第60話 とんでもない勘違い

 本当に俺って馬鹿? 前世でラノベやアニメの見過ぎで、魔石は当然使われている物だと勘違いしていた。


 そうだよね魔道具って一つも見てない。


 魔法陣があるなら魔道具だって当然あるはず。俺のように魔石に直接魔法を付与できる人は見たことないし、存在するのなら魔法陣が無くてもなんらかの魔道具はあっただろう。


 それすらないのだ……。


 結論、魔法陣はこの世界には存在しない。錬成陣はどうしてあるのか解らないがそれを考えても意味がない。


 ま! 錬成陣ってただのまるの中に星形があるだけだしな。


 深くは考えないけど、もしかしたら神様の神託とかで大昔に誰かが教えてもらったのかな?


 魔法陣は正直難しいもんな、魔法文字だけでも結構あるし、法則も覚えるまでが大変。


 あれ? そうするとミスリルが高価になると言うのも今は前提にならないのか?

 魔石は捨てられてると思うからね。


 これは今度村に行ったら、フランクやグランに頼んで魔石を冒険者ギルドで確保して貰わないと。


 あ! そうだ魔境以外の森の魔物ってレベルが低いんだった。そうすると魔石も小さいか魔力が多くないのか?


 もしかしなくても俺ってとんでもないものをフランク達に見せてる? ましてやグランの話では辺境伯にも見せてるよね、これってやばくない?


 確かにレンガとかガラスとかこの世にない物を見せてるから、魔道具だってそれと同じようなものだけど、どうしてそこまで気にしていないのかな?


 そうか生活魔法がありふれているからか、魔道具も魔法だから今まで見せている魔道具で特殊なのは結界ぐらいだ。これも未知の魔法と言えばそうだけど、魔法の一つでしかないんだよな。


 この世界ってやっぱり歪だ。そうは言ってもやり始めてしまったからどうにか道筋は作らないとな。


 でもそれをやると、俺、隠れてひっそりとは行かなくなるよな、う~~んどうしよう。そうだ取りあえず出来る事はあるな。パルプ紙はまだできないけど、和紙は作れたから、これで本を作ろう。


 今、俺が研究して解ってる魔法陣についてや魔法について本にまとめよう。


 最悪俺がいなくなっても誰かが研究してくれれば進歩はするだろう。


 世界の産業革命って知識の蓄積から出来たものだからな。


 ここに来て異世界に来た当初の事を思い出すな、お詫び転移だったけど数ある世界の中から、この世界に俺を送ったのには意図があると思っていたことを、これまでも人任せにしようとしてたんだから、究極の人任せは教育者を育てればいいんだ。


 そうと決めれば、先ずは魔法陣の本を作ろう魔法陣さえ広まれば、魔道具は自ずと進歩する。


 前世に有ったラノベやアニメの主人公はお金稼ぎが多かったけど、俺って基本現状に不満がないし、必要な物は殆ど自作できる。


 しいて言えば主食のように大量にいる物だけはこの拠点では作れないから、それが買えるだけの金があれば生活できる。


 実際金貨なんてまだ見たことも無い、小金貨で10万、金貨って前世で言う100万円の価値だからな。


 フランクの俺への支払いだって殆ど銀貨だし、一度小金貨で払おうかと言われたけど10万円硬貨を出されても普通の店だと嫌がられるだけだから、断った。


 しかしこれからどうなるんだろう? フランク達との適度な付き合いは心地良いけど、ただそれだけの生活というのも味気ない。


 17歳に若返って、正直前世では出来なかったことが此処では何でも出来る。


 出来るのにやらないと言うのも何だか寂しい人生になりそうだけど、このままやりたい放題やると、小説の主人公のようになってしまう気もするのも確か。


 どう考えても俺って世界の中心なんだよね。中心に成りたくない中心これ如何に……。


 魔法陣を広めて、魔石の利用価値を広めればそれだけでも世界の大変革だよな、グラン達には魔道具はまだ完成ではないと伝えているし、魔法陣についてはまだ全く教えていない。


 だからこそ、ここからは今まで以上に時間を掛けて慎重に行かなければいけないな。

 魔石を使うポーションの改良も同じだな。


 次、村に行ったらフランクと良く話そう、俺が教えたことで、事件も起こってるからな、人が死んだりしてないからまだ俺も平静を保てるけど、これが死人が出たりしたら、ましてそれが知人だったら、後悔だけでは済まない。


 フランクと話す前に俺としての方針も決めておかないとな。


 1魔法陣の本を作る

 2魔法の本を作る

 3魔道具は現状これ以上見せない

 4魔石を今のうちに沢山回収しておく

 5ポーションの発表はもう少し遅らせる

 6俺が作れる物は全て本にして残す。(紙の製法、調味料など)

 7俺が知っている病気の薬のレシピと製法を本にする(この世界の病気の事を知る)


 大体こんな感じかな他にもあるだろうが、取りあえずやることはこんな感じ。


 後はフランクにどこまで話すかだな、話せると言うかフランクに関係するのは

 4、5、7位かな後は当分無理、出来ても紙の製法ぐらいか、これは教育に必要だからな。


 紙に関係して鉛筆ぐらいはいいか?


 う~~ん今俺はとんでもないことを考えている。ここまで用心深く慎重に成ろうと考えて来たにも関わらず、知人の安全を考えらどうしても作りたいものが出来てしまった。


 もう一度パワーレベリングも考えたんだけど、それでは成長速度の遅いフランク達ではレベル10にするにもかなりの時間が掛かってしまう。


 それじゃ手っ取り早く強くする方法はと考えると武器を作るなんだよね。


 そして考えた武器は異世界定番のクロスボウではなく、魔法銃!


 魔法陣を使える俺なら作れるんだよね、魔石と魔法陣でロックバレットを銃から発射する物を……


 魔石だけだと魔力が魔石から無くなるまで打ち尽くす、前に俺の拠点で見せた魔法のように魔力が空になった魔法だけ込めた魔石なら必要な魔力だけ流せばいいからそれでも良いんだけど。


 フランク達って元々魔力が少ないから、空の物を使うより、魔法陣を絡めて威力も調節出来る物の方が各段に効率がいい、だけど、だけどだよ、魔法銃って魔道具よりやばいんだよね。


 俺の自重ってどこ行った……

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