第87話 付与魔法

 スライムパウダーが特許登録され、パンのレシピと炭酸水の作り方が公開されてから瞬く間に国中に広まり、食事のレベルが上がったと同時にスライムの新しい活用法が増えたと国からグラン商会は感謝された。


 俺が温泉銭湯やスライムパウダーで孤軍奮闘してる頃、拠点の錬金術師三人衆にはとんでもないことが起きていた。


 俺が錬金術師三人衆にスライムパウダーを使った洗顔やパック、シャンプーなどの新商品作成の以来の進捗状況の確認に行った時、三人衆は何時にも増してニコニコ、にやにやしていた。


「ミランダさん、どうしたんです? 無茶苦茶機嫌が良いようですけど?」


 洗顔などの依頼は出してるけど、今回はユウマはノータッチなので、作成には時間が掛かると思ってるから、機嫌の良い理由が解らなかった。


「ユ! ユウマさん、 き! 聞いてください! やりましたよ! 私達」


 ミランダが三人を代表してユウマにそう言って来た、他の二人も首を上下に振ってうんうんと頷いている。


「ミランダさんそんなに興奮してどうしたんです? 何をやったんです?」


 ユウマにそう言われて三人は示し合わせたように同時にユウマの前に手を出した。


 そこには手の平に乗った魔石があった。


 そしてミランダの合図で三人は魔石に魔力を流しライトを付けた。


「そ!それってライトの魔石を作ったという事で合っています?」


 ライトの魔道具は当然拠点にはあるからわざわざそれを俺に見せる意味は自分達で作ったと言う事だろうと判断した。


「そうです、私達が作りました」


 そう言われて俺は直ぐに三人を鑑定した。


 残念ながら付与術のスキルは発現していなかったが、これは俺以外が作れた、れっきとしたこの世界初の魔道具だ。


「素晴らしい、おめでとうございます。これは歴史的大きな第一歩ですよ」


「そんな、ユウマさんは普通に作れてるじゃないですか」


 それはそうなのだが俺はチートだからであって、一般人の三人がやったことは本当に素晴らしく、誇ってよい事なんだが、俺の事は言えないので笑って誤魔化すしかなかった。


 しかし、これまで結構時間が掛かっていたのに、1人ならまだ解るが何故三人とも同時ではないだろうが急に出来たんだろう?


「三人同時にって何かコツでも掴みました?」


「それがですね、コツと言えるかは解りませんが、ローズが魔石に魔法を付与するのに、イメージをし易くするのにユウマさんが作ったライトの魔道具をつけてそれを見ながらやったんですよ、そしたら出来たので私達もやったら出来ました。」


 なるほどイメージの補完か、勿論ずっと練習してきた事も要因し魔力も多いからだろうが、最後の切っ掛けがイメージの補完ということだろう。


 ならこれは試す価値あるな、今回彼女たちはずっとライトの生活魔法でやっていたが、切っ掛けは掴んだんだから、違う生活魔法でもやってみると出来るかもしれない。


「折角だからこれをちょっと試してくれないかな?」


 俺は未使用の魔石を三個と俺がプチウォーターを付与した魔石を渡して、それで彼女達の生活魔法のウォーターを付与してもらう。ライトと同じようにイメージの補完として、俺が作った魔道具を使用しながらやって貰う。


「初めてウォーターを付与するので出来ないと思いますよ」


 ミランダはそう言ったが、結果は三人とも付与に成功。


「え! うそ? で! 出来た!」


「じゃ次はこれね、危ないからこれはこの台の上でやってね」


 そう言って次はプチファイヤーを試させた。


「なんで? なんで? なんで?……」


 じゃ最後にこれ、今度は目に見えないから難しいかも?」


 最後はプチウィンドの魔道具、今度は目に見えないから、風を自分で受けながらやって貰う。


「……」


 三人とも放心状態、最後のウィンドも見事成功、此処まで来ると俺の方が興奮してる。


 三人をもう一度鑑定。(やっぱり)口には出さないが三人共に付与術のスキルが発現していた。


 この結果から付与術のスキルを発現するには一定の魔力量、多くの練習、生活魔法の基本四属性(光、火、風、水)の付与実績もしくは4つ以上の属性付与、イメージ力(足りなければイメージの補完)


 他にもあるかも知れないが、大まかにはこんな感じかな?


 錬金術師は日頃から錬成陣にイメージを持って魔力を流してるから発言が早いのもあるかな? 抽出したい、分離したい、結合したいって感じでやってるからな。


 付与術は正直錬金術師が一番向いているかも?


 三人の現在の魔力量はMP500前後、生活魔法はOKだったけど他の属性はないから、出来るとしたら俺が思ってる無ができるか?


だって神様情報だと、属性持ちは無の魔法とその他と言うことだったのに、実際は無を使っている人は見たことが無い。


 俺はこの世界の人全員無の属性の適正はあると思っている。


 この世界の人の多くを鑑定したけど無の魔法適性の人は見たことが無い。俺のステータスにはあると言う事は誰も無の魔法を使ったことが無いと言う事でもある。


 この世界に空間属性は無いから、結界とかアイテムボックスは無だろうと予測してる。


 だって俺はアイテムバック作れるけど、空間属性とか無いから……


 身体強化も無だろうな。俺は使ってるけどこの世界の人が使ってるの見たことないし、聞いたことも無い。


 あれ? この世界に闇魔法使ってる人いる?


 これってもしかして俺がこの世界には無いと思っていた。呪いとか隷属とかできちゃう?


 俺は闇魔法のスリープぐらいしか使ってないけど、ティムの魔法ってもしかして精神干渉だから闇魔法?


 これってやばいかも? 俺のステータスにあるという事はこの世界のルールには反していないという事。


 まだ俺が見つけていないだけで、闇魔法の適性がある人いるかも?


 ただその人達が闇だから暗くするとかそういう使い方しかしてないから広まっていないだけか? 他の国では使われているかも?


 ティムの魔法陣世の中に出すの考えなきゃ、無理かも?


 ?????ばっかりどうしよう?

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