第61話 お話し合い
今後の方針を俺なりに決めてから、その方針に従って色々作業を始めて2日後、やってきました取引日。
今日はラロックの拠点で一泊する予定、フランク達と今後について話しておきたいから。
「まいど! 今日もいつもの、あ、それと今日は果物も少し持ってきたよ」
今の季節は日本でいう秋ぐらい、魔境の森の奥ではあまり関係なく同じ果物なのに一年中、交代制のように果物が実をつける。
森の拠点位の深さだと多少季節感はあるんだけど、森の奥に行くとそれが全くない。
最近は拠点近くだとレベルが上がり難いので、出来るだけ奥に行くようにしてる。
この間一度だけ一泊コースで行ける所まで行った。移動速度も最高で行ったから、かなり深くまで行ったと思ったんだけど、結局終わりは見えなかった。
良く物語にあるように森を抜けたら海だったを少し期待したんだけどね。
俺の移動速度の最高で一泊コースだから、普通の人なら1週間コースは超えてると思うから、本当にこの森は深い。
もっとレベルが上がって人種最高のレベル50ではなく世界最高のレベル90(エルフ)を超えたら、もう少し冒険するつもり。
今のペースなら1~2年後かな?
俺がこの世界に来たのが季節的には春の終わり頃だったようだから、半年は過ぎてるんだな此処での生活も……
「ユウマ今日は取引の後少し話せないか?」
こちらも今後について話したかったからフランクからの誘いは好都合だった。
「俺も話したいことがあるから丁度良かった。 今日は拠点に一泊する予定で来たから飯でも食いながら話しましょうか」
「そうか、それなら俺も今日は拠点に泊まるかな、燻製商品を店に持って行ってからまた戻ってくるよ」
そんな会話をしてから俺はフランクと別れて拠点に向かった。
拠点ではレンガが大量に作られて拠点の防壁の8割がたが完成していた。レンガ職人の腕が上がり効率的に作業が出来るようになったからだろう。
「ん? あの職人レンガを積み上げるの他の人よりかなり早いな、もしかして?」
気になったので人物鑑定をしてみた、するとこの世界で初めて左官スキルを発見する。
他のレンガ職人には今の所スキルは何も生えていない、レンガの製造って一種の陶芸みたいなものだけど、陶芸スキルは陶芸の親方クラスにしかないんだよな。
スキルの発生にはまだ謎が多い、俺は特殊だから参考にならない。
左官スキルの発生はかなり興味深い、ちょと話を聞いて研究しよう。
フランクが来るまで時間もあったから、職人たちのお昼休憩の時間に拠点の職人全員に果物のおすそ分けをして話を聞かせてもらった。
解ったこと、左官スキルが生えた人はレンガも作っていたが本人が防壁を作ることが楽しくて、率先して防壁作りをしていたみたい。
それに農家の自宅でも家の竃が壊れるたびにこの人が修理していたそうだ。
左官スキルの発生には塗るという行動が関係してる事は確かなようだな。
今度、他のレンガ職人に拠点の建物のレンガむき出しの壁を塗ってもらおうかな?
それで左官スキルが発生すれば条件確定だもんな。
「お待たせユウマ、拠点の防壁大分出来ただろう」
フランクが拠点に戻って来たのは午後の3時休憩が終わった頃だった。
お気づきだろうこの拠点では10時休憩と3時休憩があるのだ、これは俺が提案してやって貰っている。
この世界では基本決まった休みというものがない、曜日の様な物はあるんだけど、あくまで1週間が分かる為の物で、前世のように日曜日が安息日と言う様な概念が無い。
しかし休みと言う概念はあるから、週に一度職場全員休む所もあれば、交代で休む所もある。
グラン商会は交代制、従業員もいないような商店では店休日がある。
この拠点はグラン商会の物だから交代制、だけど前世で社蓄だった俺としては職場環境は大事にしたいと思って、8時間労働は無理だとしても適度な休憩は必要だろうと言う事で10時と3時に休憩を作って貰った。
この世界って夜明けが仕事始めで、日没の少し前が仕事終わりというのが基本
時間の概念はあっても、時間では動いていない。
だから夏は仕事時間が一番長く、冬は短い。魔道具が普及したら変わるのかな?
でも、農家とかは変わらないか……
「作業が早くなったんだね、あと1月もあれば完成かな?」
後で左官スキルの事話そうかな? いや、確か俺が鑑定スキル持ってる事フランクは知らないよな。
フランクは俺を何故か鑑定しないんだよな……そう言えばグランさんも……
実は一度だけフランクもグランもしている。それに俺が気が付かなかっただけだ。
スキルの事は取りあえず置いておこう。
ミランダ達は今も拠点に寝泊まりしてる、此処が快適だからという理由で、だから今日はフランクと俺の分も含めて5人分の夕食を久しぶりに俺が作る。
そう言うと4人の目がワクワクしてるのように輝いている、そんな特別な物作るつもりはないんだけどな。
夕食はまぁ普通に美味しく食べて、食後のハーブティーを飲みながら、先ずはフランクから報告があった。
内容は、特許の法律が出来て、約2か月後には施行されると言う事。
窓口は商業ギルド、細かい内容は近いうちに辺境伯経由で届くだろうから、それが届いたら登録するべき特許は全てして、ポーションと魔道具以外は販売を開始すると言う内容だった。
「そこでだ、特許の申請者はどうするユウマ?」
あぁそうか特許の申請者が俺だと、俺と言う存在が世間に広まってしまうと言う事か、それを気にして聞いてくれているんだな。
「グランさんかフランクでいいんじゃない? 化粧品関係はローレンさんでもミランダでも」
俺がそう言うと
「俺! 嫌々それはちょっと」
「え! 私? 何言ってるんですかユウマさん」
「だって俺表に出たくないし、駄目かな? 俺引きこもりだよ」
この世界に引きこもりという概念があるかどうかは分からないが、事実として殆ど森から出てこないのだから、意味は通じてると思う。
「しかしな~~~」
「ユウマさん流石にそれは……」
二人はどうしていいか分からず、生返事の様な言葉しか出てこない。
そこで俺は閃いた! まだ特許の法律の詳細が解っていないから絶対とは言えないが、もし前世のラノベの様な法律なら、匿名という方法が取れるのではと思った。
「じゃあさ、匿名と言う事には出来ない?」
「匿名? 名前を伏せると言う事で合ってるか?」
「そうそう、それ!」
フランクも法律の詳細を知らないので、出来るかどうかも解らないが出来るならそれが良いだろうと思ったのだろう。
「それ父さんに聞いてみるよ」
特許については今は此処までかな。
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