第22話 図書館へ行こう

 夕食の時しっかり全員を鑑定しました、やはりフランクの父グランとシャーロットの面倒を一番見ていたメイドのサラが感染していました。


 食事にはフランクの兄夫婦、兄ジーン32歳 嫁フランソア31歳 

 二人の子供長男ボスコ10歳 長女キャロン8歳

 フランクの子供キース5歳

 フランクの母ローレン48歳 ちなみにグランは52歳

 メイドのサラは15歳


 すげー、ジーンはローレンが16歳の時の子供だよ、これで解るようにこの世界は15歳で成人です。


 グランとローレンって恋愛結婚なんだろうか?成人していきなり結婚は見合いでは考えずらい、貴族ならあるだろうが平民で許嫁は殆どいないだろう。


 この店はグランが始めたと言っていたから、グランの実家は商人じゃないんだろうし、苦労したらしいから裕福でもなかったんだろう、それで許嫁はないな、幼馴染の方がしっくりくる。


 食事はやっぱり普通、飯テロする? 


 砂糖の代わりなんてどうにでもなるんだよな、大麦があるんだから。


 エールがあるから当然大麦はある。大麦があれば麦芽から水あめが作れる

 俺が森で見つけたメープルもあるしな。


 まだ見つけていないけど、テンサイがあればテンサイ糖も作れる。


 当然形も名前も違う可能性があるから、全部鑑定頼みだけど。


 取りあえずは先ず自分用を作ってからだな、広めるにしても現物がないと。


 食事のあとフランクをこっそり呼び出し、グランとサラが結核にかかってると教えた。


 これ教えるのかなりのギャンブル、だって症状がまだ出ていないのに、感染してるってどうやって解るんだと言う話になるからね。


 フランクの鑑定では病名も出ないし、健康のところに良好ではない表示が出るだけだから。


 でもここで感染止めないとまた広がるんだよね。本当は口にマスクみたいな物をした方がいいんだけど、この世界にマスクはないし、布を巻くだけでも少しは効果があるだろうからそういう事も本当は教えたいけど、そうなると菌についても話さないと説明できない。


 しょうがないから、兆候が出てるとだけ言って何とか誤魔化した。


 シャーロットと同じように薬を飲めばすぐに治ると説明した。


 翌日、図書館に行く前に一応従業員も鑑定しておいたがこちらには感染者はいなかった。


 最後に薬師が気になったので聞いてみたがもう1か月は来てないそうだ。どうしようもなくてさじを投げたんだろう、グランが最近町で見かけたらしいが元気だったようだから、感染はしていないのだろう。


 取りあえずはこれで安心かな? 問題はシャーロットがどこで感染したかだ。

 シャーロットは体調を崩してから領都に戻ってるから、可能性はラロック村なんだよな~~


 後は心配してもどうしようもないから、フランクにラロックに戻ったら、注意して周りを見るように言うしかない。


 もしくは軽く噂を流してもらうことぐらいだな。


 図書館に行こう、場所も聞いたし利用方法も聞いたぬかりはない。

 念願の図書館に到着、入館料と保証料を払い入館。


 図書館って言ってるけど、此処辺境だからね。本が何千冊とかあるわけじゃない。


 それでも500冊ぐらいはあるんじゃないかな、だって殆どが実用書と歴史の本で小説の様な物はないんだから500冊でも十分ある方。


 俺が読みたいのは先ずは歴史の本、この世界のことが全く分からないんだから、歴史から情報を得るのが一番いい。


 後は魔法とスキルについては知りたい、俺の思ってるものとこの世界は違ってる事が多い。


 政治の本でもあれば一番いいけどあるかな~ 植物の本もいいな~


 あれこれ思いながら、気になった本は片っ端読んでいった。昼前から来てたのに閉館の時間まで没頭してたね、飯を食うのも忘れるほど。


 読めば読むほどこの世界がいびつだって事が解ってくる、本当はいびつというよりこれが現実という事なんだろうけど。


 気になってたことは解りました。


 この国には奴隷制はなく、犯罪者は一律鉱山送り。あとは、量刑により仕事内容や期間が違う。


 専用の鉱山があって完全に隔離されてるらしい。当然死刑はある。特に盗賊は問答無用で殺しても犯罪にはならない。


 ただし、犯人の死体と、証人は必要。報奨金が出る。


 盗賊を殺したら、死体を持ち帰れないならとりあえずその場に埋めて、出来るだけ早く報告する。報告を怠るとばれた時に下手すると殺人罪が適用される。


 当然悪い奴は抜け道を考えるんだろうけど。


 この国の王制は基本俺が知ってる物と同じ、貴族も当然同じ王制の一部だからね。

 ただこの国では税制がしっかりしてる。税金は国が決める。貴族にその権限はない。


 その代り国から貴族にそれなりのお金が配られる。


 基本は人口に対して。それとは別に各ギルドからの税収入に対して貴族に国が税金を分配する。


 この制度だから町に入る時にお金なんて取らないし、商人から税金も取らない。


 人の動きが活発で、経済が回ればその分ギルドの税収は増えるから、その妨げになるようなことはしない。この国は……


 普通の王制だと、国は貴族に税金を払わせるけど、これは全国人頭税で一律、国の事業は国が直接支払いをする。


 国から貴族に払われるお金は領地の大きさや人口とか関係なく爵位の高さ。普通は爵位が高ければ領地も広く、人口も多い。


 だから、普通の王制の贅沢をしたい貴族は爵位が高ければちょっと税を上げるだけでかなり贅沢が出来るが、爵位の低い貴族は贅沢がしたければ領民から出来るだけ搾り取らないと出来ない。


 他にも領内の通行税とか色々と金をとる。


 あとは領内の鉱山とか資源が収入に影響してくる。これはどちらの王制でも同じ。


 この国の王制でも抜け道はある、貴族とギルドが結託すると不正が出来る。


 ギルドは物を高く売ったり、冒険者からの手数料を高くしたり色々できる、

 結果困るのは住民だけという構図が出来上がる。


 この世界のギルド世界規模ではあるけど個人経営の集まりに近いからこのようなことが出来る。


 本当に図書館に来てよかった。少なくともこの国のことはある程度理解出来たから。


 図書館での調べ物をこれで終わらせた事を俺はのちに後悔する。















  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る