第137話 氷魔法
バターとチーズの作り方も教えて簡単な食べ方も教えたので、ひとまずはオックスの飼育関係はこれで一区切りとすることにした。
これ以上は今は出来ない。賢者教育が途中だからだ。
何が何でもこの賢者教育を早くしないと俺の計画が実行できない。
そういう訳で教育も急ぐのだが、先日気が付いた氷魔法の存在がどうしても気になった俺は、創造魔法で氷を作ってみた。
結果的に氷は簡単に出来たのだが、ステータスに氷属性は発現していなかった。ということは氷を作る魔法は新しい属性ではないということ、ではどの属性だ?
大気を冷やせば空気中の水分が凍って氷は出来るから風属性なのか? それとも大気中の水分を直接冷やして氷を作っているから水属性なのか?
魔法のイメージは氷を作るだけなので、どちらの工程で出来ているのか分からない。
この問題の答えは魔法発動時に具体的イメージを付け加えることで判明した。結果はどちらも正解。
どちらも? おかしな答えですよね。 でもそうなのです。どちらでも作れるから。
ただ水分を直接凍らせる方が同じ魔力量だと量が多く作れる。
結果水魔法の方が氷を作るのには適しているということ。
なぜ? ここまで氷魔法に拘ったのかというと、世界の進歩には保存方法というのが大きく貢献すると思ったからです。
物を長期間保存できるというのはいろんなものに応用できる。一番は定番の冷蔵庫、冷凍庫。これが出来れば今以上に食料で悩むことがなくなるし、長距離の輸送も出来るから輸出入に大きく影響する。
冷蔵庫は大気を冷やす。冷気を出すということで風魔法。
冷凍庫は水分を凍らせるということで水魔法。
氷魔法を研究したことで効率の良い使い方が解ったのだが、ここで思わぬ結果が出たのです。
はい! 俺のステータスに氷属性が追加されていました。
現在の俺のステータス
名前 ユウマ (コンドウ)
種族 人族
状態 良好
職業 商人
レベル 35 (75)
HP 1885/1885 (3925/3925)
MP 2830/2830 (5950/5950)
スキル(言語理解EX) 鑑定(EX) (インベントリEX)アイテムボックス
気配遮断 気配感知 魔力感知 付与術 木工 陶器 錬金術 剣術
魔法 風魔法 水魔法 闇魔法、火魔法 土魔法 光魔法 氷魔法new 無魔法
(固有スキル) (創造魔法)
称号 (創造神の加護)
氷属性を発現させるためには二種類の属性を使って作ることが出来て初めてこの世界に認められるということです。
漠然と氷を作るというだけでは、属性としては認められない。これはまた魔法についての新しい発見です。
しかし、ここでおかしい事に気づきます。それは科学と違う所です。科学だと水の温度を下げるのに直接なんて出来ません。
基本的に空気が冷えることで水の温度が下がり凍るからです。
特殊な例だと真空状態にすると凍りますが、その前に沸騰しますからこれは本当に例外です。
科学の発想ではなく、魔法はイメージですからイメージは科学を超えるとでもいえばいいのでしょうか?
水の温度を下げるとイメージすれば下がる。科学ではできないことが出来る、そういう事ですね。
ただやはりこういう魔法は魔力を多く使います。科学を無視してるから必要な魔力量が増える。逆に科学の工程を理解し、それもイメージに乗せれば必要な魔力量は減る。
あ! これって、もしかしてヒールの魔法にイメージを追加すると骨折の時に曲がったまま再生しないようにもできるということでは?
ヒールでは無理でもハイヒールなら可能かも? しかしこれも魔力量は必要だろうな。
でもよく考えるとこれ必要かな? 骨をまっすぐにして魔法やポーションで直せば済むことんだよな。
それでも今回の研究で、科学を無視した魔法も可能だということがはっきりした。
これまでも無視したような魔法を使ってきていたけど、そこまでしっかりとは認識していなかった。
ティムの魔法なんてその最たるもの、精神干渉の魔法なんて催眠術などの暗示のようなものだけど、これが科学で証明できるかと言えば厳しい。
催眠術に掛かる人と掛からない人が居るからね。
それに暗示程度とは違うのです。ティムの魔法は逆らえない魔法。持続時間があれば暗示に近いのかもしれないが、今のところ一度掛ければ解けることはないようなので、そこは科学と違うことが起きていると思った方が矛盾がない。
話が大分それてしまったが、長期保存が出来る事でのメリットについて話を戻す。
冷蔵庫や冷凍庫が出来れば食生活、食の質に影響する。この国で魚介類が食べれるようになれば凄い事だ。 ケインが泣いて喜びそう……。
今までは食料は食べきれなければ廃棄するしかなかった。それが保存できるなら食べきれるから、生産者も大量に作る必要がない。またその逆に大量に作って保存することが出来れば一年中食べることも可能になる。
そうすると農家は作るものを多様に出来るから、次男坊や三男坊も農家をやることができるようになるかも? 勿論、そうなると農地が必要になるけど、オックスという農耕牛が普通に使えるようになるのだから、これもそれほど問題がない。
これらは実際にやって見てからじゃないと、どうなるかは分からない事ばかりだが、変化をもたらす事だけは確実なのです。
しか~~~~し。 これどうしようかな?
魔法は魔方陣にすれば問題ないとは思うが、この魔方陣を作れる人が全然足りない。
ただ写すというだけなら誰にでもできるかな?
今のところ魔方陣は錬成陣と同様に魔物の血を使って書いているけど、これは変えようがないよな。魔力を通すから魔物の血が最適なんだよね。
あ! これってまさか? 配線に使える? 嫌々それは……
ちょっと落ち着こう。これ以上広げると俺がパンクしそうだ。
魔物の血=インク そうか! スタンプにしたらどうだろう?
かなりの精度は必要になるだろうが出来ないということはないのでは?
これが出来れば魔道具がまた進化するかもしれない。
付与魔法を魔方陣にすれば人が魔石に毎回魔法をかける必要がなくなる。
魔石は単なる動力源ということになって、魔道具のデザインなんかも大きく変えられるようになる。
多分だがこの魔方陣化にも限界があるように思う。出来るけどそれだけ魔方陣が複雑になったり、大きくなったりということが起きるような気がする。
複雑になれば書き写すのも、スタンプにするのも難しくなる。それに文字数が増えれば小さくは書けない。
高度な魔法はやはり付与術が出来る人しか付与できないし、その習熟率が低いと高度な魔法は付与できない。だから魔方陣化が進んでも付与術が使える人の存在価値はなくならない。
これって補助魔法? 身体強化の魔法も付与できる?
イメージを付与してるんだから理論上は出来そうだよな。
嫌々、まてまて、これ以上は今は止めよう。本当にこれ以上は……。
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