第125話 鬼畜

 フランク達がレベル上げに来たから、俺の休暇はほぼ終わってしまったが、それならその報いを受けてもらおうと、鬼畜モードに移行する事にした。


 しかし、その前に俺の家を賢者計画の為に公開したんだが、商売人の二人だから、ローズたちよりたちが悪く、納得させるのに苦労した。


 勿論、此処で見た物の情報を外に漏らさない事も承諾させた。


 フランクとロイスって商売人で売ることが一番ではあるんだけど、その一番と肩を並べるように好奇心があるんだよな。


 今では好奇心の方が勝ってるのかな? いつか売れたらいいなで我慢できるからな。


 商売人であり、職人でもあるから意識が変わって来たのかも?


 今日は朝から素振りから始める。学生時代、剣道と柔道の授業は両方受けたことがある。


 両親が生きている頃には近所の剣道場にも通っていたから、柔道よりは剣道の方が得意かな。


「良いですか、右手は添えるだけ、しっかり握るのは左手ですよ。そして振り抜く時に右手もしっかり握る。切る瞬間に力を入れると言う事です」


「それじゃ素振り500回! はじめ!」


「慣れたら、1000回にして毎日の日課にして下さい。いいですね」


 500回でも素人にはきついのに、慣れたら1000回。それを毎日。そんな無茶を言われているのに、フランク達は文句も言わず俺に従っている。


 それには理由がある。俺が人参をぶら下げたからです。人参とはそう魔刀ですよ。


 昨日の夕食後に、休暇の間に何をしてたのか、フランクに聞かれたから、いろんなものを作っていたと話したら。どんな物だと聞かれたので、飛行船や自転車も見られているので油断していたのか、魔刀のことまで話してしまった。


 ミスリル入りの剣でも欲しそうにしていた二人だから、魔刀というミスリル剣よりも良いものが有ると聞かされれば、是非見たい、欲しいとなるのは自然な成り行き。


 それならと言う事で、合宿の間、俺のいう事を文句を言わず最後までやれたら、作ってあげると約束した結果が今の状況です。 素直でよろしい。


「ふぅ~ 流石にきついな500回は、でもユウマ何か違うんだよな?」


「え! 何が? どう違うんです?」


 分からない振りして答えたが、俺は何となくフランクが感じている違和感が何なのか? 見当がついている。


 フランクは商売人であり、職人でもあるけど、冒険者じゃないから日頃は剣なんて振らない。


 町から領都に移動の時に護身用に剣を持つぐらいだ。それだって魔物が強くないから、素人でも対処できるので練習なんてしない。


 それが今、レベルもベテラン冒険者並に成っている身体で剣を振れば、自分が思っているよりビシッと振れる。


 止めたいところできっちり止まる感じかな? それに剣筋がぶれない。


 これを繰り返していれば、恐らくだが剣術スキルが発現するかもしれない。もちろん、剣術スキルにも条件がある可能性が大いにあるので、ただの素振りだけではまだ解らない。


「良く分からん? ただ何となくだ」


「そう、素振りが済んだら森に行くよ」


 ここは敢えて何も言わず様子を見る事にして、森に実戦とレベル上げに行く。


「おい! ユウマ、どこまで行くんだ?」


「ユウマさん、奥に来過ぎじゃないですか?」


「だってレベル上げに来たんでしょ?」


「それはそうだが、こんな所まで来る必要があるのか?」


 あるに決まってるでしょ、鬼畜モードを舐めたらいかんぜよ。


「この先にオークの集落があるんですよ。オーガにしようかどっちか迷ったけど、今回はオークにしときました」


「はぁ~~~ オークの集落? 俺たちは冒険者じゃないんだぞ。それに冒険者でも集落を3人で討伐なんかしない。俺たちを殺す気か?」


「何言ってるんですか? 3人じゃないですよ。2人です」


 これぞ鬼畜モード、少々の怪我ならポーションと俺の治癒魔法で回復するから大丈夫。即死さえ注意しておけば無問題なのです。


「ま! まじめな話だな?」


「そうですよ、冗談は言いません。それに出来ると思ってるからですよ」


 俺も無謀ではない。当然二人に危険が迫れば遠距離から狙撃する。


 魔銃のお披露目も兼ねてね。賢者計画に隠し事は出来るだけ無しにすると俺は決めた。


 だって元は分身計画だったのですから……。


 俺が10なら分身は5~8には成って貰わないとね。強さ、知識、そして技量も。


 現在の俺のステータス

 名前 ユウマ (コンドウ) 

 種族 人族

 状態 良好

 職業 商人

 レベル 25 (65)

 HP 1375/1375 (3300/3300)

 MP 2050/2050 (5220/5220) 

 スキル(言語理解EX) 鑑定(EX) (インベントリEX)アイテムボックス

    気配遮断 気配感知 魔力感知 付与術 木工 陶器 錬金術 剣術

 魔法  風魔法 水魔法 闇魔法、火魔法 土魔法 光魔法 無魔法

(固有スキル) (創造魔法)

 称号  (創造神の加護)


「良いですか、俺が援護はしますから、自分に出来る事をやればいいだけです」


 フランク達にはミスリル剣を渡している。魔力を通さなくても十分オークの皮膚ぐらい切り裂ける。


「よし! やるか! ユウマが出来ると言うんだ。今日はオーク肉で祝杯だ」


 オークの数は18匹、集落としては小さい方だ。大きくなると50~100匹なんていう集落もある。ただ大きくなると必ずと言って良いほど、天敵のオーガの集落が近くに出来る。そしてまたオーガにも天敵がいる。


 まさに食物連鎖。その頂点は当然ながらドラゴン


「マジに出来たよ! ロイスやったな!」


「えぇ本当に出来ました。私達強くなってるんですね」


 2度ほど危ない場面はあったが、身体強化も上手く使って相手を翻弄しながら個別撃破に持って行き。1時間足らずで集落を全滅させた。


 危ない場面の時も俺は動きを止めるだけしかしていない。本当に二人は強くなっている。これで商人なんて詐欺だよ。


「じゃ、此処で野営しますよ。明日はオーガの集落です」


「おい! ユウマ帰るんじゃないのか?」


「何を言ってるんですか? 最低3日は続けますよ。ローズさんたちは7日ですよ」


「はぁ~~ ローズとスーザンが合宿の事、話したがらないはずだ」


「旦那様、ローズさんが鬼って言ってた意味が分かりました」


 それから結局5日間、合宿は続き、ユウマの家に戻った時、フランクが20、ロイスが17までレベルが上がっていた。


 鬼畜モード終了! 次は誰かな?

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