第160話 屋敷の完成
人外認定されながらも作業を続けて、5日ほどで建物の外観まで完成させた。
五日で外観まで完成させられる程、俺の土魔法は上達している。魔法の中で転移してきてから一番使ってるからね。
「ユウマ、今日も別行動か? こちらも大分伐採も進んできたぞ」
「そうですか、暫くは別行動でお願いします。皆さんのレベルの方はどうです?」
「それなら、見習い達はレベルを1~2上げたな。いくら魔境でも入り口ではそう簡単には上がらんよ。お前の家ぐらいならもっと上がるだろうが」
確かにそう簡単には上がらんよな。ラビットやボアが殆どだからレベルの高い魔物でも経験値が少ないからな。普通の森なら、ラビットを50匹ぐらい討伐して1上がるかどうかだろうからね。
それにレベルが上がれば上がるほど経験値の必要量が増えるから、1~2には比較的早く上がっても、2~3、3~4はどんどん大変になる。
レベル10なんて普通の森でしか魔物を討伐していないと、5年とか普通に掛かる。
それに今までのパワーレベリングの時の感じから、レベルの5、10、15、5の倍数には壁がある。4~5、9~10、14~15に必要な経験値は異常に多いようだ。
それを証明してるのが冒険者のレベルだ。ベテランと言われる人でも15~20ぐらいでこれ以上の人はもっと少ない。それに冒険者は引退も早いから、高レベルの人は少なくなる。
最近はラロックや領都の冒険者に、身体強化が使える人が出てきたようなので、これからは引退も遅くなるだろうし、魔境に入る人も増えてレベルも、もう少し上がるだろう。
「近いうちに強化合宿でもやりますか? フランクさんもローズさんに追いつかれそうですし」
「お前がローズに鬼畜と言わせるような、レベル上げをさせるからだろうが。俺達でもきつかったのにお前は本当に鬼か?」
鬼か? 言われてみればそうかも? レベル上げをさせてる時って、楽しんだよね。
「身体強化を全員が覚えたら、合宿をしましょう! そうなると合宿所も必要だな……」
「お前、本当に楽しそうだな。 ローズとスーザンが聞いたら、泣くぞ!」
ローズとスーザンはあのレベル上げから、レベル上げという言葉を聞くだけで、本当に嫌そうな顔を話する。
フランクとの打ち合わせも済んだので、予定通り屋敷の建築にとりかかる。
病院のような建物なら、豆腐ハウスと同じだから、土魔法で一気に作ることも出来るけど、流石に今回は貴族の屋敷だから、それなりの様式美が必要なので、本当に外観だけをイメージしたから、間仕切りがない。
だから、レンガを使って間仕切りをして部屋を作って行く。その方が部屋の広さも自由自在だから、ダンスホールも作れるし、寝室の広さも色々と変えられる。
グランに頼んだ物の一つがこのレンガだ。自分で作れる物でも最近は時間もないので、外注に出すことも多い。その方が経済も回るからね。
外注と言えばシャンデリアも作って貰っている。デザインだけ書いてガラス職人に作って貰って、蠟燭を付けるところにライトの魔道具を付けることにしている。
シャンデリアは紐で吊るすタイプだけどね。まだ配線はお披露目できないから、点灯する時はシャンデリアを降ろして点ける。
魔方陣が表に出せたから、このライトの魔道具も魔方陣を使っている。スイッチも作れるけど、今回は魔石の取り外しで、ON、OFFを操作する。
このシャンデリアも登録してくれと言われたけど、今はまだ止めておいた方が良いと登録しなかった。
現状のライトの魔道具でも出来るけど、近いうちに魔方陣の魔道具が出るからと、拠点の職人だから待つようにお願いした。
もし登録してライトの魔道具じゃなく、蝋燭やランプで作ったら火事の原因になるからね。
魔方陣は表に出せたけど、まだ魔道具としてはお披露目していないので、冷蔵庫の販売と同時に発表するつもりだ。
今回はお父さんの屋敷だからゴマすりも兼ねて特別に作ったよ。勿論、口外はしないようにお願いする予定。
魔方陣の魔道具が販売されれば、カルロスに面目が立つな。未完成ではない完成品になるからね。
そうなると錬金術師の手が空く、付与魔法が殆ど必要無くなるからね。その分他の事をやって貰う予定だけど、その準備がまだ出来ていない。やることが多すぎてそこまで手が回らない。
この屋敷には窓を多く作って、全部ガラス窓にするつもり。これまでの建物にもガラス窓を使っている物もあるけど、それほど多くは窓を作っていない。
建物は一人で作ったし、その頃はガラス職人も少なかったから、ガラス窓を作るにも限界があったんですよ。
今はガラス職人も増えたから外注できるので、贅沢に使えるようになりました。
この世界でもこれから建てられる建物にはガラス窓が増えていくだろうな。下手したらリホームする家も出てくるかも?
だって王宮でも木造だよ。レンガもコンクリも無かったし、石を運べる物が無かったからね。
奴隷制でもあれば、エジプトのピラミッドのように作れたかもしれないが、この世界には幸か不幸かそれが無かった。
玄関の前にはロータリーを作ってその中心に噴水を作った。現状は見た目では銅像のようにしか見えない作りにしてある。魔道具が発表されたら、魔道具を設置して銅像の手から噴水が出るようにしてある。
外観は5日で出来たけど、内装はレンガだから15日も掛かった。当然その日数には窓、扉や噴水、井戸、風呂、炊事場などの工事も含まれている。
それから今度は騎士や従者たちの宿舎も作るから、さらに日数が掛かり、結局、全てが完成するまでに二か月近く掛かった。建物が完成してから、家具の搬入などをしたから、お父さん達の到着までにそんなに余裕がなくなってしまった。
その間、フランクには文句を言われ続けた。何時になったら合流するんだと文句たらたらに。勿論、全く顔を出していないわけではないんですよ。一週間に一度? 十日に一度? ぐらいは現状を把握する為に、午前中だけ合流していた。
完成した屋敷は、この世界では俺の家に次ぐ最先端の技術がこれでもかと使われている。井戸には手押しポンプ、風呂には魔方陣の魔道具、炊事場には魔方陣のコンロが設置され、今後、冷蔵庫や冷凍庫、クーラーが完成すればそれも設置される。
勿論、これらは従者たちの宿舎にも設置されているから、ここに来る人達は物凄く良い暮らしが出来る。
だって、直ぐ近くには学校も病院もあるし、拠点があるから、化粧品の新商品もすぐ手に入る。グラン商会の本拠地だから、最先端の物で手に入らない物がない。
それに何と言っても温泉銭湯もあるから、住みながらにして保養も出来る。
「ユウマさん、父からの手紙で到着が少し遅れるそうです」
「何かあったのかな? こちらとしては屋敷は完成してるから、何時でもいいんだけど」
「それがどうも、ここに付いてくる従者たちの選抜で揉めているようで……」
サラの話では俺が思っていたように、便利で優雅な暮らしが出来ると、此処での暮らしを望む人が多くて、競争になっているらしい。
屋敷の事は知らないでこれだから、この屋敷の事を教えたら大変なことになるだろうな。
王宮より良いからね。石作りの屋敷何て……。
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