」
「それは役人や代表とは別にということですね。それだと自分の知り合いで良いという事ですか?」
「勿論、人選は三人に任せる。能力的には君達を補佐できればそれで十分」
「それでは新たな陛下のご命令を遂行するため下がらせて頂きます」
堅~~い! 途中良くなっていたのに始めと最後は物凄く堅く締めたな。
こうなると、いよいよ法律も作らないといけないな。先ずは憲法の部分を俺が作ろう。その後の法律は他国の法律を参考に憲法に合うように皆で決めれば良いな。
この世界にも六法全書見たいなものはあるんだろうか? 先ずはそれを探してみるしかない。お義父さんやカルロス、ビクター辺りを総動員すれば何とかなるだろう。
クルンバじゃ無理でもアクイラなら本ぐらい輸送できるだろうから、手紙と一緒に送って返事を待とう。
お義父さんは流石に一度ラロックに戻らないと無理だから、また送り向かえしないといけないかな。ん? いや、お父さん達はいずれ帰るんだよな。ラロックに屋敷があるんだから。でも今の様子を見ていると帰りそうもないんだけど、どうするんだろう?
屋敷には従者達もいるから、そう簡単には動けない筈。それに王宮より良い屋敷なんだからそれを放棄はしないだろう。
だけど……、城を見せたら……。
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