第37話 男は弱い

 シャーロットとローレンの爆弾発言に、俺もグランも強力な圧力に曖昧な返事しかできず、困り果てていると、そこに毅然とした態度で物言う人がいた。フランクだ。


「いくら安全でも、女性だけで行くなんて問題だよ。それなら私も行く」


 はぁ~~ おい止めるんじゃないの? それどころか自分が行きたいのかよ?


 どうしよう? これは断れる状況ではないな……


 確かにこれなら7日になっても、それ以上でも結界の心配はないな、でもな~~~


「フランクも来ると言うならいいでしょう。流石に女性だけというのはこちらが困りますから」


「ただ、それでしたら次の取引に合わせてもらえますか?」


 部屋がないんだよね、流石に6人は無理。


「部屋を増やしますので、それで日程を調整してください」


 シャーロットは直ぐに行きたそうだったが、流石にそこは我慢してくれたようで


「そうですね、こちらも色々調整しますからそういうことにしましょう。」


 何とかなったか? いやそうはいかなかった、ロイスがそれなら自分行きたいなどと言い出した。


「それは無理ですよ、ロイスには店を見てもらわないといけませんから」


 フランクが同行するから、店を見る人間が必要だと、速攻でシャーロットに否定された。


 流石にシャーロットに言われれば、ロイスも言い返せないし、その言葉を言うときのシャーロットの目力に圧倒されていた。


 本当にこういう時の女性の発言力、行動力には勝てません。


 女性陣の話がついたので、今度は男性陣からの報告が始まった。


 内容は納得できるもので、燻製と陶器関係以外は兎に角ロイスが担当のレンガが出来なければ進まないと言う事だった。


「ロイス、レンガの製作は何時頃始めるんだ?」


 俺がロイスに元気が出るように聞くと


「はい、人の手配は出来ましたので、粘土の手配と場所の選定ですね。」


「粘土も場所も秘密を守るのは大変そうだな」


「粘土は採取場所が決まれば、運搬以外に問題はないが、製作場所だな問題は」


 最終的に耐火煉瓦を作成するには、窯も作らなければいけないから下手な場所には作れない。


 ガラスもあるしな……


 そこにこういうときの度胸が良い女性、シャーロットから案が出された。


「いっそのこと、土地を購入して私たちの工房を作りませんか?」


 確かに、これから作るものは当分秘密で作らなければいけない物ばかりだから、製作拠点を一か所にしてしまうのはいいかもしれない。


「そうですね、あなたこの村に土地を購入しましょう」


 ローレンがグランに半分命令のようにいう。


 本当に女性の決断力は凄い。土地を購入って凄い金掛かるよな。それをいとも簡単に決めてしまう。


「そうだな、石鹸、ガラス、耐火煉瓦、いずれはポーションもあるから、土地を購入して一か所で作る方が管理しやすいな」


 グランが諦めたように皆に言う。


 その時俺は閃いた。それなら俺が森の入り口にいっそのこと、そういう施設を作って囲って隠ぺいできるようにしてしまったほうが、全ての問題解決になるのではないかと思った。


 森の入り口なら殆ど人が来ないし、俺も利用しやすくなる。


「それなら、少し時間はもらうけど、俺が森の入り口に作ろうか?」


「村の外に建物作るのに許可が必要ないなら」


「木材の購入さえすれば土地は村の外なら問題ない。木材を勝手に使えば領主が怒るだろうが、そうでないなら自己責任のはずだ」


 今まで黙っていたジーンが答えてくれた。


「それなら資金も少なく済むな。木材も森の奥から俺が運べば、適当に購入するだけで誤魔化せるだろう。」


 俺からの提案に、全員が納得してくれて、その方向で動くことになった。


 ロイス以外の男性陣は、今担当してる事を次の取引までに、ある程度軌道に乗せるように動いて貰う。


 ロイスは粘土の採取場所を、職人見習いたちと探して確保する。


 女性陣は、錬金術師の女性たちと打ち合わせをして、森に行く準備をして貰う。


 俺は宿泊施設と錬金工房を森の拠点に作ることで、話を終え、帰る事にした。


 ちょと話があるような事だったのに、終わってみるとかなり大掛かりなことになったし、女性陣が俺の拠点に来る事になり、少し動揺してしまった。


 それでも、いつかはこういう問題と向き合わないと、色んなものを作って貰わなければいけないのだから、しょうがないと諦める事にした。


 それからの行動は皆早かった。俺も拠点に帰ってから直ぐに燻製品を作りながら、女性用に建物を建て、錬金術専用の建物も立てた。


 それから、石鹸などの材料を確保し、いつでも製作に掛かれるように準備して、取引に村に向かった。


 この一週間でジーンは領都に一度戻り、決まったことやこれからの予定をフランソワに伝え、石鹸などをフランソワに渡して体験してもらい、秘密が多くあると言うことと暫くこれらに関わるので、店を頼むと伝えに行った。


 言うまでもないが、この時もフランソワがジーンに詰め寄ったのはご愛敬である。

 後から聞いた話では、燻製関係が軌道に乗れば、フランソワは自分と交代しろと言ったそうだ。


 一度戻って説明に行って良かったよな、それをしなかったらと思うとジーンがどうなっていたか?


 これからも女性優先は絶対だと、俺も聞かされた時に改めて決意した。



















































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