第41話 パワーレベリング

 朝食を取り終えたら、今日は全員でレベリングだ。


 昨日、錬金術師以外の三人は燻製のやり方を教えて下準備をして貰ったり、拠点の施設を見て回ったり、錬金術の見学をしていた。


「では、今日は昨日話したようにレベルを上げてもらいます」


「レベルを上げると言っても俺が魔物を拘束したり眠らせますので、戦う必要はありません」


この時、誰も拘束とか眠らせるという魔法に気が付かなかった。そんな魔法は現在存在しない。まして闇属性なのだ。


理由は属性魔法の知識が無さ過ぎるのが原因。


 鑑定で見ると全員がレベル2~3、フランクが最近レベルが3に上がったと言っていたぐらいだ。


 町や村から移動しない限り普通魔物に出会うことはないし、出会ってもスライム位。


 スライムでは正直この世界の人では相当倒しても良くてレベルが1上がればいい方、一生レベル1なんていう人もいるぐらいだ。


 この世界では良く小説などにある。魔物のスタンピートや戦争なんていうものもない。あったら木や土で出来た囲いなんて役に立たない。


 過去にあった貨幣の偽造で簡単に国が滅んだというのも頷ける。


 ベテラン冒険者で10~15ですから魔境の森の奥まで何て人は入らない。


 結界魔法もないから、本当に魔境の森だと半日ぐらいのところまで入るのが限界、そこまで入ったとしても取れる素材は多くを持ち帰れないし、危険度を考えれば、一般の森かダンジョンの方が割に合う。


 拠点を出て直ぐに、ホーンラビットのレベル2に遭遇、直ぐにスリープで眠らせて、全員に少しづつ攻撃してもらう。


「眠らせたから、首のあたりにナイフを軽く差して、殺さないように」


 本当なら力のない女性陣でも思い切りよく突けば致命傷とは行かなくてもそれなりに刺せるだろうが、全員のレベル上げが目的なので全員が攻撃できるように敢えて少しにしてもらう。


 無茶苦茶なやり方だけど、これがパワーレベリングとしては一番良い方法。


「えい! や!」


 この世界の人はこういう生き物を殺すと言う事には本当に躊躇がない。


 少しは怖気づくかと思いきや、全くそんなことはなく淡々とやってのける。


「フランクさんがとどめをさして」


「おう! まかせておけ」


「血ぬきはここですぐやるよ。血の臭いで寄って来る魔物は直ぐ俺が拘束するから心配いらない」


 この後殆ど移動することもなく、血の臭いでホーンラビット以外の魔物がわんさか集まって来たので狩り放題。


 殆どがウルフとオークだったのはご愛敬。


 6日間、午前中だけだったけど結果は全員がレベルを2上げた。


 魔境の森の魔物のレベルが高いのと、普通ではありえない程の量を討伐すればパワーレベリングでもこれぐらいは上がるんだな。


 元々のレベルが低いのもあるだろうけどね。


 現在の俺のステータス

 名前 ユウマ (コンドウ) 

 種族 人族

 状態 良好

 職業 商人

 レベル40(10)

 HP 2050/2050  (550/550)

 MP 3220/3220  (820/820) 

 スキル (言語理解EX) 鑑定(EX) (インベントリEX)アイテムボックス

     気配遮断 気配感知 魔力感知(付与術) 木工 陶器

 魔法スキル  風魔法 水魔法 闇魔法、火魔法 土魔法 光魔法 無魔法

(固有スキル) (創造魔法)

 称号  (創造神の加護)


 本来魔法系は隠ぺいしていたものが多いんだが、森に来ているメンバーには目の前で使っているから隠さないことにした。


 この先あまり多くの人と関係は出来ないだろうし、そういう場面になれば全部見え無くしてしまって、鑑定疎外のアイテムを持っていることにすればいいと思ったし、協力してるくれる人に隠すのも信用を無くすからね。


 フランクやグランは鑑定を持っているけど、まったく気にしていないようで始めだけはしてきたが最近はしてこない。


 正直その余裕さえない位、新商品に浮かれているのかも知れない。


 午後からは約束通り、錬金術師三人衆には化粧水の作り方を教えた。


 今回は俺がガラスを特殊な方法で作ってみせたけど、三人衆の反応は当然口を開けたままポカンとしてしていて、ある程度数が出来るまで呆然としていた。


 一番最初に戻って来たのがミランダ


「な! なんですか? それは」


 普通理解できないよな、結界魔法を応用したガラス作り何て……


「これは俺にしか今は出来ないけど、結界の無魔法を習得出来れば貴方たちもやれるようになるよ」


「これは無魔法なんですか?」


 次に戻って来たのがエマ


「結界魔法は無魔法だよ。だけどMP量や習熟度によって出来る強度や応用に限度がある」


「レベルがそれなりに高くないとMPも少ないし、日頃から使っていないと習熟度が上がらないから、誰でもと言う訳にはいかないかもね?」


 一番若いローズはガラス容器を作り終えて肩をたたくまで戻ってこなかった……


 ちなみにローズは19歳、ミランダは21歳、エマ20歳、王都で同じ師匠の下で修業して錬金術スキルを手に入れたそうだ。


 今更ながら、この国の名前はエスぺランス王国、王都はキャメロン

 フランクの実家がある領都は辺境伯領ゾイド、領都名も同じ。


 フランクの店があるのがラロック村(以外に栄えているので町ほどの規模)

 エマは領都から、一番若いローズは何と王都から来たそうだ。


 ローズの場合はたまたま王都での暮らしが上手くいかず、姉弟子であるエマを頼ってゾイドに来ていたのが功を奏して今に至っている。


 ガラス容器が出来たので、本命の化粧水作りを覚えてもらう。


 グリセリンやエタノールを作ることから始めなければいけないので、今回は時間を掛けて覚えさせる。


 化粧水も色んな物を追加したりするとこの先色々と違った化粧水が作れるようになるので、基本をしっかりと覚えてもらいながら、応用のヒントも教える。


 いずれはこの三人が中心になって研究を続けて乳液やファンデーション、口紅、

 等々化粧品を開発してくれたらいいと思う。


 今はそこまで絶対に口にしないよ、したらどうなるか解っているので……






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