第110話 魔法の進化

 俺が今医者の育成をしてる事に違和感がないですか?


 だって俺は薬師の教師だったでしょ、それをニックに引き継がせるつもりだったのに、ニックすら今医者に成ろうとしています。


 それに薬師の教師以外にも普通科の魔法の教師もやっていたんですよ。俺は1人しかいないんです、矛盾していますよね。


 その答えは、現在薬師の教師と魔法の教師は別の人がやっていると言う事です。


 薬師は直ぐに見つかりました。ニックの弟子の中にに物凄く優秀な人がいて、学校に来る必要あった? と思えるほどでしたから、その人に俺が必要以上に指導したら、大学で言えば講師クラスになったので、授業内容だけ俺が決めてその人に教師をさせました。


 もう一つの魔法の教師ですが、こちらは教師というか監督官ですね。


 魔法は研究途中ですから、教えるというよりヒントを与えて、一緒に研究してるという方があっていますね。


 ですから教師ではなく監督官、ということで俺でなくても良くなったのです。


 その魔法の授業ですが……


 魔法の授業の最初は身体強化なんですが、よく考えると生徒のレベルが低すぎて殆どの人が出来なかった。


 ですから、初めは魔法はイメージだと言う事を兎に角認識するところから始めました。


 一番にやらせたのが、錬成陣による物質の分離。


 魔法を生活魔法以外で使ったことが無い人達ばかりですから、生活魔法以外にも自分達は使えると言う事をまず認識して貰う為に、錬成陣のサポートはありますが、不完全でも分離出来たら魔法はイメージだと感じてもらえると思いました。


 このイメージすることは身体強化の魔法をミランダ達に教えた時、付与魔法を教えた時、どちらも決め手になったことです。


 属性魔法は生まれつきですが、生活魔法は実は後天的なんです。


 俺がこの世界に転生してきた時のステータスに生活魔法は無かったんですよ、それが今はある。


 それに気づいたのは生まれたばかりの子供の鑑定をした時です。


 これも大きな勘違いだったんです。この世界の人は生活魔法が全員使えるから先天的な物だと思っていたら、そうではなく子供の頃から練習してるそうです。


 その結果、魔法として生活魔法がステータスに表示される。ここが大きな勘違いだった。生活魔法も一つの属性なんです。


 始めに気づくべきでした。俺のステータスに生活魔法が無い事で……


 だからちゃんとした生活魔法を練習したら生活魔法としてステータスに表示されました。


 俺がやっていたのは属性魔法によるなんちゃって生活魔法でしたから、生活魔法としてステータスに表示されなかっただけなんです。


 生活魔法って消費魔力が非常に少ない物なので、レベルや魔力量が低い子供でも使えるし、練習次第で直ぐに憶えてしまうから、先天的だと俺が勘違いしていました。


 生活魔法を属性だと思っていれば、魔法はイメージだと言う事は失われなかった?


 だって生活魔法もイメージで教えているんですから……


 その結果、属性を持っていない人はこの生活魔法以外使えないと思っているから、一切イメージすることはありませんから、俺が無魔法に分類した魔法が生まれなかったのです。


 魔法はイメージだと思っていれば、もしかしたら身体強化の魔法は生まれていたかもしれません。


 そうしたら人類のレベルももっと高くなっていたかもしれないし、魔境の森も開拓されていたかもしれない。


 こうなったもう一つの原因があります。それは属性魔法が先天的に授かるからです。


 先天的にしか属性魔法は授からない。そう思っているから、イメージすることを放棄し、属性持ちも同じように放棄した結果、自然現象の様な魔法しか扱えないようになってしまった。


 これがこの世界の現実、遅れの原因に成っている。


 ミランダ達と無属性の魔法を研究した時に、実は俺は属性魔法も後天的に発現するんではないかと思ったのです。


 現状ミランダ達に無属性魔法の表示はされていませんが、これも使い続ければいずれ表示されるんじゃないかと思っています。


 無属性というくらいですから属性魔法なんですよ。


 属性魔法なのに使える魔法が個人で違うから属性とは思えませんが、文字通り属性が無いと考えれば、属性を持たない魔法ということになります。


 そしてこの無属性がステータスに表示されるのには条件があると考えれば辻褄も会います。


 なぜならスキルがそうですから、錬金術のスキルを発現するには条件がある。錬成陣を使ってるだけでは発現しない。


 実際フランクは錬成陣で物質の分離は完ぺきに出来ますが、錬金術のスキルは発現していない。


 俺の場合は特殊過ぎて参考にならないが、創造魔法で魔法を造った後に、属性魔法がステータスに後から表示されたことは事実なので、後天的にも発現は可能なのではと思います。


 他にも、創造魔法で作った魔法にも魔法陣はありますから、この世界は拒否していないと言う事なので、この世界の人にも条件さえ合えば使えると言う事です。


 その条件が、魔力量なのか、イメージ力なのかは解りませんが……


 この世界は言ってみればボタンの掛け違いをしてしまった事で歪に発展したと思えば納得できるんです。


 歪に成ってしまったものを現状無理やり元に戻しているという状態ですね。俺という異物を使って。


 この先魔法は進化するでしょう。今すぐには無理でも、魔法はイメージだと認識する人が多くなれば、研究する人が増え、固定化してる生活魔法でさえ進化するかもしれません。


 例えば生活魔法のライトの時に、光球を二つ出すとかね。


 そうそう話がそれてしまっていますが、監督官は錬金術師三人衆が交代でやってくれています。


 何故この三人かというと、この三人は魔力量も多いし、魔法に関わり続けていますから、研究の監督と同時に上手くいけば属性魔法を発現するんではと思っているからです。


 俺の場合はチートですけど、そのお陰で属性魔法も錬金術も何でもありですが、言い変えれば、この世界の人でもそうなる可能性はあると言う事なんですよ。


 だって俺のチートでも魔法やスキルは初めから持っていませんでしたからね。


 ただ経験値100倍何ていうチートを持っていたから、習得がはやいというだけなんです。


 だったら、経験さえ積めば他の人にも習得できる可能性があるということです。




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