第188話 魔境の森の大きさ

 トリプル達成という、驚きの報告を受けた翌日。朝から、俺は忙しく動いていた。


 何をそんなに忙しく動いているのかというと、飛行船による魔境探索に行く準備の為です。


 鑑定EXでこの大陸の大きさが解り、魔境の森が大陸の3分の2を占めていることも判明した。それでも大陸の形は分からないから、それを確かめる意味も兼ねて、魔境の森の探索をすることにした。


 勿論、フランクが飛行船に乗せろとうるさいのも理由の一つだ。


 俺の予想では此処から、東か北に魔境との境を移動すれば、魔境の形がある程度解ると思っている。こうあって欲しいという願望が込められた予測だが……。


 国の配置図は分かっているから、北に行って海に出れば神聖国側はあまり森が深くないというのが解る。これは東でも同様なことが解るが、どちらも海に出るのが条件で、どちらも出なければ、高高度から調べるか、一度ビーツ王国方面から海に出て外周を調べるしかない。



    ?              ?

                   

                                  ?

  魔境の森                    魔境の森          


             魔境の森

 

      ロッテン神聖国           ★(俺の家)       ?

                     魔境の森

         グーテル王国     ☆(ラロック)

  海                   

   ビーツ王国  エスぺランス王国       ザリウス帝国   魔境の森



 海 (王国)    山   マール共和国       (帝国)   魔境の森

         

        山

              フリージア王国      (王国) 海

        山

                 海    


 紙に今分かっている情報を書いてみると、北西に行くのもありか?  


 ?の部分を調べれば解るかな? 


 神聖国と帝国はかなり大きな国というのは知られているが、配置図だけでは正確な位置関係は解らないな。


 伊能忠敬のように海沿いを歩いて測量して地図を作るなんてしていたら、何年掛かるか分からない。


 世界規模のギルドか教会関係に地図があっても配置図に毛が生えたようなものだけだろう。もし今より正確な地図を作れれば色んな意味で有利になるのは確か。


 人間の目で認識できるのは5000mまでと言われているから、それぐらいの高さを飛べる飛行船なら、山脈でも超えられるだろうし、人に見られてもそれが何かまでは分からないだろう。


 もう一つの方法は、魔境の境にそって飛行することだけど、これは人に見られる可能性があるから、今は出来ないな。


 何にしても大きさが解れば良いな的に、今回は北に向かって飛んでみよう。 


「フランクさん、お望み通り飛行船に乗せますが、調査も兼ねるからレベル上げの日数が減るかもしれませんよ」


「どういうことだ?」


「往復1週間を目途に、魔境の調査をしようと思っています」


「それって1週間飛び続けるという事か?」


「一応そのつもりです」


 飛行船にも乗りたい、魔境の森も見てみたい、レベル上げもしたい。フランクの脳はフル回転して、どうするのが良いのか、どうしたいのかを今考えているだろう。


「ん~~~ 乗せてもらうんだ。今回はお前の予定に合わせるよ。レベル上げはまた今度にするよ」


「それじゃ、全員で冒険に出発しましょう」


 飛行船はまだ改良が済んでいないので、前回のままだがから4人乗りだが、荷物がない分5人乗っても大丈夫なので、全員で出かける。


 荷物込みの1人、100kgで計算しているから、女性が2人だし全く問題ない。


 今回はインベントリ持ちの俺がいるから、この計算でも大丈夫と思った時に、良く考えたら、秘密にしなくても良ければ、飛行船にアイテムボックスの付与された箱でも置けば荷物の重量は考えなくても済むんだな。


「おぉ~~~~ 凄い! どんどん高くなるぞ、ユウマ」


「凄いです! こんな事あって良いのでしょうか? 奇跡です!」


「ユウマさん、何度乗っても興奮しますね」


「お嬢様、わたくしはこの浮く瞬間がどうしてもなれません」


 ある程度高度が取れたら、推進装置を稼働。尾翼を可変して、上昇角度を斜めにして、前方に進みながら高度も上げていく。


「水平飛行に成ったら、席を離れても良いですから、それまでは椅子に座っていてくださいね」


 シートベルトを作るの忘れているな。強風とかもあるだろうから、ベルトは用意しておいた方が良いな。


 突風の時はしょうがないけど、そういう時でもつかまれるところがあった方が良いから、手すりを付けよう。


「フランクさん、のんびりしてる暇はありませんよ。ロイスさんと二人は操縦方法を直ぐに覚えて貰いますから」


「ちょっと待て、いきなり操縦させるつもりか?」


「だってそうしないと俺が寝れないじゃないですか?」


「ハイ、ハイ、喜んで覚えますよ。任せてください」


 川岸とか、平原のような開けた場所があれば着陸することも出来ますが、多分魔境の森ではそれは期待できないので、交代で操縦するしかないと思う。


 自動操縦なんて無理だから……。


「方角はこのコンパスで分かりますから、これを今回は常に北に向けてもえれば良いですから簡単です」


「このコンパスとは何だ?」


 やべ、コンパスを作ったのも言うの忘れてた。


 結局操縦しながら、コンパスの説明をすることになり、これも売りに出す事に成った。それでも材料探しからだから、まだ先になるだろうけどね。


 ここで重要なのが、このコンパスに使われている材料が前世とちょっと違う。


 まだ研究途中だが、魔磁気とでも言ったら良いのかな? 磁気ではあるんだけど、少し性質が違うようなんだよね。その魔磁気を帯びた鉄が使われている


 ただ魔磁気にもプラス極、マイナス極はあることは分かっているのでコンパスが作れた。


 鑑定EX、異世界検索


 電動機(でんどうき、英: Electric motor)とは、電気エネルギーを力学的エネルギーに変換する電力機器、原動機の総称。モーター、電気モーターとも呼ばれる。


 この電気エネルギーの部分がこの世界では魔力に変わる。 魔動機という事になるのかな?


 そうすると、この世界でタービンを回すことで発生するのは魔力という事になる。そして電波は魔波という想定も出来る。


 これはあくまでまだ予測で、実際に試してみないと解らないし、全てが電気や電波と同じ性質であるかは解らない。


 魔動機が作れたらEVならのMVが出来るのかな? ここまで行くとオーバーテクノロジーの極みだね。


 こうやって考えると、科学や物理も魔科学、魔物理という分野になると思うんだよね。似てるようで似てない、魔力は電気と似てるけど、電気で出来る事と魔力で出来ることは違う。


 それから3日、男性3人で交代しながら、飛び続けましたが、海に出ることはありませんでした。直線に進めているにも拘わらず、海に出ないという事は徒歩や馬車では何か月掛かっても海には到達しないという事です。


 飛行船の速度は正確には分かりませんが、馬車の数十倍だと思います。速度計があるわけではないので、感覚ですが……。


 速度を意識して鑑定EXを使ったら、解るのかな? でもそれってズルだよな。


 速度計についても異世界検索すれば、原理や構造ぐらいは分かるだろうが、教えることは出来ないし、理解できないだろう。基礎知識がないのだから……。


 それでも、検索する度に記録は残しておこうと思う。オーバーテクノロジーであっても、それが将来、文明の発展を止めない引き金になってくれれば良いから。


「今日で3日目です。そろそろ方向転換して帰路につきましょう。そして来る途中に一か所だけあった。着陸出来そうな場所に一時着陸して、数時間だけでも調査しましょう」


「お前マジで言ってるのか? どう考えても危険すぎるだろう。どんな強さの魔物がいるのかも分からないんだぞ」


「まぁ大丈夫ですよ。それように今回新魔法も用意していますから」


 今回用に用意したわけではないが、この先どんな強さの魔物が出てきても、良いように開発した魔法がある。


 ドラゴンクラスに通用するかは分からないが、必殺と言って良いほどの魔法、レーザー魔法を開発した。


 レーザーの原理なんて良く知らないが、魔法はイメージだから、レーザーについて知ってるイメージを総動員して創造魔法を発動したら、それらしいものが出来た。


 ステータスの表示は変わっていなかったから、光属性か無属性だろうと思う。もしかしたら複合魔法という事もあり得る。


 今のところ複数属性持ちはいないはずだから、複合魔法は存在しないだろうけど、似たものはあるんだよね。火属性の魔法にフレームというのがあるけど、これって何をイメージしたかというと、火災の時の火炎流なんですよ。


 この世界の魔法は自然現象が参考にされているから、この火炎流、フレームもそうなんです。


 でもこの火炎流って炎とつむじ風が原因で起きる現象だから、属性で分ければ二属性使われていることになる。


 まぁサラが属性表示されていないのに、風を吹かせることが出来るのだから、これも納得なんですけどね。


 火と風、水と風この二つは相性が良いのかな? 二属性持てる可能性?


「目標が見えてきました。着陸態勢に入りますよ」







         

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る