第39話 説明色々

 風呂から全員があがって、後は寝るだけになったので、昨日、今日の全員が疑問に思ってる事の説明をすることにした。


 収拾がつかなくなっても困るので、先ずは一人一つずつ質問してもらって

 それに答えて行くという方法にした。


 普通はフランクからと言いたいが、どう見ても女性陣の目が尋常ではないので、一番年長のローレンからにする。


「ユウマさん、私が聞きたいのはあれらの魔道具の事です。明かりの魔道具は主人から聞いていましたが、竃や水が出る魔道具は知りませんでした。」


「あれは魔石に魔法を込めたものです。ただ魔力を流すという行為で出来るようになっているものです。」


 魔法はイメージだとは知っていても、魔法を魔石に込めるということを知らないのだ。


 ダンジョンで見つかるものはそういう物だと決めつけている。当然アイテムバッグも鑑定阻害の魔道具も魔石が付いてるのに気にしてない。


「魔石には魔法が込められるのですか?」


「はいそうです。ただ条件が色々あります。魔石の大きさによって同じ魔法を込めても起きる現象が変わりますし、魔法を込める人の魔力量でも込められる魔法に限度があります。」


 ローレンの質問に答えていると、錬金術師のミランダが


「あの、途中で割り込んで申し訳ないのですが、魔石関連であの結界の魔道具も同じ原理ですか?」


「そうですよ、あれは魔石に魔法で魔物と虫、悪意のある人が入れないという壁をイメージしてそれを込めたものです。」


「ただ範囲を広く補う壁を作る魔法を一つの魔石に込めるのは無理なので、この拠点のような場合は自分に出来る限界の物を作って、それを四方に置くことで広さを広げてるのです。」


「魔法のイメージを魔石に込める、凄い発見ですよそれ!」


「そうですね、僕としては何故皆さんが気づかないのかの方が不思議です」


「何故です?」


「だってアイテムバッグにも鑑定阻害の魔道具にも魔石は付いてるでしょ。アイテムバッグはアイテムボックスがスキルだから気が付かないかもしれませんが、鑑定阻害の魔道具は鑑定を阻害するという無魔法が込められてるからですよ。」


 此処まで言うと気が付いたようだ。アイテムボックスはスキルだが魔力量で大きさが変わるのだから、一種の魔法であると。


「ただ、今まで僕の調べた限りですが、どんな魔法でも込められると言う訳ではないようです。」


 ここで俺のストーリーを作り上げる事にした。なぜ? 俺がこの森に住んでるのか? 人と関わりたくないのか。


「フランクさんから聞いてると思いますが、俺が目立ちたくないということは、それの原因がこのような知識です。」


「僕はある人とこのような事や他にも色々研究してたのですが、それを少しだけ他の人に知られただけで、追い回されたのです。そしてもう一人の人は殺されました。だから僕は森に隠れ住むことにしたのです。」


 フランクは納得した顔をしてる。俺がなぜここまで警戒心が強いのか理由が解ったようだ。


「初めは生活に必要な物を買うためにお金が必要だったので、フランクさんとの取引をしましたが、色々と関わるうちに僕の事情を最優先にしてくれるフランクさんを信用できるようになったので、折角研究したのにそれを世間に広めないのであれば何の意味もないと思い公表することにしました。」


「ユウマありがとうな、俺を信じてくれて嬉しいよ」


 フランクの目が少し潤んでいる。俺は嘘をついてるがその嘘を信じてくれるフランクの気持ちが本当に嬉しかった。


 話が一区切りついたと思ったのだろう、今度はエマが質問してきた。


「私は錬金術師ですから、凄く気になってる事があるんです。それは今日私たちに飲ませてくれたポーションの事です」


 フランク一家は拙いと思った顔をしてる。ポーションの事は錬金術師達には話していないから。


「気になってるとはどのように?」


「それは初級ポーションと言ってましたが、私たちの知ってる初級ではないように感じたんです」


「流石ですね。あれが解るなんて。あのポーションは初級ですが従来の物より2割増しの効果があります。」


 錬金術師三人の顔が変わった。


「2割増し! それはどういうことですか?」


 そこから、今回錬金術師を雇った理由を説明した。化粧品もそうだが、ポーションの改良をやって貰う為だということを、それになぜ女性を選んだかと言うことも。


「それはありがたい話ですね。確かに女性の錬金術師は差別されていますから、化粧品だけでも仕事に幅が出来て嬉しかったのですが、ポーションまであるのでしたら、頑張りますよ。」


「話が出たのでついでですが、現在の中級ポーションは初級ポーションの効果の1.5倍ぐらいで合っていますか?」


「そうですね、それぐらいだと思います。」


 そうすると、俺の5割増しポーションは初級でも中級の効力があるということになる。


 その話を聞いていたフランク一家は益々困った顔になっている。


 どうしようかな? どうせいずれ作って貰うのだから、ここで隠すのは良くないよね。


「2割増しだけじゃないんだよ、5割増しもあるんだ」


「なんですかそれ~~~~~」


 錬金術師たちの声が木霊してる

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