第243話 計画変更? 


「サラ、どうしようか? 結婚式何時にする?」


「それなんですが、ちょっと近いうちとは行きませんよね?」


 そうなんだよな。元々は結婚式の為に鶏の魔物ガルスと米を手に入れる為にビーツ王国に行ったのに、島は見つけるは、俺としては初めての人殺しまでやってしまった。


 他にもこれでもかという程の発見もあったから、結婚式を今やれるような状況じゃないんだよな。それにあれからどうなってるのか気になるユートピアの件もあるから、出来るだけ早くもう一度、島とユートピアには行きたいんだよな。


 当初の計画だと結婚式の後に、国王やカルロス達を森の俺の家に招待して色んなことを暴露する予定だったけど、ビクターの動きが早かったことで計画を初めから練り直す必要が出てきた。


 暴露はフランクやビクター達に任せる事にしたから、俺がその場にいる必要がないし、どうせなら結婚式も二人だけでやっても良いくらいだ。だけど流石に貴族のサラにそれはさせられない。ドレスも注文してるらしいからね。俺もそれに合わせて、簡単なデザイン画を描いて、タキシードを頼んである。


 このタキシードもひと騒ぎあったから着ない訳にはいかない。この世界の貴族の正装はどちらかというと、ヒラヒラのついた中世風の衣装だから、俺の頼んだシンプルなデザインは斬新だったらしい。


 そのせいでそのデザインを見た仕立て屋がデザインを売ってくれと言うし、他にもあればと言われたので、普通のスーツタイプと、軍服に飾りが付いたようなものを書いて渡したら大喜びで、これまた特許申請するという。


 嫌々、俺はデザイナーに成りたい訳じゃないんだよ。だからそれを断ろうとしたんだけど、仕立て屋曰くいわく特許制度が広まって料理のレシピも登録されるようになったお陰で料理の開発が進んでいるから、服飾業界もその波に乗りたいので、是非登録してくれという事だった。


 確かに特許制度にはそういう効果がある。新しい物を作ればそれがお金に成るのだから、ただ作って売るだけよりデザインを改良されてもお金に成るようにした方が作り甲斐がある。


 まして特許料を払いたくないなら、自分が新しいデザインを作れば良いのだ。その結果相乗効果で料理のレシピのように新しい物が生まれる。


 前世でもファッションの世界は凄い競争があった。そしてその中からブランドという物まで生まれ、文化の発展に相当貢献していた。


 この世界に今はミニスカート何てないけど、この先女性の肌の露出が増える可能性もあるのかな……。


「ユウマさん! 何、にやついているんですか?」


「いや、結婚式のドレスのとこと考えていただけですよ。あれを着たサラはさぞ美しいだろうなと思って」


 いかんな、最近水着の時でもそうだったが、女性に対して良からぬ妄想が強すぎる。前世ではミニスカート、ショートパンツ、へそ出し何て普通だったから気にしていなかったけど、この世界にはそういう物はないから、妄想力が強くなってるのかな?


 俺って、むっつり?


「そんな~~ ユウマさんの衣装も素敵でしたよ」


 上手く誤魔化せたようで、サラは俺の返事に上機嫌で俺の衣装まで褒めてくれた。


「俺は良く分からないんですが、結婚式に招待する人って決まっているんですか? 俺はグラン一家と、賢者候補、見習いぐらいだと思うんです」


 拠点のメンバーや冒険者のサイラスなど俺と関りが深い人は本来招待したいけど、国王とか貴族が出席する結婚式には畏れ多くて、嫌がるだろうから呼ばないことにしてるけど、別に何かしようかな?


「そうですね……。グーテル王国からは遠いですから、こられても親戚である王家と父や母と親交が深かった方だけでしょうね。ただ、ユウマさんの事はそれなりに知られていますから、確実なところはまだ分かりませんね」


「招待状はどうするの? 義兄さんの事もあるから出さないのも失礼になるだろうから、普通に招待状は送るんでしょ」


「どうでしょうか? 私の場合は此処に来た事情があれでしたから、殆どあの国の貴族とは病気に成って以来疎遠でしたので……」


 生死の関わった病気だったから、本当に仲の良い人じゃないと見舞いにも来ないだろうしな。サラの返事とサラの表情からそんな人はいなかったんだろうと読み取れた。人ってそういう時に本性が出るよな。まぁ仲が良すぎて逆にという人もいるだろうが、大半は前者の方だろう。


「この国の貴族も呼ぶのかな? 俺と関りがある貴族何てビクター様ぐらいだし、王家はこれまでの事、これからの事も含めて関りが増えそうだから呼ぶとしても他の貴族は?」


「ユウマさん、学校や病院の生徒の親は来たいと思っていると思いますよ」


 そうなんだよな……。でも一応という事で招待状を出したが最後、絡んで来そうな貴族もいると思うんだよな。絡むと言うと表現が悪いが、関りを持ちたい貴族はそれなりにいると思う。異世界あるあるだからね……。


「そういうのが一番めんどくさいんですよ。生徒は良いですが、親は関係ないですからね」


 わぁ~~ めんどくさい。こういうしがらみを持ちたくないから逃げていたのに、このままなし崩し的にはしたくないから、計画を大きく変更しよう。


 計画変更と言っても、まぁ結婚式は普通にやるんですが、そこでの暴露の範囲を一気に広げようと思います。王家や一部の人だけというのを結婚式に来た人全員という事に変更する。


 これをする事によって混乱するでしょうが、その代わり俺達に干渉する暇が無くなる。俺達にはデス……。フランク達やビクターは分かりません?


 だって、結婚式が終われば俺達は新婚旅行に行きますから、パーティーの後に俺達に色々聞きたくても、ここにはいませんから聞きようがない。そうです。俺がいなければ当然その矛先はフランク達に向かう訳です。


 そしてその仲介役はビクターに成る。これぞ伝家の宝刀「人任せ」


 貴族たちだって此処に長くは滞在できませんから、フランク達には申し訳ないけど犠牲になって貰う。


 暴露の範囲を広げたら余計に俺に絡むと思うでしょうが、そうはならないと思います。新しく知ることが無ければ、当然それを利用しようと計画を立てているはず、それが急に情報が公開されることで、情報過多になり、計画自体が崩壊する。


 先ずは情報を集める。知識を得る。これをやらないとどう動いたら良いかが分からない。簡単に言うと新しい技術で新商品を出そうと計画してたら、発売寸前に新たな新技術が公開されたという事です。


 木を森に隠すではないですが、暴露で表に立つフランク達に俺が紛れる事で、俺への注目を減らし、その間に新婚旅行という逃亡を図ろうと思っています。


 魔境の森の家ではフランク達がもう普通に来れますから、飛行船で行くような場所に行くつもりですが、候補地を何処にするか悩んでいます。


「サラ、新婚旅行は何処に行きたい?」


「ん? ユウマさん、新婚旅行って何ですか?」


 そこから? あぁそう言えばこの世界にそういう風習はありませんでしたね。結婚式や披露宴は似てるけど、その後が違いました。この世界では結婚式が終われば、二人だけでもなく普通の生活に戻る。親と同居が普通で、新居何て持ちませんし、あま~い新婚生活なんてありません。


 俺の場合は家持ちですから、新居とも違いますが一応親と同居には成りません。だからあま~~い新婚生活は当然出来るので、「何」も当然やり放題。しかし、この世界の人は貴族や豪商じゃない限り家はそんなに大きくないのに新婚の二人はどうやってるのでしょう?


 嫌々、今はそんなこと考えてる時じゃない。新婚旅行の説明をしなくてはいけない。


「新婚旅行というのは、結婚した二人が初めて二人きりで旅行することですよ。あま~い時間を過ごす為の旅行でもありますね」


「あま~い時間なんて……」


 あまいという言葉に反応して、サラは顔を真っ赤にしてうつむいて言葉が最後まで出なかった。


 新婚のあま~~い時間と言えば……、俺もサラとのその時間を想像したらそれ以上は何も言えなくなった。


 R15確定?……。

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