第265話 披露宴パーティー
とうとうやってきました結婚式当日。ケーキ作りに、最終打ち合わせと忙しい日々も今日で終わり。これさえ終われば少しはゆっくりできるかな?
自分でフラグを立てている段階で無理だという事は確定しているのだが、それでも一区切りは付けられる。これから先はまた違った人生のスタートだ。
結婚式は通常通りラロックの教会で挙げました。これは単なる儀式的なものですから、神様の前で二人が結婚した事を報告するだけで、特別なことは特にありませんでした。
嫌、無いというか当然やることはあったんですよ。特別ではないというだけでね……。
そう、あ・の・ち・か・い・の、キ・キスという物はありました。そりゃ顔から火が出るほど恥ずかしかったですが、儀式と言われれば仕方がないのでやりました!
一世一代の勇気を振り絞ってやらせて頂きました! 元日本人の交際歴もない俺ですから、衆人環視の中でのキスがどういう物か分かる人には分かる筈。これ程勇気のいるものは今までどんな魔物と戦う時も必要の無かった物です。
キスの後の教会での儀式の事は正直全く覚えていない程、頭が真っ白になっていました。儀式が終わって披露宴会場に向かう時にフランクから背中をはたかれるまで朦朧としていたぐらいです。
「ユウマさん、これで正式に夫婦ですね。これからよろしくお願いいしますね」
「こ、こちらこそ宜しくお願いします」
何なんだろう? 昨日までは婚約者だったからそこまで実感というかそういうものがあまりなかった。どちらかというと友達の延長線上のような感じだったんだが、今は責任と言えば良いのか分からないが、サラを全く違う意味で見ているように思う。
一番近い言葉だと、サラの人生も俺の人生に乗ったという感じかな?
だからこそ今その重みを感じている。決して軽い物ではない。俺の人生の生き方がサラの人生にまで影響するのだから……。これが家族を持つという事なんだな。
俺に第二の人生をくれた両親もこんな重さを感じながら生きてきたから、最後の願いがこれだったのかもしれない。
『父さん、母さん、見ているかどうかは分からないけど俺結婚したよ。きっと喜んでくれているよね。俺頑張るから……』
今回の結婚披露宴は本来お義父さんの屋敷でやるつもりだったんですが、物凄く多くの人が来てしまったので、急遽野外での披露宴パーティーに変更しました。普通はダンスパーティーのような物を開くそうですが、今回はそういうのは止めて食事会のような物に替えました。
どちらかというと前世の立食パーティーのような感じです。王家や貴族もいるのでそちらはお父さんの屋敷でやって貰って、それと同時進行で野外でも多くの人に食事を振舞う形にしました。
こうする事で、俺達が一か所に留まっていなくてすむので、貴族たちから逃げられるからです。その分食事に力を入れていますから、食に注意を引くことも出来るので、絡まれる心配も少なくなる。
今回のメイン食材はあのマルリンです。勿論、玉子料理も振舞いますが、マルリンの刺身は物凄く美味しいからインパクトがあると思います。インベントリで解体した後こっそり試食してみたんですが、これがもう前世のマグロの大トロ何て目じゃない程美味しくてびっくりしたんです。
玉子料理も当然びっくりするでしょうが、それはあくまで新しい食材としてです。マルリンはそれとは違って味という面でびっくりする美味しさなのです。
今回の結婚式に多くの冒険者も参加しているのはどうもサイラス達が使っている魔法武器が話題に成っているかららしいです。冒険者も当然情報には敏感ですから、このラロックで使われている魔法武器の出所が俺だと調べが付いているようで、それならという事で集まったみたいです。
今まで色んな物がラロックから発信されてきていることはこの国の人間なら誰でも知っている事。その中心が俺だと多くの人に知られているという事です。
色々やっていますから、グラン商会を隠れ蓑にするにはもう限界が来ている。王都の孤児なんかも連れて来ていますからね。仕方がないです……。
それでもこんな事はこれが最後です。これからは賢者候補や見習い、王家が中心になってやって行ってもらうつもりです。だから今回多くの事を公表するし、多くの事を丸投げするのです。
俺の存在は知っていても表には今後出ないから自然に影のフィクサーのように成る。それが今回が最後という意味になるのです。
結婚後は森の家と島、ユートピア、ミルで多くの時間を過ごすつもりですから、殆どの事はこの世界の人に動かしてもらう。俺が中心ではなくなるという事です。間違った方向に向かうかもしれませんがそれもこの世界の人が決めたこと。
これからどう文明を進めるかはこの世界の人達が決めれればいい。俺はその手伝いと俺自身の為というか俺の好きに生きるという事です。サラも一緒にですが……。
披露宴も盛り上がった所で王家や貴族の前で巨大ウエディングケーキにナイフを入れて、それを振舞い。野外でもそれと同じことをやってケーキを多くの人に食べて貰いました。
その時にこのケーキの作者はケインだと公表して玉子料理やケーキなどの事はケインに聞いてくれというように誘導した。ゆるせケイン! これからは全てこういう方法を取って行く。ネタ元は俺だが公表者は全て別の人という方法にするのだ。
それが王家である場合もある。本当に全て丸投げするのです。だからビクターにも多くの事を公表したし、俺達が島から帰還した時もダンジョンなど全てを公表した。
隠し事をするから俺がいつまでも関わらないといけない。それなら全てを公表すれば俺はそこまででその後の事は俺の責任ではない。
俺の人生の再スタートにはこれぐらいやらないと変化が起こせない。やりたいことがまだまだあるし、関りを持ったばかりの場所が二か所もあるから、この国ばかりに関わっていられない。ここから先は大陸全部、もしくは世界全体が相手です。
これからも色々あるでしょうがもっと俺の人生は面白くなる。そういう区切りを付けられる披露宴は夜遅くまで続いた……。
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こんな書き方をしたら最終話の様ですが、そうではありません。一部完という感じですね。次回からは第二部スタートです。
ユウマの世界はもっと広がります。
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