第29話 発想から研究、改良

 早めの夕食後、暗くなったので、テーブルの上にある魔石に魔力を通して、ライトをつけると、驚愕していた。


 鑑定疎外の魔道具があるのに、こういう身近なものに発想が行かないことに二人は一種の絶望感にさらされていた。


 生活魔法にライトがあるけど、それは自分が魔力を送り続けないといけない、生活魔法は特殊なのだ。属性魔法とは違っている。


 だから、ライトの魔道具のようにつける時に魔力を送り、後は魔石の魔力だけで維持できるというのは画期的なのだ。ただ魔石の魔力が無くなるまで消えないので、一度魔力を空にして必要な分の魔力を注ぐか、小さな魔石を使うかだ。


 俺がライトの魔道具の説明をしながら、これは完成品ではないと言うとまた驚いていた。十分便利なのだ二人にしてみれば、だけど本当は天井につけたいこと、天井に付けるならどうやって魔力を入れるかなどをいうと何でと言う顔になる。


 そこでこれも発想なのだと伝える。今の魔道具ではテーブルの周りしか明るくないが、これが天井にあれば部屋全体が明るくなる。


「なぜ? これで満足するんです?」


「もっと明るくしようとか、消費魔力を下げようとか考えないのですか?」


「他にもこれから、違う生活魔法で魔道具が出来ないかとか?」


「考えれば限りが無いですよ、これが発想であり、研究、改良ということです。」


「この発想、研究、改良はなんにでも当てはまります。例えばロイスさんも知ってるリヤカーもそうです」


「馬が引く馬車はあっても、人が引くという発想がありません」


「馬車も乗り心地が悪くお尻や腰が痛くなる。痛くならように出来ないか、これが研究であり改良でもある」


「ここまでの話を聞いてどう思います?」


 するとしばし考えて


「全部、自分たちがやってないだけじゃないかと思います」


 ロイスは本当に頭が柔らかく、適応力がある。


「確かに、ユウマ君が言ってる物は全て何で気づかないと言うものばかりだ」


 グランも流石に理解してきているようだ。


 ここでこの先の事を考えて、俺の変わり者アピールをしておこう。そうすれば何かあってもあいつは変わり者だから、人が考えないようなことをするからで、多少は凌げるはず。


 ここで燻製の話に持っていく、何であの商品が出来たのか?


「あれは偶然出来たんだ。雨の日に塩漬けして干していた肉と魚を外に置いていたから濡れてしまったので、早く乾かそうと、釜の上に吊るして干したんです」


「それを忘れてしまって、かなり長い時間その状態だったので、吊るしてあったものが変な色になっていたんだけど、折角作ったものだからもったいないと思って、味見しても食べられそうになかったら、捨てるつもりで味見したら美味しくて、そこから偶然ではなく自分で作るようにして改良して出来たのがあの燻製です」


「変な色になってたものを食べた俺の勇気を褒めてやりたいですね」


 変わりもんじゃなきゃ食べないよアピール どう?


 よしよし、よくそんなもの食べたなっていう顔してる。


 長々と話は尽きないが、もう遅いので今日はこれぐらいでということで、二人を客間に案内した。


 本当はお風呂に案内したかったが、これ以上何か言われるのは勘弁だったので、桶にお湯と布を渡して勘弁してもらった。


 翌朝、朝食の時二人は何か言いたそうな顔をしてたけど、気づかない振りをして本来の目的燻製の作り方を教える作業に入った。


 先ずは魚から、罠の仕掛けてあるところに三人で向かう。ここでも当然罠に興味を示したが、先ずは一通りやってからと宥め、魚の処理の仕方を教えて二人にやってもらうことにして、俺はその間に狩りに行く。


 時間が止まってるインベントリの中の物は新鮮過ぎて、いらぬ疑惑を生みそうなので、狩ってきた物を使う。


 沢山はいらないので、簡単に狩りは終了。


 二人の作業はまだ続いていたので、俺が解体することに、最近はインベントリで済ませてたけど、最初の頃はやってたから一応できる。


 俺の解体が済んだころには、二人の作業も終わり、下味をつける所までやって今日の作業は終了。


 時間的にまだ早いけど製作上ねかせなきゃいけないから、終了して家の他の設備を今日は案内することにする。


 今日案内する、地下室、陶器用の窯、炭焼き用の窯を見せると、昨日のレンガを繋げるの答えが解ってしまう。


 二人はどんな反応をするか?


 俺も今日は自分の疑問を解決するつもり、汚水の件を……


 もう一つ昨日寝る前に考えてたんだけど、ポーションの件をどうするか?

 問題が大きすぎるんだよ、ほんとどうしよう?


 昼食もあるので、先ずは家の風呂から案内する。昨日案内していないからね。


 案の定驚かれました。この国で家に風呂があるなんて、余程の金持ちか貴族位なのにこんな森の中の家にあれば当然ね。


 それに風呂がタイルもどきとセメントもどきで出来てるのです。この国の常識では風呂は木製で、お湯は別に沸かして湯船に貯める物、だからとんでもなく時間と労力がかかり、燃料の薪も沢山必要になる。


 ところが俺の風呂は、風呂の床の一部が金属で出来ていて、その外側を直接熱してお湯を沸かすように出来ている。当然入る時はその金属の上に木の蓋を置く、五右衛門風呂に近いもの。


 今回急きょ作ったので、鉄の板何て無かったから、しょうがなく予備のフライパンを二つもダメにして作りましたよ、ほんとにもったいなかった。


 残念ながら今回の鉄の加工だけでは鍛冶のスキルは生えなかった? 基準はなんなんでしょう?


 風呂の仕組みを見たグランは目が商人の目になっていた。


 確かに貴族に売れば儲かるだろうが、それには先ずレンガが必要だと理解してるのだろうか?

























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