第69話 パワーレベリング2

 配送部門が稼働したのが馬車の増産が出来た6月。馬車は2か月で9台生産できた。


 殆ど二人で作ってるからチートの俺がいるとしてもこれが限界、これからは職人が増えるまで1人だから台車の生産だけでもそう数は出来ない。


 鍛冶職人も鍛冶スキルは生えている、馬車製作で習熟度も上がったようだけど、弟子を取れるかといえば難しい所、鍛冶に関してはもう暫く経験者(鍛冶見習い)を募集しよう。


 鍛冶に馬車製作という新しい製品が増えたことで応募してくれる人もいるかもしれないから。


 上物は木工職人にこれからは作って貰う予定、特許の登録も済んだから外注できるようになった。


 ただスライムのクッション素材は拠点で作っている。硬さが色々あるし、スライムを養殖してるのは此処だけだから。


 このスライムクッション素材はラロックの村に好景気をもたらした、馬車の椅子の部分のクッションは皮だから革職人に仕事が行く。


 そうするとそれを見た家具を作る木工職人が普通の椅子にそれを使う為また革職人の仕事が増える。


 貴族や裕福な人は現状高価な綿でクッションにしてるが綿だから耐久力がなく直ぐへたってしまう。


 庶民の家具の椅子はただの木製、馬車の椅子も木製、当然長時間座ってるとお尻が痛い、だから布製のスライムクッションを作れば当然売れる。


 拠点に裁縫職人はいないので外注に出すが、裁縫職人だけでは数が作れないので村の女性なら簡単な裁縫は出来るからまた外注に出す。


 その結果ラロックは好景気、その影響はラロックだけではない、布を作る職人が多くいる村や町も当然忙しくなった。


 その裏にはグラン商会配送部門の活躍も大きかった事は当然の事である。


 そんな中、俺とフランク、ロイスの三人は現在俺の拠点にいる。


 2週間の予定でパワーレベリング中、レベリング前のフランクはレベルが5、ロイスは3、今日が最終日でレベリングの結果はフランクが12、ロイスが10に上がった。


 今回は朝から晩までだし、2人だけだからレベルの上がり方が半端ない。


 二人はもうベテラン冒険者並、これで結界の魔石があれば移動だけなら半日掛からずにラロックから俺の拠点に来れるだろう。


 レベリングを始めた当初は二人から白い目で見られていた。


 フランクは二度目だから俺のアイテムボックスが異常に容量があることはそれなりに気づいていただろうから、それ程気にならないだろうと思っていたけど、今回は時間も長いから倒す数も多いので流石に呆れて、追及はしてこなかったけど睨まれた。


 ロイスは流石に追求してきたけど、適当な返事しかしない俺に途中からはロイスも諦めて、何とも言えないような目で見られていた。


 フランクは初めからそうだが俺の事を殆ど追及しないし鑑定すらしない、何故かは気になるけど、こちらから聞くのも変だし俺にとっては好都合だから視線ぐらいは甘んじて受けた。


 今回二人に持たせているのは俺製の剣、この剣は少量ではあるけど人工的に作ったミスリルの混ざった合金で出来ている。


 この剣を持たせて切る時に魔力を流すように言ってレベリングを始めたが最初は殆ど出来なかった。


 上手く流せると切れ味が良くなる、勿論流せなくても普通には切れるけどね。


 一週間ぐらいした時、フランクがスモールボアの首を一刀両断した。


 その時のフランクの驚きようは凄かった。


 レベルの低いホーンラビット位ならフランクも首を両断するぐらいはやったことはあっただろうが、今回はスモールボア、ましてレベルが違うのだから当然だ。


 剣を渡す時、魔力を流せば切れ味が良くなるとは言ってあったが、流石に此処までとは思っていなかったみたい。


「な! なんだこの切れ味、どういう事だユウマ!」


 他の事は聞いてこないフランクでも商売になりそうな事は聞いてくる。


 こんな剣を売れば飛ぶように売れるだろうからね、それに対する俺からの答えは


「ポーション以上にやばいけど聞く?」


 ポーションはもう改良版も作ってるから販売も出来る状態だけど、流石に関係する組織が大きすぎるから躊躇してるのにそれ以上と言われればフランクも悩んだ。


「今は止めておこう、でも何時かは聞くからな」


「そう、その方が良いよ」


 人工ミスリルは流石にやばい、天然のミスリルも見つかっていないのに、人工的に作れるなんてとてもじゃないが言えない。


 そんな風に考えてるのにそれを使わせてる俺も矛盾してるけど……


 だって見て見たいじゃん、チートの俺は使えて当然だけど、そうじゃない人が使えるのか? 効果はどの程度か?


 俺の考えは正しかった。一度成功したフランクでも毎回という訳では無く毎回出来るようになるまでには時間が掛かった。


 ロイスも出来るようにはなったけど、毎回という所までは最後まで行かなかった。


 レベリング後剣は回収、これは表にまだ出せないからね、その時の二人の目は今までで一番凄かった。


 今度ミスリル合金のナイフぐらいは作ってあげるかな? 魔力を通す練習にはなるだろうから……


 レベリングから帰ったフランクに変化が起きた。レベル上昇によって増えた魔力量のおかげで、砂から珪砂の分離が完ぺきに出来るようになった。


 今までも出来てはいたけど、完ぺきではなく他の物質が残っていて透明なガラスは作れなかった。


 それならと言う事で今度は俺が砂を成分別に分離して、その成分を教えて成分ごとに分離できるように練習してもらう。


 今度は時間も掛からず出来るように成るだろう、分離という一種の錬金術なんだが、フランクに錬金術スキルは生えていない。


 ポーションの作成って素材を錬成陣を使って錬成するだけなんだけど、その工程の中に抽出、分離、結合の要素が全て入っているから、完璧なポーションを沢山作ることでスキルが生えるのかな?

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