第176話 マジで設定考えよう

 お義父さん達と打ち合わせをする前に、サラに許可を貰ってまで考えたいことは俺の生い立ちについての設定を決める事。


 初めのころは色々と自分で設定を作ったり、フランク達に考えて貰ったりしていたが、本当の意味での設定が必要になった。


 王族との関係が出来てしまう以上、適当な設定では後から困ることになる可能性が大きい。それを回避する一番良い設定が必要である。


 先ずは、創造魔法で地図魔法が作れるかやってみる。地図魔法は出来たが正確なのは自分が行ったことのある所だけで、イメージをこの大陸としても図書館で調べた国の配置ぐらいしか分からない地図だった。


 地図魔法は行ったことのある所じゃないと正確な地図は出来ないようだ。これも習熟度のように行ったり知識として持っていないと正確なものは出来ない魔法だと思う。


 地図魔法がダメなら鑑定EXで、この星に存在する大陸について調べてみた。答えはこの星に大陸は全部で三つ存在することが分かった。勿論、大陸名付きで表示された。


 それならこの大陸は何という名前なのか、地面に手をついてこの大陸の名前はというイメージで鑑定EXを使ったら、大陸名が表示された。


 この大陸の名前はムーア。これで残りの大陸の名前が分かった。


 一つはアト大陸、もう一つはインカ大陸。名前が分かれば鑑定EXをフル活用して、位置関係を割り出し、大陸の大きさやこの星の大きさなども考慮すれば、大体の位置が分かる地図が作れた。



    インカ大陸


               アト大陸


   ムーア大陸


 正直別の大陸から来たという設定を使おうと思って大陸を検索したのだが、距離的に今の文明では大陸間の往来は不可能。この世界の大陸は前世の地球のような配置ではなく、均等割と言って良いほど距離が均等に離れている。


 この設定は使えそうもないので、さらに鑑定EXで検索して、この大陸の近くに島はないか検索してみた。


 島はあるが距離的に近くない。この大陸の船を作る技術から考えたら、これも不可能な距離。ましてやこの世界の海には魔物も存在する。川の魚でさえ魔物なのだから当然である。


 この時点で、大陸外から来たという設定は無理だと判断した。


 どうにかしてどこの国にも所属していないという設定が出来ないだろうか? これが出来れば全てのしがらみから解放されやすくなる。


 考えた挙句出来た設定は、生まれはこの大陸のどこかの国だが、物心ついた時にはビーツ王国とフリージア王国との境界にある、山脈の山で爺様と暮らしていた。爺様が俺の教育も兼ねて山を下りて旅をしたが、旅の途中で爺様が亡くなり、それからは一人で生きてきた。


 その過程で知り合いが出来たが、その人が俺と同じスキルのせいで追われることになり、俺も一緒に逃げたが、途中で知り合いが亡くなったので、最終的に魔境で暮らすことになった。


 俺のレベルが高いのは子供のころから山暮らしだったので、魔物を良く討伐していたから……。


 こんなもんでどうだろうか? 突っ込みどころはありそうだがこれ以上の設定は俺には無理。


 別大陸設定が使えたら簡単だったんだがな……。


 鑑定EXをこのように使うのは初めてだったけど、これならこの大陸の大きさも魔境の森の大きさも調べられる。


 日頃はやることが多すぎて、こんな基本的な使い方がある事すら思いつかないなんて、俺は忙しすぎるんだろうな。


 米や鶏の魔物の検索すら思いつかなかったからな。鑑定EXは本当に使い方次第で色んなことが調べられる。正直このスキルはまだまだ進化しそうだ。今は出来なくてもいずれは出来るようになるような気がする。


 ん? 魔法は付与できる。スキルは魔法の一部、魔法が付与できるならスキルの付与も出来る?


 アイテムバックは作れたよな、魔法を付与する方法で。それなら俺のアイテムボックスを付与することも出来る? それが出来るなら、鑑定も付与できる?


 あ! ダンジョンから出る鑑定阻害アイテムやアイテムバックは考えたら、魔石に付与されているけど、付与されてるのは魔法? それとスキル?


 これまでは魔法だと思い込んでいたけど、アイテムボックスはスキルなんだよね、

 この世界では。魔法に空間属性は無いけど、俺は創造魔法でアイテムボックスの魔法を作り魔石に付与した。


 これって、どちらでも作れるけど、この世界の基本からするとスキルを付与する方がしっくりくる。創造魔法なんてチートだからな、出来ない魔法ではないけど俺のような想像力が無ければ想像する魔法も大したものは出来ない。


 この世界の人に魔法はイメージだからといって、アイテムボックスの魔法を作れと言っても作れないだろう。


 それなら、アイテムボックスのスキルを持っている人が、錬金術師になって付与術を覚えた方が現実味がある。これも検証してみないと分からんが、錬金術師じゃなくても魔力量とイメージ力があれば付与術も使えるんじゃないだろうか?


 フランクは錬金術師じゃないけど、錬成陣による分離は出来る。もしかしたら付与術の魔方陣が作れれば、フランクでも付与が出来る?


 やばい事に気が付いたかも? 俺の設定を考えていただけなのに、いつもながら変な方向に思考が行ってしまって、この世界がひっくり返る可能性をまた思いついてしまった。


 やばいよこれ、今はそんな事してる暇はないんだけどだけど検証は早くしたいな。こうなったら今回もサラが言うように森に逃げるという休暇を取ろう。


 王様達やお義父さん

「ユウマさん、考えは纏まりましたか?」


「ユウマ君、サラから話は聞いたよ。どうしてあいつらは隠居生活を邪魔しに来るのかな?」


「あなた、それを言ってはいけないわ、国王も休暇が必要でしょう」


 そうなんだよね。視察もあるけど本来の目的は静養の為なんだから、俺がいなくても問題はないはず。


「サラの提案通り今回までは森の家に帰ることにするよ。ちょっと試したいことも出来たから」


「ユウマさんが考え事をするといつも何か思いつきますね」


「それなんですが、今回はまだ検証が済んでいないので、フランク達への報告は待ってください。特に今回のはやばいので……」


 俺のやばいの言葉で、サラは目を見開き口をお抑えてそれ以上は言葉にしなかったが、今回の事がとても大変なことだと理解した。


「ユウマ君の家か~ わしも行ってみたいの~」


「そうね、わたくしも是非行ってみたいわ」


 ちょっと待って今回は止めましょう、次回機会を作って招待するのは良いけど、お義父さん達は今回、王様達の接待役でもあるんだから、勘弁してほしい。


「お父様今回はダメよ。グランさんたちが接待はしてくれるでしょうが、貴族であるお父様が王様達の相手はしないというのはありえないわよ」


 いや、サラさん俺も形だけだけど貴族なんだからそれを言うのはおかしいよ。心の中ではそう思ったが余計なことは言わない方が良いと思って黙っていた。


「サラ、今日は久しぶりに家で食事していきなさい」


「それなら、今日の食事は私が作りますよ。サラ、屋敷の人全員にあれを振舞っても良いかな?」


 ビーツ王国との交易はまだだが、俺は個人的にジーンに頼んで馬車一台分の魚介類は手に入れてある。


 醤油も味噌も俺は直ぐに作れるからね。初めて作った時は魔法は使わなかったけど、ウイスキーやブランデーの熟成で時間を進める魔法に慣れたので、今では醤油や味噌の熟成はお手の物、時間経過も半年から1年だから少ない魔力で出来る。


 だからと言って大量生産はやらないけどね。


「サラ、俺が料理を作ってる間、最近会えていなかったエリーさんとゆっくりしたらいいよ」


「そうですね。最近忙しくて婆やと会えていませんでしたから、そうさせてもらいます」


 本当はもっとエリーさんと一緒にいたいだろうけど、俺が忙しいイコール、サラも忙しいだからな。


 ん! 良い事思いついた、これならサラも喜ぶだろう。

























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