第198話 魔法武器 2

 魔法武器を作っていたのに、新たな発見かも知れないと思うともう止まらなかった。


 人工ミスリルの画期的な製造方法が見つかるかも?


 そう思って実験を始めてもう2日、低レベルの魔石をかなり使いましたが、銀は魔銀には成れど、ミスリルにはならない。


 流石に飽きてきたので目先を変える為に、純銀のナイフを作ってそれに、高魔力帯の魔石を合成してみました。それも前回魔境探索の時に手に入れたクロコダイラスの魔石です。レベル15の魔石ですから少しもったいないかと思いましたが、好奇心には勝てませんでした。


「うひょ~~ 出来ちゃった」


 何とクロコダイラスの魔石5個で純銀のナイフがミスリルのナイフに変わりました。


「マジか~~ これ良いのか? 高魔力帯の魔石があればミスリルが簡単に作れてしまう。これはそう簡単には人に言えない。ミスリル鉱山が見つかってもだ」


 この結果はどういう事なんだろうか? 高魔力帯の魔石ならミスリルに変質するという事は、魔素の質が大きく関係してるのだろうか?


 これはもしかしたら、鉄にも高魔力帯の魔石を合成したら何か変わるのか?


 恐らくだが、銀よりは絶対魔石の量は多くなるはず。銀は鉄より魔素との親和性が高いから変質するけど、親和性が低い鉱物は変質するかどうかも分からない?


 総ミスリルのナイフは魔力を通すと恐ろしい程の切れ味だが、魔力を通さないと、強度的には鉄より劣る。それから考えると魔力を使わずに使う事も考慮すれば、鉄や魔鉄、魔鋼と混ぜて作った方が効率が良い。


 魔力が少ないなら、総ミスリルの方が消費魔力は少なくて済むが、魔力が切れた時には使い物にならない物に成る。


 ミスリルが人工的に俺なら簡単に作れることは解ったから、ミスリルの武器に関してはこれからもっと遠慮なく研究できるから、ミスリルについての研究は一応ここまでで止めておく。


 止められなくなる自信が俺にはある! 威張る事では無いが……。


 今は多くの人が生産出来る魔法武器が最優先だ。


 実験の結果、剣、槍の武器には魔法の数と魔法の種類が違うが付与は出来た。数が違うというのは、魔石のレベルが低い物や数が少ないと付与出来る魔法の数が減るという事。まして魔法の種類によって魔石がある程度ないと付与できないという事も解った。


 〇〇上昇ぐらいの付与なら魔石の数は少なくても良いが、これが不壊に成ると数が増え、斬鉄まで行くとそれ以上に成る。


 現状付与は二つが限界だが、魔石の量か質を変えたら、付与出来る魔法の数も変わるのだろうか?


 他にもエマが魔石に結界魔法を付与してアクセサリーにする実験をやってるように、剣の柄に魔石をはめ込んで魔法を付与することも出来るのだろうか?


「コミックやアニメではそういうのがあったよね。それに人への魔法付与も出来るのかな?」


 エマの実験がどうなってるか分からないけど、結界魔法は魔石に付与出来る事は分かっているから、普通に考えればそのアクセサリーは結界を張り続けるという事なんだろうが、それだと長時間は厳しいし、頻繁に魔力を補充しなくてはいけない。


 エマの研究がミランダのように成長してるなら、やり方を工夫してるかも?


「まさか魔法の改良まではできないよね? まさかね……」


 魔法の改良で思い出すのが、魔方陣魔法でティムの魔法を研究してる時に思った事だ。人には使えない従属魔法がティムだけど、改良すれば人にも使えるということを俺は知っている。


 これは魔方陣と魔法文字を研究して出来た魔法だけど、結局魔法はイメージだから、イメージでどうにでもなる。それはいくらでも魔法の改良は出来るという事でもある


 現状の魔道具は物理的にON、OFFをしてるけど、魔法自体にスイッチ的なものを組み込むことも可能なはず。物理的というのは魔石の取り付け、取り外しの事。


 付与する魔法に外部から魔力が流れたら、ON、次に流れたらOFFという魔法を組み込んだ魔法を付与すれば良い。もしくは別にスイッチの魔法を付与するのもありか?


 一つの魔方陣だと魔法が複雑になることで魔方陣が大きくなってしまって、大きな魔石じゃ無いと付与出来ないとか、レベルの高い魔石でないととか、色々変わって来て魔石の入手が難しくなり、商品が高額になるかもしれない。


 スイッチの魔法を別に付与するというのは魔方陣が二重に成るという考え方なのか、回路のように二つの魔方陣を繋ぐという方法なのか、実験してみないと解らない。


 魔法武器や魔道具の研究には付与魔法の研究は不可欠のようだ。この世界に元からある魔道具? 付与アクセサリー? の鑑定阻害の魔道具をグランが持っているから、今度鑑定させてもらおう。


 グランの持っている鑑定阻害の魔道具は常時発動してる。グランに聞いたことはないけど魔力は自分で補充してるはずだよね? そうじゃないと魔道具としておかしい……。


 ん! 嫌そうでもないか! もしかしたら魔力自動補充型の魔道具ならありか?


 魔法が複雑になれば、魔方陣は大きくなる。それが付与できる魔石は……。


「あ! まさか! 超高魔力帯の魔石? ダンジョンから出るんだからあり得るのか?」


 そうすると……、これも考えられる。ダンジョンの下層にミスリルが取れる場所がある可能性。 ダンジョンは資源の宝庫、だからダンジョンのある所に王都が出来ると以前サイラスから聞いた事がある。


 でも、サイラスからダンジョンから鉱物を採掘してるという話は聞いたことがない。もし採掘してるなら、魔鉄が見つかっていてもおかしくないよな。


 あれ? それにしてはダンジョンの魔物から出る魔石はポーションに使われていないのか? 浅い階層でも地上の魔物よりレベルが高いだろう?


 考えられることは、ダンジョン産の魔石は高値で取引されているから、ポーションなどにはもったいなくて使っていないという事だろうか? 


 俺はダンジョンの知識が少ないし、行ったことが無いからダンジョンの魔石に興味が無かったから、その辺について考えたことも無かった。


 鉱物についても、ある程度潜らないと鉱物が採掘できないなら、危険度や運ぶ量で割に合わないから誰もやろうとしないだろうな。俺がダンジョンに潜っているなら、必ず試しただろうが……。


 いかんいかん、また思考が別の方向に行ってしまった。今は魔法武器の事だけ考えなくては……。


 バトルアックスやハルバードなら部品ごとに付与すれば可能だろうから、剣と槍と変わらないと思う。


 次は盾と鎧だな。これらは大剣と同様に魔石を相当使うだろうな。それだけじゃなく付与する魔法も変えないといけない。不壊を付与しても良いが、多分衝撃は盾を持っている人や鎧を着てる人には伝わるから、人次第に成る。


 衝撃に耐えられる人というのが前提に成ってしまうから、一概に良い物とは言えない。


 それだったら、衝撃を吸収する方が人を選ばない。付与が二つ出来るなら衝撃吸収と不壊とか、魔法防御上昇、物理防御上昇、刺突無効、斬撃無効、刺突防御上昇……。


 イメージ出来て魔法が発動すれば、防御の方が付与魔法は多いかも? 何にしても無効のような魔法は付与する物に制限があるだろう。


 いろいろ今回試したが、まだまだ調べる事は沢山ある。調べて結果が分かってもまた疑問が出てくるから、どうしようもない。


 魔法武器の研究をやるだけのつもりが、魔鉄や魔鋼、ミスリルまで鉱物について調べたり、付与魔法についても研究が広がったり、留まることがない。


 挙句の果てにはダンジョンまで思考が行ってしまった。これはもう一人では絶対に無理だよな。賢者候補の皆も頑張ってくれているけど、これでは……。


 調べる事や、やることをことを絞れば良いのだろうが、結局いつも思考があちこちに飛んで行ってしまうんだよな。俺の性格も悪いとは思うけど、ホームセンター時代にあれこれ担当が変わって、その度に講習を受けたりしたので知識が広すぎるんだよね。


 それに、全く知らない分野だったら手も出さないだろうが、如何せんゲームを作るのに参考なるからと、ラノベやコミックを読み漁った結果、魔法やスキルについても良く知っているから研究したくなる。


 小説なら設定が世界観だけど、実際に自分が生きている世界の世界観が分からないのだから、調べたくなるよね。

























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