第94話 あれ?生徒が減らない

 ニック との話がまとまった、その次の日にはニックは王都に帰って行った。

 二期生の卒業がまじかだから、三期生の入学まで時間が無いし、準備や引き継ぎの為に急ぎ王都に帰った。


 三期生の募集はもう終了していて、生徒数も確定してる。予測通り減少して700人ほどだ。これでも俺は多いと思った。俺の予測だと500人前後だと思っていたんだが、以外に多かった。


 生徒数も決まったから後は二期生を卒業させるだけだと思っていたある日、王都から緊急の知らせが届いた。


 内容は「普通科を作れ」だった。


 普通科? 此処は職業訓練校ですよ。魔道具科を作れならまだ理解出来るけど、魔法科も無いのに普通科?


 まして連絡内容には普通科に200人生徒を送ると書かれていた。


 ちょ! ちょうまてー、二期生の卒業まで1週間、三期生の入学まで3週間も無いんだぞ。

 普通科を名ばかりで作れというなら作れるけど、学科としてちゃんと作るなら、カリキュラムも検討しなくてはいけない。3週間でそれをやれと?

(責任者出てこーい)あ! 王様か……


 例によって緊急招集! グラン一家及び三人衆集まれ!


「グランさんこれどういう事ですか? いくら何でも無茶ですよ」


「私も無茶だとは思うよ、だけどねこれ王命だから」


 王命それは絶対。王制の国で王の命令より優先されるものは無い。

 ましてこの王命、俺宛じゃないんだよな、表の代表はグラン商会、グランさんなんだよな。正確にはジーンだけど……


 これやらないとグランさんに迷惑が掛かるんだよね。グラン商会に被害が出ると拠点全体に被害が出る。これは俺一人が駄々をこねてもどうしようもないな。


「普通科を作るのは施設的には問題ないですが、一番の問題はカリキュラムと教師です、どうします?」


 しかしまた急にどうしたんだろう? グランさんは何か聞いていないんだろうか?


「どうして普通科なんですか? グランさん何か聞いてます?」


 グランが言うには王様一行の視察が決め手だったそうだ。地理や歴史は教えていなくても、貴族さえも凌駕する計算能力と思考力。


 この国が今まで停滞してる事に気づかなかっただけで、ちょっと思考を変えるだけでこれほどまでに国が発展したのだから、止めてはいけない。だから教育を見直そうと言う事らしい。


 言ってる事はその通りなんだよね。実際俺がやって来たのはこの国? この世界の気質を変えようと刺激したんだから、当然の反応何だけど、無茶が過ぎるよホント……


「普通科だったら歴史とか地理教えないといけないんですよね?」


「そこは私がビクター様に相談してくるから、他をユウマ君頼めるかい?」


 わ~~ そうきますか、そうくるよね~~ そういえば200人の生徒って? まさか貴族じゃないよね? 王都の貴族の学校って大体100人ぐらいだっていってたよね、それだと人数が合わない。


 これは早急にグランにビクターから情報を貰って来て貰わないと拙い。


「グランさん、早急にビクター様から情報を貰ってきてください」


 3日後グランがビクターから情報を貰って来てくれた。


 内容は歴史と地理の教師は国が派遣する。1日歴史1時間、地理1時間

 但し、読み書きは必要なし。算数と体育は必須。スキル発現は可能なら。 期間は1年。これ以外は学校に任せる。生徒は貴族100人、下級官僚50人 商人50人 年齢はバラバラ。


 年齢がバラバラというのは職業訓練校らしくなったけど、貴族が100人か~~

 1クラス50人にすればいらぬ諍いは起きにくいだろう、問題はやっぱりカリキュラムだな。


 この学校は8時から16時まで、昼休みが1時間だから午前中が4時間、午後が3時間

 午前の2時間は歴史と地理で確定、残り2時間は算数、問題は午後だな、体育は毎日は出来ないスライムの増殖ペースがあるから、これは今まで通り週1~2回、これを午前の算数の時間に入れよう。

 そうすれば午後の3時間だけ考えれば良い、職業科は実習だけど普通科は何をさせようか?


 前世だと国語、算数、理科、社会なんだけど、国語は要らないし、無いのは理科なんだけど、この世界で理科と言えば錬金術や薬師だから普通科には要らないんだよな。


 あ! そうかもう一つあった。この世界の理科と言える物、魔法だ。

 魔法科は何時か作りたいと思っていたから、丁度良い。予行演習のつもりで授業を考えてみるか。


 魔法とはイメージである。しかし使える属性魔法には適性がある。

 仮説では無魔法は全員使える、ただ使える魔法に適性がありそうという所までは確認できているから、広めるか悩んでいたけど、この際だから身体強化を試してみよう。


 これを全員取得できるか確認すれば、適正について確証が得られる。これは2か月もあれば大丈夫だろう。


 属性魔法は適性があるが、これってどうやって本人は理解してるんだろ?


 あ! ステータスか! そうだよな洗礼とかそういう儀式で判明するなら闇も周知されてるだろうから、儀式的な物で判別はされていないな。


 良かった気づいて、こんな事絶対人に聞けない、お前は何処の生まれだって言われる案件だよ。


 ただこれが先天的な物か後天的な物かは解らないな? これも聞けない。

 でも仮説は出来る、後天的なら俺の周りに一人ぐらいそう言う人がいてもいいはずだけど聞いたことが無い。それに錬金術師三人衆なんてイメージで魔法を使い続けてるのに誰一人属性魔法を発現していない。


 属性魔法持ちにはイメージで魔法が作れることを授業で研究させよう、持っていない人は無属性の魔法を研究させよう、例えば以前考えた魔力の腕みたいに。


 これでカリキュラムは問題ないだろう、問題は教師だ。


 俺がやるのが一番簡単なんだけど、これって一番やってはいけない事でもあるんだよな。

 スキルはまだ良い、後天的に発言するものだし、新しい考え方をする人だで誤魔化せる、でも魔法はそうはいかない先天的で複数使える人は今の所確認できていない。


 俺全属性だもんな~~~


 属性を隠して魔法はイメージであると言う事を教えるしかないか?


 あれ? やっぱり俺がやることになるのね……






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