第298話 混乱
魔力濃度が濃い場所までには少し濃い場所が暫く続くから、そこでレベル上げをしても良いのだが、今回はお義母さんのお肌ぷりぷりが大きな目的だから、パワーレベリングの方が効率が良いので、魔力濃度が濃い場所まで一気に進む。
「あなた、あそこに目印が見えます。この辺りからもう魔力濃度は濃い筈ですよ」
「そうだね。そしたらここから少し内陸に入ってみますか」
「おぉ~いよいよだね」
「お義父さん此処では着陸しませんから、直接魔物と戦う事は有りませんよ。此処に来る前に話したでしょ。ある程度レベルが上がらないと先ずここでは戦えません」
「そんなに厳しいかね」
「人のレベルと魔物のレベルは違いますからね。同じレベルなら確実に人の方が弱いです。ただ人は魔法や強力な武器でその差を埋めているから戦えるんです」
その強力な武器を持っているのがフランクとロイス、だから今回の旅の後には必ずと言って良い程お義父さんに武器をねだられると思っている。目の前で見れば当然欲しくなるよね。しか~~し、今回もしサラが皆の前で魔銃を使ったらそれどころではなくなるから、それだけはやめて欲しい。
本人は使わないと言っていたけどさてどうなるか? 使う方に一万円! もし誰かと賭けをするなら俺はこう賭けるよ……。
「強力な武器? あれかねサイラス達が使ってるという魔法武器というものかね?」
「そうですね。あれもその一つです」
「何か意味ありげな言い方だね。その一つというのは……」
お義父さん今はそれ以上突っ込まないで、どの道、後で見ることに成ると思うから、今はパワーレベリングで我慢して!
「それじゃ今回も前と同じ方法で行きますから、魔物がいたら此処に準備している石を魔物に投げてください。それとあらかじめ言っておきますが、レベルが急激に上がるので、体がついて行かず倒れることがありますからそこだけは注意してください。サラお義母さんは頼んだよ」
「はい、任せてください。婆やの時に経験していますから大丈夫です」
「そう言ってたら早速いましたね。あれはビッグラナレベル10ですからこの辺りだと弱い方でしょうね」
ラナと皆には言ったけど、どう見ても前世でいうカエルです。俺の鑑定にはこの世界の呼び方も出てくるのでその呼び方で皆には教えました。
「おいおい、ラナって軽く言ってるけど、あれの物凄く小さい奴はラロックにもいるぞ。ユウマは見たことないのか?」
勿論、俺は見たことがあったが、前世でいう食用ガエルとして日本で食べられていたウシガエルぐらいの大きさなので、魔物だとは思っていたけど気にしていなかった。
「見たことありますよ。それにラロックには数はいないでしょ」
「確かにそう頻繁に見るものではないな。それに今は違うが以前はスライムのいる所にいる可能性が高かったから、皆よりつかなかったしな」
そう昔はスライムの使い道がなく、めんどくさいだけの魔物だったから好き好んでスライムが多くいる所何て誰も行かないから、当然ラナを見る機会も少ない。ただね俺の鑑定にはあのビッグラナは食用とやっぱり出てるのよ。そうするとラロックにいるラナもその可能性が高いという事になる。
これは皆に知らせるべきだろうか……?
カエル肉が美味しいのは知っているけどどうするかな? クロコダイラスも未だに俺のインベントリで眠っているままだし、ワニ肉パーティーもしてないのに、カエル肉パーティーは無理だろうな……。
やれるとしたら、何の肉か分からないように、から揚げにして出せば何とかなるかな? でも繁殖が上手くいったらガルスの肉も流通するように成るだろうから、鶏肉だと嘘を付けないから、結局何の肉か問い詰められるよな……。
ん~~~、これではどうしようもないじゃないか。最終的には言わなければいけなくなるなら、やはり最初に言うべきか? 同じ魔物ならレベルが高い程、美味しいんだからワニ肉もカエル肉もガルスより上手いんではないだろうか? アニメなんかだとワイバーンも美味しいというのが通説だから、十分あり得る。
「あ・な・た、何ブツブツ言っていますの。皆さん準備できていますよ」
やべ、またブツブツ言っていたのか、今回は周りに誰もいなかったから聞こえなかったんだな。あぶね~~、今の話を聞かれていたら、俺の信用丸つぶれだ。騙して食わそうなんて言っていたんだから。
「それじゃ、何個でも良いですから当てられるだけ魔物に石を投げてください。最後は俺が止めを刺しますから」
おぉ~~、どうした? 何だこの殺気めいたものは。確かに何個でも良いとは言ったが、この数は多過ぎだろう。一人最低でも20個ぐらいは投げてるぞ……。
「は~~い、もう良いですよ。それじゃ止めを刺しますね」
何時ものようにレーザー魔法でヘッドショットを決めてビッグラナは簡単に討伐できたのだが、レベル10の魔物なのに、お義母さんがいきなりふらついた。
「え? もうですか? サラ、お義母さんは大丈夫?」
「大丈夫です。直ぐに私が支えましたから」
「そう言えばお義母さんのレベルって幾つだったんですか?」
マジに失敗したな。初めに鑑定で確認しとけよ俺。身内の事になると鑑定をいつもかけ忘れる。いつもこんなだからメンバーのスキルが増えている事にも気が付かないんだよ。正直ひとのステータスどころか自分のでさえ最近は殆ど見てないからな。この間、虫の知らせのような感じで久しぶりに彫金のスキルが発現した時に見たぐらいだ。
「母のレベルは確か3ぐらいじゃなかったでしょうか?」
レベル3! いやいや今じゃ学生でもそんなレベルの人いないよ。でも確かにエリーも初めはそんなもんだったな。今高齢の人は皆そんなものかも知れない。まして貴族の令嬢だもんな当然と言えば当然か……。
倒れる位レベルが上がったんなら幾つになったんだろう?
「それは倒れるはお義母さんの今のレベルは7、一気に4も上がっている」
それじゃ他の人は? フランク29、ロイス27、サラ32は変動なし、スーザンが1上昇で14、残るお義父さんはレベルが9で2上昇。
あれ? エリーは?
「エリーさんはレベル変わらなかったんですか?」
「はい、私は石を投げていませんから」
はぁ? 何で? エリーが石を持っていたのは見たぞ……。
「あなた、婆やは母に石を渡していただけです。だからレベルは変わりませんよ」
そういう事か、それで5の壁も通り越して7まで一気にレベルが上がったんだな。これってやっぱり以前考えていた攻撃した量で配分が変わっているというのが正解のようだ。
「お義母さんが回復するまで少し時間が掛かるでしょうから、俺は魔物を回収してきますね」
「ユウマ、回収するのか? あれを餌に他をおびき寄せた方が良いんじゃないのか?」
確かに以前はそうしたけど、今度のビッグラナはクロコダイラスと違って皮が弱いから、皆食べられてしまうのでもったいない。クロコダイラスは表皮が堅いから普通の魔物では歯が立たないからあの時は放置出来ただけ。
「もうちょっと表皮が丈夫で食えない魔物ならそうしますが……、やべ!」
「食えない魔物? ユウマそれってビッグラナは食えるという事か?」
「え、え~~、食べれますよ。以前倒したクロコダイラスも……」
「あれもか! 確かにあれは表皮が物凄く硬そうだったが、食えるのか……」
しまったな、いらぬことを口走ってしまったよ。俺がどうしようか迷っていた状態で、食用ならもったいないと思ったのが間違いだった。
「それは後でゆっくり話しますので今は休憩していてください」
魔物の回収の為に高度を下げて、飛び降りてから今回久しぶりに確認したフランクとロイスのレベルの事を考えていた。
フランクのレベルを最後に確認したのはもう相当前だよな。さっき話題に出たクロコダイラスの時以来だ。あの時確か27まで上がっていた筈なのに、今29というのはほとんど伸びていないな。5の壁というのもあるだろうが、あの若いダンジョンではフランク位のレベルになるともう厳しいんだな。
サラでさえ俺とこの間高魔力帯に行ったにも関わず今32だからやはりこれも5の壁が相当きつかったんだろう。
ロイスは多分フランクがレベル上げをしてる時に他の事をやっていたんだろうな。ティムした魔物の訓練とか……。
まぁレベルの事はこれぐらいで良い。本命はこの後どうあの魔物が食えると説明するかだ。ホーンラビットを食べていたんだから、前世の感覚で言えばウサギがOKならワニもカエルもOKだろうと言いたいが、この世界ではウサギは当たり前でもワニとカエルは違うからな……。
フランスではエスカルゴ、中国ではヘビ、犬、猫、コウモリ。他の国では猿なんていう国もあったんだから、何でもありと言えばありなんだがこればっかりはな……。
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