第65話 三度はないよね?
新しい仲間が増えて、先ずはミランダ達には弟子の指導をお願いする。
だが従来とは違う方法でやって貰う、やり方は経験者も未経験者も初級ポーションを初めから最後まで一人で失敗しても良いから作り続けてもらう。
本来の弟子制度だとポーションを作るようになるのは1~2年の下積みの後。
下積みの間は薬草の手入れや器具の洗浄などが主な仕事、ポーションを作れるようになっても一日に作れる量は多くない。
それでも人によっては3~4年でスキルが生える人もいる。生えない人は長い人だと10年という人もいる。
こう言ったらなんだけど、多分この世界のやり方は間違っていると思うんだよね。
だって下積みをしても錬金術の経験値は溜まらないと思うんだ、全く0とは言わないけど、左官スキルが発生した人はやはり塗るという行為がカギだった。
だってあの後レンガ職人に建物の外壁を塗って貰ったら、また一人左官スキルが生えたから。
全員では無かったから個人差なのかまだ別に要因があるのかはまだ解っていないけど。
だから此処では錬金術を初めからやって貰う、薬草などの材料は俺が採ってこれるから実質材料費0。
それに言っては何だけど、器具もガラスや強度の高い陶器など、不純物が入りにくい、初級ポーションぐらいならイメージさえしっかりできれば必ずできる。
出来るように成れば、ただ後は魔力が続く限り繰り返すだけ。
これを繰り返してたらレベル上がらないかな? 極限まで毎日使い倒せば上がるような気がするんだよね、もしくは魔力総量が増えるか。
俺の場合は使い切る事はしていない、レベル上昇だけで充分賄えてるから気にしてないというのが本当だけど。
だってね、町を一生でない人でレベル1の人もいるとは言ったけど、同じレベル2の人でも総量が違うんだよ。多分これって日頃生活魔法などを使う頻度とかで違って来てるんじゃないかと思うんだ。
実際ミランダ達ってシャーロットとローレンと同じレベル2だったけど魔力総量は倍ぐらい違ってた。
それにミランダの話だと上級ポーションを作れる人って殆ど高齢なんだって、それって長年魔力を使ってきたから総量が増えて作れるようになったんじゃないかと思う。
だってパワーレベリングしてミランダ達の総量を強制的にあげたらミランダ達はいまでは上級ポーションも作れてるからね。
この世界の仕組みをまだ解っていないな、どうやって女性陣はレベル2になったんだろう?
フランクは単純に町の外に出る機会が多かったから、魔物を倒してるからレベル3だった、でもそれだけじゃないよな、冒険者程は倒していないだろうし、う~~ん法則があるようでそうでないような。
これも研究するべきことだよな、法則がはっきりすれば効率が良くなるんだから。
一方、フランクにはガラス職人志望の2人にこれまたいくら失敗してもいいからどんどん作らせるように言ってある。
材料は当分全部俺が用意するからと言って、でもフランクにも課題は出してある。
錬成陣で砂から珪砂だけを分離する練習を指導の合間に行うように。
「そうだこれも錬金術師の卵たちにもやって貰おう」
分離の練習に成るだろうから。
で、俺はというとエリックとお勉強、エリックは流石に現役薬師の息子だけあって、俺がフランクから借りてる本より詳しい物を持っていた。
それプラス、エリックが知ってる限りで今ある薬で治せなかった病気の症状を聞きだす。
その代わりと言っては何だが、俺の作った器具で薬の調合をやりまくって貰う。
これは俺の勘だが、エリックが未だにスキルが生えていないのは調合の成功率が低いんではと考えてるから、だって知識や経験は十分にあるはずなんだよ、英才教育されてるからね。
それでもスキルが生えないのはちゃんと成功した薬が出来ていないじゃないかと、成功したものをそれなりの数作ればいいだけじゃないのか、その仮定の上でだけど。
スキルって言い変えれば補正が掛かる事でもあるんだよ、極端なこと言えばいい加減にやってもスキル持ちはスキルがない人よりもましな物が出来る。
剣術のスキルだってそう、剣は誰でも振れるけど、剣術スキル持ちは何気なく降っても剣先がぶれない。それでもスキルが生えるまでは正確に振る練習が必要、これと同じだと思う。
そんな感じで動き始めた翌日の夕方、そろそろ仕事も終わろうかという頃、またまた馬車がやってきました。
昨日の朝早く、ジーン一家は領都に戻るために出発してる。
今現在ラロックに居るのはグラン夫妻とフランク一家、ジーン一家が途中で引き返したのでは無ければ、今頃は領都に着いている。
ジーン達ではないのなら誰だろう?
俺が見たことあるような無い様な、そんな感じでいる時
「ご隠居様!」
俺の横に来ていたグランに御者が言った。
思い出したこの人確か例の医者に拉致されたって言っていた人だ。
領都で何かと俺の世話をしてくれた人でもあったから心配したんだよな。
「どうしたロベルト何かあったのか?」
ロベルトさんと言うのか、ジーンの片腕の一人だと言っていたな。
「始めてきましたが凄い所ですね。あ! 驚きすぎて肝心なことを済みません」
そこから話されたことは、2日前に有った事によく似ていた。
領都の従業員が帰省した折に、グラン商会はこれから凄い事に成るという様な事と職人見習いを募集する事を家族や知人に話した結果、7人程集まったそうだ。
今回は全員男性、その内6人は職種は何でもいいそうだ。しかし一人だけは違った。
鍛冶がやりたいそうだ。鍛冶職人も募集したかったけど、今は鍛冶に関係する新商品は無いから急いではいなかった。
いずれは必要になるとはグラン達にも伝えてるし、鍛冶工房も作ってある。
鍛冶がやりたい理由を聞けば、弟子入りしていた親方が急に亡くなり、再度どこかに弟子入りするか、辞めるか悩んでいる時に職種問わずの見習い募集を聞いて応募したそうだ。
これはチャンスかも! しがらみのない鍛冶経験者、鑑定で見る限りスキルはまだの様だけど、それこそスキルの研究対象にもなる。
それにね、実は少量だけどミスリル出来たんだよね。
本当に少量、銀貨一枚位、魔境のオークの魔石が10個入る箱の中に銀貨ぐらいの純銀を入れて、魔法陣で魔石の魔力を銀に入れ続け、魔石の魔力が抜けたら俺が補充の繰り返しを1月ぐらいやったら、純銀が魔法銀(ミスリル)に成っていた。
総ミスリルの武器なんかは出来ないけど、合金にしたら面白いものが出来そうな気もするし、ミスリルによって魔道具も作り易くなる。
ミスリルの出来る過程は解ったから、ミスリルがある可能性が一番高いのが魔境深部。これが分かったから長期探索も一応視野には入れている。
直ぐには無理だろうけど……
ロベルトさんの要件は全く問題ないので、前回同様グランさんが対応、今日はゆっくりして貰う事に。
ロベルトさんは翌日名残惜しそうな感じで帰って行った。
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