第246話 ガルスは何処へ
案の定、俺達がまた出掛けると言ったら、フランクがぶつぶつ、ねちねち言ってきたが、全て無視してサラとエリーを連れて俺の家にGO!
「ユウマさん良かったんですか? フランクさん相当拗ねていましたけど」
「良いんですよ。フランクさんは最近いつもそうですから。それにこれからは俺離れをしてもらわないと困るんです。賢者として一人でやって行かなければいけないんですから」
最近のフランクは魔法やスキルを覚えたこともあって、そちらに関して興味が物凄く強いのと、俺といると面白い事が起きると思っている節があるから、少し遠ざけないと色々な面で困る。
戦闘狂、ブラコン(偽)、スリル依存症、こんな感じになっている。その割に国とかとの交渉事とかは嫌がるから、そこは俺に似てきている。
「ところでユウマさん、私まで付いてきて良かったんですか?」
何をおっしゃるエリーさん。あなたが付いてこないと後が怖いんですよ。あなたも含めてね。本人の前では言えないけど……。
「エリーさん、当然じゃないですか。貴族令嬢が婚姻前に男と二人きりに成るのは拙いですから、エリーさんにはご一緒して頂かないと」
エリーには体裁の良い返事をして、そこは何とか俺の本心を気づかれないようにした。
エリーはレベルは上がっていると言っても高齢なので、俺の家までは何時ものように俺が背負って身体強化で向かう。
「アクイラ達ちゃんとついてきていますね」
そう、俺の家に置いておくはずだったアクイラは、今現在俺が全て管理している。当然連れてくるはずじゃなかったので、アクイラを見たビクター、グラン、お義父さんは当然欲しがるし、旅に同行しなかった賢者候補のニックとスーザン、見習い達も欲しがった。
見習いのマーサ何て、王女の権力を使おうとしたからね。確かにかっこいいもんな。
ただおかしいと思うでしょ。なぜ連れて来てるのか? それは俺達が帰れなかったからです。本来は毎日通う予定だったのに、ビクター達のお陰で帰宅できず。結果として、俺が全てのアクイラをティムしなおして、当分の間俺が管理する事になった。
勿論、旅に同行した人にはそれぞれで管理して貰う方法もあったんだけど、そこは他にも欲しがる人がいるのに、その人達を無視する訳にもいかないから、一度白紙に戻して再度数を揃えてからティムするという事にした。
だから、今回の旅には10羽全て連れて行くという超めんどくさいことに成ってしまったのです。まして本来の目的であるガルスの捕獲を後に回して、フリージア王国の視察を先にして、帰る時にガルスとアクイラを追加でティムしなくてはいけなくなった。
帰る時の飛行船の中と外はガルスとアクイラで一杯に成る可能性が大……。
ということで、今回の旅の最初の目的地はフリージア王国に決まった訳ですが、何故かサラがソワソワしてるんです。
そこは俺もサラの性格がかなり分かってきているので、何を考えてるのか分かるんだけど、さてどうしたものか?
「サラ、もしかして島に行きたいんじゃない?」
「な! 何故分かるんです?」
流石に俺だって成長するんですよ。いつもはサラに俺の心の内を読まれていますが、ここまであからさまに態度に出ているサラを見ればいくら鈍い俺でも分かります。
「島に何しに行きたいんですか? まさか真珠じゃないですよね?」
「そのまさかです」
何故? だってあの時エマと物凄い勢いで捕獲してたよね? いくら研究の為とはいえ当分は必要ないでしょ。
「当分研究する分は確保できているでしょ?」
「それが……、グランさんと母に……」
ちょっと待て、エマじゃなくグランとお義母さん?
「エマさんじゃないんですか? どうしてグランさんとお義母さんが?」
「エマさんも当然欲しがったんですが、それ以上にグランさんと母が欲しがりまして、仕方がないので私の分を分けてあげたんですが……」
サラが言うには、どうしてグランが欲しがったかは、いつものように酒がらみでした。毒耐性の付与は比較的難しくなく出来たので、それを知ったグランが酒に弱い人、二日酔いの酷い人に売りつけて、酒をもっと売れるようにしたいという事でした。
それなら、ロイス用に開発した薬があるから、必要ないだろうと思ったのだが、酒に弱い商人や貴族は元々酔ってはいけない場面があるので、重宝するそうだ。
もう一人のお義母さんはというと、これがまた飛んでもないことに使いたいらしい。それが何と! UVカット結界……。それを聞いた時の俺? どうやってそんな事思いついたんだよ? でした。
エマは確かに結界に関して色々と研究していたけど、まさかこんなことを思いつくなんて! 確かに結界には魔法と同じで色んなイメージを付けらる。極端に言えばどんなものでも究極的には付けられる。
勿論、その内容によっては、多くの魔力量が必要になるが、ただ今回のUV結界魔法は以前結界による毒物を防ぐ方法を作った時の応用らしくて、比較的簡単に出来たそうだ。
それも、魔石より真珠の方が付与しやすく効果も良かったので、アクセサリーとしても珍しいから需要があるという事だった。
だけど、根本的にどんなイメージをしたんだろう? 紫外線(UV)なんてこの世界の人は知らないはずだ。それなのにどうやって? その答えは……、聞いた見ればごく簡単でした。
日焼けを防ぐ結界、そのイメージで成功したそうです。付与が成功した両方の真珠をグランが鑑定したら、グランとお義母さんの希望通りの付与に成っていたので、量産することに成り、今回の追加捕獲を依頼されたそうです。
サラの分をあげたけど、それでも足りないというのは真珠の例の色の違いに関係していました。毒耐性とUVカット結界の魔法に適してる色があったのです。だから限定的な色の真珠が大量にいるという事。
真珠の色には同じものがないけど、それでもどちらかと言えばピンクというような大体の色分けは出来るから、その分類的にという事らしいが、それでも……。
「でも、サラそれは難しいんじゃない? 色は今の所ランダムだよ。どの色が取れるかはまだ研究もしていないから、希望通りの色の真珠を数集めようと思えば、その何倍もの真珠を捕獲する必要があるよ」
「そうなんですよ。だからこそ余計に言い辛くて……」
そりゃそうだよな。それだけ集めようと思えば一日や二日では終わらない。まして前回かなり乱獲して得るから、どれだけ取れるかも分からない。
真珠の養殖が始まれば可能だろうが、それでも色を限定するとなると、どうして色に違いが出るのかを研究しなくてはいけない。元々真珠の研究は10年単位で掛かると結論を出しているのだからこの依頼は元から無理がある。
多分、俺ぐらいの魔力量と習熟度なら少しぐらい色が違ってもごり押しして作れるだろうが、俺はやりたくない。
それなら、魔魚の魔石を属性変化させて、大きさは大きくなるかもしれないけど、その方が大量に作れると思うな。
多分魔石より真珠の方が効果が良かったのは、属性に偏りが少ないからでしょう。魔石の方はこちらもまだ研究が足りていないが、その逆で偏っていると思えば、納得が出来る。
真珠は属性変化が出来るか試していないが、多分無理なんじゃないかと思う。そうなるとまた疑問が出てくる。魔石の色って殆ど変わらないんだよね。どちらかというと、魔素の濃い所のレベルの高い魔物の魔石の色が濃いくらいで殆ど赤系統。
それなのに、属性を変えようとすると、魔物の種類によって時間が変わる。
マジでこれ本気で研究しないと、無駄な努力もするし、出来たから正しいとは言えなくなる。
魔力量や習熟度でごり押しできるからね。魔石も真珠も……。
「ユウマさん、駄々洩れだったので、理解は出来ましたが、結果的にどうするんですか?」
いや~~、またかよ……。俺のこの癖何とかしなくちゃ……。まぁどの道答えは出ていないから、取りあえず島に行ってから考えるとしか答えようがないんだが。
行く前からこれじゃ、目的のガルスは確保できるんだろうか?
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