第142話 今度こそ婚約発表
賢者候補について説明した後、ルドルフに
「ミュラー公爵、何日ぐらいの滞在予定ですか?」
「一応、一週間は予定しているよ。久しぶりにサラにも会えたし、ここの学校や他の施設も視察するつもりだからね。 それはさておきミュラー公爵は頂けないな。他に呼び方はないかな? 何なら父上でも良いよ」
おいおい、流石に父上は早すぎるだろう。まして平民がミュラー公爵以外に呼びようがあるかよ。
「そうだあなた、ユウマ君には平民らしく父さん、母さんで呼んでもらいましょう」
なんだそりゃ、サラのお母さんはこんな人なの? 天然? お茶目?
「そうだな、それが良い。そうしてくれユウマ君」
「ユウマさん、両親はこんな感じの人ですから、難しいでしょうが、そうしてやって下さい」
マジか~~ ここは諦めるしかないか……。
「それではお父さん、明日からここにある全てをお見せします。但し、一つだけお願いがあります。ここで見たものはたとえ王家でも話さないで頂きたい」
「それ程のものかい?」
拠点にあるものや学校、病院などは問題ないが、賢者についてだけはまだ公表できないものもある。賢者候補には現状秘密にしているものがない。俺が転移者だということ以外は全てオープンだから、オーバーテクノロジーの物も平気で見せているからどこでその話が出るか分からない。
飛行船はまだフランクとロイスしか知らないが、現在拠点の地下で研究中の冷蔵庫などはまだ公表できない。
見せなければ良いと思うだろうが、こういう事まで見せる必要があるのだ。グーテル王国から呼ぶ人達には賢者候補の弟子になって貰おうと思っているから。
賢者候補がどのくらいのことをやっているのか分かっている人が居てくれるだけで、この先色んなことが上手く運ぶ。
そしてその役が将来の両親なら尚更、力になって貰える。
「そうです。サラさんは分かるよね?」
「あれはまだ公表できないし、皆さんがどれほど常識外の人かは私は良く分かっています」
「詳しい事は口で説明するより、実際を見てもらった方が分かりやすいと思います」
この世界の常識外と言えば、未収得だけどダブルスキルもその一つ。その他にも通常の錬金術師や商人が冒険者並みに戦えるなんてあり得ないし、王宮魔法士でも使うのに訓練が必要な魔法でさえ賢者候補は使っている。
色々話したが、肝心な話が出来ていないので、ここで話を変えていきなり切り出した。
「それで私達の将来についてですが、お父さんはどのようにお考えですか? 貴族と平民それも、公爵家の方との婚約なのですが?」
「その事か、それならもう解決しておる」
へ? 解決? どう解決してるの? サラの貴族籍を抜いたという事?
「それはな、ユウマ君に我が国の名誉伯爵の位を与えるという事でな」
名誉伯爵? 名誉男爵というのは前世のラノベとかでも読んだことあるけど、名誉伯爵? いきなりそんな位をあげてもいいものなの?
名誉だから形だけ貴族という事だよね。 確か一代限りの名誉爵。
「そんな事して大丈夫なんですか? どこの馬の骨とも分からない私などに?」
「何を言うか、君はこのエスペランス王国でも多大な貢献をしてるではないか。それに君のお陰でサラも助かり、グーテル王国もこれから変われるんだ。それぐらいの報酬はあっていいだろう。それだけこの国の王家も我が国の王家も期待してるんだよ」
確かにこの国とグーテル王国は兄弟国だから情報は筒抜けだろうから、そうなっても不思議じゃないか? それにサラという伴侶を迎えることで、俺との接触は出来なくても、この国との関係は強くなる。逃げれなくなったと言えばいいかな。トホホ……
まぁあっても損にはならないし、貰えるものは貰っておくか。
この調子だとどちらの国も俺の気持ちは優先してくれているみたいだしな。
「只今より、グーテル王国名誉伯爵ユウマ・コンド―ルとグーテル王国公爵家、サラ・ミュラーの婚約式を執り行います」
一応貴族という事になったので家名がいるという事なので、どうするか考えたけど、新しく作るより、慣れ親しんだ前世の姓をもじって使うことにした。
コンドウをもじって、コンドール! 良いでしょ!
「ユウマさん、サラさん、おめでとうございます」
「ありがとう、ミランダさん」
「早く結婚して、かわいい赤ちゃんを見せてくださいね」
「な! 何を言ってるのかな! ローズさん」
こいつわざと言ってるだろう。 鬼畜のパワーレベリングを根に持っているな。
「ユウマさん、新居はどこを予定してるんですか? 魔境の森に住むんですか?」
「新居! そんなのまだ早いって! 婚約しただけだよ」
普段、大人しいエマまでなんてことを言うんだ。鬼畜はやっていないだろう。俺エマに何かしたかな?
それはさておき、魔境の森の俺の家にもサラを招待しないといけないな。賢者候補やグラン一家の大部分が俺の家に来たことがあるのに、婚約者のサラが来ていないのは拙いな。
「そうだ、サラさんに俺の家に来てもらわないといけませんね。ちょうどいいから、賢者候補の7人のレベリングも一緒にやりましょう。ね! ローズ」
その瞬間! 三人衆の顔が凍り付いた。 余計なことを言ったと今頃後悔しても、もう遅い。仕返しはしっかりさせてもらう。
準備をすれば一週間ぐらいは全員時間が作れるから、何とかなるだろう。
「おめでとうユウマ君、君との出会いからもう5年か、色々あり過ぎて長いようで短かったね。そのユウマ君が婚約、本当に嬉しいよ。だけど身を固めるからと言って大人しくはならないでね。私はユウマ君と一緒に何かするのが楽しくてしょうがないんだから」
「ありがとうございますグランさん、申し訳ないとは思いますが、これからもまだまだやりたいことはありますからよろしくお願いします。近いうちにまたお世話になると思いますから」
「そ! それはどんなことかな?」
「それはまだ言えませんが、近いうちにまた忙しくなりますよ」
グランにはまだ冷蔵庫関係の事は知らせていない。勿論、地下の施設の事もね。
今回の事は賢者候補以外には全て秘密で行われている。その訳は、研究に時間が掛かるからです。試作品が出来るまでに時間が掛かる。
今までの商品などは殆どが俺が完成させているものを発表してるだけだったが、ベアリングのように見ても何なのか分からない物とは違って、魔道具だという事が直ぐにばれてしまう。
これからこの世界もこういうことが増えていくと思う。前世でも開発部門は同じ会社での中でもトップシークレットだったりするからね。
だから今回はグランにも教えていない。それはフランクやロイスのような人でも隠し通せるかの試練でもある。
賢者候補とはそういう存在なんです。俺からオーバーテクノロジーの物を多く見せられるし、この世界からしたら何十年も進んだ思考や知識を身に着けてもらうのですから、身内にさえも話せないことが増えていく。
まだ見せてはいないけど魔銃なんてその最たるもの……
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