第129話 ティム魔法の講義
「おい! ユウマその魔法は凄いぞ、俺にも出来るのか?」
「う~~~ん、どうかな? フランクさんのレベルは20でしたよね」
「レベルを聞くって事は魔力量が関係するのか?」
「良く解りましたね。その通りです。」
おぉ~~ 教育の成果が出て来てます。考え方が論理的になって、自分で答えを導き出している。
魔法*レベル=魔力量 という考えをしてると言うことです。
魔法の知識*レベルの知識=魔力量 この考え方が出来るように成れば、他の分野の知識を個別に学んでも、関連付けれるようになる。
俺が薬学とポーション、薬学と治癒魔法を関連付けたように。
どうなんだろうか? この人達は何も言わないが、もうこれぐらい論理的に物事を考えられるなら、俺の異常性には気づいているんじゃないかな?
これまでは俺から出てくる物の衝撃が強すぎたり、その製作、販売に忙しく、この世界の住民の変わった思考も相まって、スルーされていたけど流石にそろそろ。
まぁ、俺からは何も言わないけど……
凄いな~~ 前世の教育って、この世界の国語は読み書きだけど、前世だと読み書きは当然で、読解力、文章力も勉強する。これが何故凄いかというと、算数の文章問題は国語の読解力が必要なんだよ。
問題を読み解けないと公式にあてはめたり出来ない。この逆も少しはあるのか
な?
ふたつの出来事や二人の意見が導き出す答えみたいな考え方。
「魔力量があっても、イメージが出来ないと難しいです。でもそれをカバーするのがこの魔法陣です」
「その魔法陣を使えば俺にも使えると言うことで合っているか?」
「えぇ~ 合っています。この魔法陣には知能の低いものを支配する魔法が書かれています」
もうこのメンバーには隠し事は出来るだけしないと決めてるので、ちゃんと知能が低い物という制約がある事の意味もこの後教えた。
メリット、デメリットを考えさせないと、後の世を導く賢者にはなれない。
「ユウマ先生、それって将来、人が人を強制的に支配できると言うことですか?」
おぉ~ サラさんは凄いな。まだ学び出してそんなに経っていないのに、そこまで考えられるとは。
「そうです。その可能性はあります。魔法はイメージ、これが基本ですから」
「怖いですね」
「でも、そう簡単でもないんですよ。さっきフランクさんに言ったように魔法には必要な魔力量というものがあります。魔法が強力になればなるほど多くなります。だから、人間を隷属させることが出来る魔法には物凄い魔力量が必要になるのでレベルも相当高くないと無理です」
どうしようかな? ここまで教えたから、闇属性も教えるかな?
「では、ここで質問です。ミランダさんこのティムの魔法は何属性でしょうか?」
「え! 属性? どの属性にも属さないみたいだから、無属性ですか」
「いいえ、この魔法は闇属性です」
この世界に闇属性は存在する。俺のステータスにあるのだから、でもこの世界の人が持っているかは不明。先天的に持つ人がいるのか? この属性だけは先天的には授からないのか?
「闇属性? 聞いたことありませんよ? ユウマ先生」
流石貴族令嬢、一般庶民ではこう断言はできない。魔法に関する知識なんて教育を受けていないのだから、あるないではなく、知らないなのです。
「サラさん、闇属性は存在します。俺のステータスに出ていますから」
「・・・・」
「それじゃ、フランクさん俺を鑑定してみてください」
「いや、ユウマそれは出来ない。いや、したくない」
「なぜです?」
フランクはしたくない理由を俺に説明してくれた。初めて俺にあった時は鑑定をしたし出来たそうだが、二度目にやろうとした時に、やるな、するな、といわれたように思ってやらなかったそうだ。
それからも何度か鑑定しようと思ったことはあったそうだが、その度に同じような気持ちになったから、もう今はしないと決めていると。ここにきて漸く以前からの疑問が解決したよ。なぜ俺を鑑定しないのか? という疑問。
フランクにとっては虫の知らせ? みたいなもんかな?
「大丈夫ですよ。今回は俺が許可してるんですから」
「でもな~」
「それじゃ、もう一度だけ鑑定しようと思ってください。その時に嫌な気持ちになったら、止めてもらっていいです」
そこまで言われたら、フランクも試すだけならと言うことで、承諾して鑑定をしようとしても何も感じなかったから、そのままの勢いで、鑑定を俺に掛けた。
「ユウマ! 阻害の魔道具付けてるか? 魔法がはじかれたぞ」
え! はじかれた? 俺は魔道具何て持っていない。それなのに魔法を受け付けない?
あ! あぁぁぁぁ これって!もしかして、あれか? レベル差で見れないという異世界あるあるか?
10や20の差は問題無くても、俺とフランクの差は45もある。
これは困ったな、ステータスオープンはしたくないんだよな。これだと俺のステータス表記がこの世界の人達と違う事がばれてしまう。それは俺がこの世界の住人ではないことがバレる事だ。人外認定どころの騒ぎではない。
俺のは数値まで出ているからね。これは俺の鑑定EXと同じ仕様だからだと思う。
「ユウマ先生が出ていると言って、見せようとしてくれたんですから、ある事は確実ですね」
「確かに、サラ様の言う通りだ」
なんちゅういいこや~~ サラさん。 気づきました? 俺がサラさんと呼んでる事。これはサラさんから要望でそうなっています。
良くある異世界物と同じですよ。先生なんだから、呼び捨てにしろと言われたけど流石にね。 公爵令嬢ですから、さん付けで妥協してもらいました。
「分かって貰えて助かりました。それでは闇属性についてもう少し」
闇属性の魔法は、まだまだ開発途中であると言うことと、基本、人や魔物に作用する魔法だと言うことを説明した。
「レベリングの時に、時々魔物が眠ったようになったことがありますよね。あれはスリープという闇属性の催眠魔法です。」
「ユウマさんそれって、そのスリープは手術に使えますか?」
「はい、良く解りましたねニックさん。その通りです」
「それは凄い、それなら麻酔の分量を少なくしても大丈夫ですね」
そこまで考えられるようになったか。麻酔薬はどうしても途中で薬が切れるのが怖くて、多めに投与していたが、麻酔薬何て使わなくて済むならその方が良い薬だ。
「そうですね、ですが魔法も魔力量や習熟度が低ければ効果が続きませんから、今のところ併用が無難だと思います」
「これでだたいティム魔法について理解出来ましたか? この後は実際に実地で勉強していきましょう」
「ユウマさん、実地ですか? 何をするつもりですか?」
ロイスがまた俺が何かすると思って聞いて来た。
こいつ、どうもグランさんに何か言われているみたいなんだよね。
確かに俺が何かすると毎回大事になってるから、グランさんの気持ちも分かるのだが。
止まる訳ないでしょうがその程度で、俺は欲望に忠実なのです。
欲望のしもべといってもいい。
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注、この小説ではテイムをティムと表現していますが、日本語の正解はテイムです。
ですが魔法名という事でこの小説に限りティムで通します。
不快に思われる方がいるかも知れませんがご理解、ご容赦ください。
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