第119話 物作りって楽しい

 まだまだ休暇中のユウマです。


 今日は最近忙しくて殆ど忘れていた、我が家の浄化システムの点検です。


 スライムがそろそろやばい事に成っている気がするんですよ。


 間引きをしていませんから……


「さて、どんな状態かな?」


 独り言の多い日常…… 転移したての時の様に病んできてるのかな?


「わぁわぁ! なんだよこれは、流石に増えすぎだろう!」


 日頃家にいないんだから、食料に成る排せつ物がそんなに無いはずなのに、なんでこんなに増えているんだよ。


 スライムの生態はまだまだ良く解らん、どうやって増えたんだろう?


 そんなことより今は処理しないとな、スライム素材が多く手に入ると思ってやるしかない。


「ふぅ~~ 疲れた。スライムの処理でこれだけ疲れるとは」


 途中から数えるの止めたけど、軽く300匹以上はいたな。


 そうだ! 折角スライム素材が大量に手に入ったから、これで何か作ろうかな。


 結構色々なもの作ったから、今すぐにいいアイデアは浮かばない。だからと言って研究まではしたくないな。


 今作れる物で何か応用できないかな……


 そういえばあれはどうなったのかな?


 あれとは? そうリヤカーです。


 木製で出来た物は普及してるみたいだけど、馬車の特許でベアリングがあるからリアカーに応用してる人がいてもいいはずなんだけどな?


 まぁいてもいなくても問題ないか? 嫌、あるだろう、リヤカーそのものを特許申請していたら問題になる。


 帰ったら確認しよう、それでも俺は作るけどね。


 もう一つリヤカーで思いついた、あれを作ることにしよう。


 タイヤはもどきじゃなくちゃんとした物で作って、ここはこうして、これは魔物の皮を使って、スポークは難しいからホイル式にして、フレームは温泉の時のパイプの応用で……、ここまでいけば解るよね。


 そう自転車です! チェーン式ではなくベルト式の自転車。


 だから現状は変速無し、変速機構は要研究ということで旧ママチャリ。


 このママチャリとリヤカーを連結して、街中で使う運搬車にしようと思う。


 これなら手で運ぶには多いけど、馬車で運ぶ量でもないという、中途半端な量の荷物に対応できるし馬車と違って小回りが利く。


 自転車なら一人の移動にはもってこいだ、馬はエサ代や世話も必要だし何といっても厩舎が必要。


 作り終えて。


「しかしこれを世に出していいものか?」


 また独り言だよ


 自転車って確か1800年頃のドライジーネが起源で、19世紀後半に自転車が誕生したんだよな。


 ホームセンター時代に勉強したな……


 19世紀といえばもう近世だよな。この世界なんて中世も中世、中世の初期から中期だからな。まだ早いか?


 この世界は歪に遅れているから、少しぐらい早めてもいいと言えばいいのだが。


 自転車は無理でもリヤカーは大丈夫だろう。ベアリングを世の中に出してしまっているから。


 ベアリングもオーバーテクノロジーなんだよ本来は、近世の物だからね。


 かの有名なレオナルド・ダビンチ先生の作品。ベアリングの父と言われている。まぁ、実際に作ったのではなく、設計したんだけど。


 ルネサンス期の人だから14世紀から16世紀、自転車よりはかなり前だからまだ許容範囲。


 ただベアリングの発明から自転車の発明まで400年以上あいてるから、難しい所なんだよね。


 顕微鏡も16世紀後半だからベアリングと同様って事でよしとしています。


 まして人の命に関係してくるからね。


 前世に合わせる必要は全くないけど、進め過ぎるのもね、まして全てを俺がやるのは違う様な気がする。


 小難しい事は別にして、物作りは楽しいからいいのだ! 作るだけなら。


 でもリヤカーって本当にどうなったんだろう?


 まさか未だに応用できないのか? 長年染みついた習性というのは変わらないんだろうか?


 発明、改良、応用、最低でもこの言葉の意味を学校で教える必要があるな。


 この何年かで色々な物を作り出してきたのに、本当の意味での応用や改良をこの世界の住人はしてこない。


 ヒントを上げて初めて応用するのが精一杯、紙と印刷技術でやっと手書き本の印刷による大量生産。


 唯一あるとすればシャーロット達グラン家の女性陣が手掛けた子供用絵本。

 これも俺の傍にいたからというのも否定はできない。


 魔法はイメージだという概念を広めたことで、少しは研究すると言う事を考えるようには成ってきている。その表れが冒険科。


 今までの学校はスキルの取得だけに、目標を置き過ぎていたのかもしれない?


 これからはもう一歩進んで行かないといけないな。


 学校で急に思い出したけど、前世で〇〇〇カミっていう小説も漫画も読んだけど、あの主人公はチートなんかない人だったけど、文明を取り戻そうと奮闘してたな、学校で……


 古代文明の復活、これもロマンがあるよね。


 古代文明! そうだ飛行機、いやこれは無理があるだろう、なら飛行船は?


 飛行船も超オーバーテクノロジーだけど、これなら再現可能だよね。


 水素は怖いからヘリウムでとは言った物の、ヘリウムって天然ガスの副産物だから天然ガスが見つけられないと無理。


 まして全ての天然ガスに含まれているとは言えないからもっと厳しい。


 こんな時の神頼みならぬ、チートな俺様の鑑定解析の出番。


 検索機能を利用して、ヘリウムの代替品を探す。


 うん~~ あるっちゃあるけど、ヘリウムよりは質量があるのね。


 空気よりは軽いけど、この質量だと大きな飛行船は作れないね。まして重くなればなるほど高度が出せない。


 低空飛行の飛行船だと山は越えられない……。


 うん~~~ 二度目のうん~~ あ! そうだ足りないなら補ってやればいい、この世界に有る物、そう魔法で。


 魔法はイメージ、イメージなら物質の質量を軽くする魔法が出来るじゃないの。


 重量軽減魔法、創造魔法で作ってみて出来るなら世界は認めていると言う事。


 駄目だね、こういう魔法があったことを忘れているなんて、重力魔法とか飛行魔法なんかもあるよね。


 出来るかどうかは実践してみて検証すればいい。俺の創造魔法は言ってみればこの世界がその魔法を認めるかどうかの臨床試験みたいなもの。


 これまではどこか属性とかに拘っていた気がする。魔法はイメージという事は魔法が先で属性は後からついてくる。出来た魔法を分類してるのが属性ということだ。


 だから現在認識されている属性以外にもある可能性があるということ、もしくは他の属性は無く、全て無属性と言う事も有える。


 これは出来た魔法によって、ステータスに属性が出るかどうかで判断できる。


 勿論、それにも条件はあるだろうが、身体強化と結界が出来るエマに無属性がステータスに出ていない事で証明されている。


 これまでは、この二つの魔法は無属性だと思っているが、もしかしたら違う属性なのかもしれない。


 俺が使っている魔力感知やソナー的な魔法これこそ無属性とも取れる。


 魔法は本当に奥が深いな……。






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