第206話 何でもあり?
告知!
カクヨムコン9用に新作公開いたしました。宜しければそちらも宜しくお願い致します。 「転生貴族の領地改革から世界」
愛する家族の為に貧乏領地を変えていく、シスコン幼児レオの活躍をお読みください。
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「おはよう! 今日からクルンバの検証に入るから宜しくお願いします」
魚の魔石の合成も上手く行ったので、取りあえず10羽のクルンバの魔石を入れ替えたら、パニックは収まり、実験が出来るようになった。
10羽のうち5羽はグラン商会輸送部のメンバーにティムさせ、残りの5羽を俺と賢者候補でティムした。俺が3羽で、フランクとスーザンが1羽づつ。
輸送部のメンバーは毎回輸送ルートが変わる人に3羽、毎回同じ所に行っている人に2羽を任せて、色んなパターンを試す。
実験の一つは魔力の認識。10羽全部に2人以上の魔力を覚えるように命令し、魔力の認識が出来るかから始め、それが出来たら何人まで出来るかの確認をする。
「輸送部のメンバーのクルンバには必ずジーンさんの魔力を覚えさせてください」
「兄さん悪いね、忙しいのにユウマに付き合わせて」
「それは問題ないよ。クルンバの捕獲の時に何をする為に捕獲するのかは聞いているからね。ましてこれに成功したら、俺達の仕事にとって物凄く役に立つのだから協力しない訳がないよ」
先ずは顔と名前、魔力をクルンバが覚えられるかがこの実験の一番初めの要。これが出来なければこの先の実験は何一つできない。
顔は認識できなくてもまだ良いが、最低でも名前と魔力は覚えて欲しい。
今回の実験は覚えるかだけ分かれば良いので、見える距離で行う。名前を言ってそこへ行くかどうかを確かめる。
「それでは輸送部の皆さんそれぞれの場所から、一人づつジーンさんの所に行くように命令してクルンバを放ってください」
「おぉ~ すげーな。全部成功じゃないか」
「これで名前か魔力は認識してることが分かりましたね。これで見えない所からも同じことが出来れば魔力も認識してることが証明されます」
「ジーンさん、それじゃそれぞれのクルンバに輸送部のメンバーの名前を言って戻る様に命令してください」
「マジか~ 全部決まったメンバーの所に戻ったぞ! これで2人は確実に名前と魔力は認識してるという事が証明されたな」
もうひとつの実験が成功して初めて少し安心できる。それは名前も魔力も覚えさせていない人が命令できるかを調べること。基本の命令はティムした人がするが、その時に名前と魔力を覚えてる人の命令にも従えと命令するから、覚えさせていない人の命令は無視しないといけない。
「それじゃ次はロイスさんがそれぞれのクルンバに命令してみてください」
俺の言ったようにロイスは次々と移動しながら、クルンバに命令して行った。
「ダメです~ どのクルンバも私の命令には従いません」
これでティムした人の命令しか聞かないことが分かり、尚且つその命令の中に他人の命令にも従えという事も入れられるという事が証明された。
その後は名前と魔力を覚えさせる人数を増やして同じ実験をしたが結果は見事成功。今回はこの実験に参加してる人数だけだが、それでも10人以上の名前と魔力は覚えることが出来ると分かった。
クルンバって滅茶苦茶知能が高いのか? 限界はあるだろうがこの時点でもう十分過ぎるほどの結果を出している。
「次は皆さんそれぞれ決められた場所に行って、そこからジーンさんから始めて、後は魔力を覚えさせた人の名前を適当に言って命令してください」
今度は見えない場所からの実験。ラロックにあるそれぞれの施設から此処に来れるかどうかと、その逆を試す。
「おいおい、流石に一度に5羽も来られるとどうして良いか分からんな」
「兄さん、クルンバのハーレムだな。わはは!」
「笑い事じゃない。最後に来た奴なんて、乗るところがないから頭にまで乗りやがって」
見た目的には前世の畑にある案山子に群がってるカラスみたいだと、俺は思ったが口には出さなかった。言っても分からんだろうが……。
「ジーンさん次からは直ぐに送りかえしたらいいんですよ」
「ユウマ君、そういう事は初めに行ってくれよ」
「最後はどのくらいの距離から帰巣出来るかの確認と、魔力をどのくらいの距離感知できるかですね」
帰巣能力はかなりの距離でも多分大丈夫だと思うが、問題は魔力感知の距離の方だ。この距離次第で個人間のやり取りの限界が分かる。
この実験の結果は今後作りたい物の非常に参考になる。当分作る気はないけどね……。なんにでも順番という物があるから段階を踏まないといけない。途中の過程にも大事なことはあるから……。
分かり難い言い方をしてるが、前世でいう所の伝書鳩からモールス信号、無線、電話への進歩の過程の事。
そして最終的に、この世界では前世では出来ない念話も実現できる可能性があるから俺としては楽しみだ。
魔法がある世界ってどこまで出来るか想像もつかないから、本当に飽きない。ロマンがロマンで終わらない可能性の方が多いのだから……。
「それじゃ後は暫く輸送部の皆さんに運用して貰って、問題点の洗い出しをしてもらいましょう」
これで皆でやる実験は終わったが、俺にはまだやりたい実験があった。
俺には創造魔法があるから、他の人には出来ない魔法も作れる。作れないというのは言い過ぎだが、俺には簡単に作れるという事、イメージさえ出来ればね。
皆が解散して俺とサラだけになったから、創造魔法の事は言わないが、新しい魔法を実験するとサラに言って、魔法のイメージを固める。
今回作る魔法は感覚共有の魔法。クルンバと感覚を共有して空からの景色を見る事や離れた場所の音を聞くことが出来るようにする。
前世で見たアニメの従魔術にそういう魔法があったから出来ないか試したい。
イメージはアニメで出来ていたことをそのまま真似する。転移したばかりの頃は魔法という物に慣れていなかったから、どうしても物理や化学の方の知識が邪魔をして制限を自分で掛けていたが、今は魔法はイメージというのに慣れて制限がなくなって来た。
例えば、ウォーターカッターなんて初めはイメージ出来なかったから、高圧水流のような魔法だったけど、今ではアニメのウインドカッターのように使える。
だけど、それには苦労もあった。一度魔法のイメージと名前が一致してしまうと後から変えるのに苦労する。魔法に呪文がある世界では無いから、魔法名とイメージが固定化されやすいので、慣れてくると魔法名が補正するようにイメージが曖昧でも同じ魔法が発動する。
だから、魔法名とイメージを変えるのに苦労する。だけど逆にオリジナルの魔法も作りやすいという事でもある。
作りやすいと言っても俺はが付くけどね。俺には創造魔法があるから簡単に作れるが、普通の人は相当イメージが詳細じゃないと魔法は作れないが、誰かの魔法を見て真似すれば使えるようにはなるから、あくまでもオリジナルの新魔法を作るのが難しいというだけ。
これを言ったら御終いだが、魔法というのは何でもありに近いと思う。イメージ力=発想力でもあるから、俺は前世の記憶の分この世界の人が思いつかない魔法が作れる。
まぁそれでもご都合主義全開の魔法は無理だと思う。それが出来たら某アニメのネットスーパーなんていうスキルも出来てしまう。スキルも魔法だからね……。
最近の研究の成果からそろそろ本格的に魔法の開発もしたいと思っている。サラには夢の話として本を渡しているが、それだけでは限界がある。
俺の死後その本が世の中に出てもそこまで大きな影響は与えられない。なぜなら魔法はイメージだから本を読んだだけではイメージがし難い。
そのイメージをしやすくするには実物を見せるしかないが、それには俺がその魔法を使えないといけない。
以前はそこまで考えなかったが俺の魔力量もかなり増えたので、かなり高度な魔法でも再現できると思うから、これからは積極的に魔法を開発していくつもり。
時代が進んでも魔力量が俺に匹敵する人が生まれなければ、俺の開発した魔法も伝説の魔法になるかもしれないが、やらないよりは良いだろう。
今回感覚共有の魔法をやろうとしてるのにはもう一つ思惑がある。これに成功して今後転移魔法も作れたら、俺が行ったことが無くても感覚共有で見ている場所のイメージで転移出来るように成らないかという俺の希望的観測も含まれている。
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