第20話 治療開始

 さて行きますか、先ずはフランクに今から言う材料は手に入るかから始める。


「ギリク草 スリラ草 パーム草 カイエン茸 ベム茸 タム茸は手に入るか?」


 そういうと、フランクが


「ちょっと待て、ギリク草は雑草だぞ、カイエン茸は毒キノコだ」

「他のも全部雑草と毒キノコ、そんなもの集めてどうするんだ?」


 そう言われたので、俺は


「もちろん薬を作るんだ。俺はその為に来たんだから」

「兎に角揃うのか?どうなんだ?」


 ここで止まると毒キノコなんて使うんだから、躊躇されてしまう。だから今は強引に行く。


 ちょっと威圧を込めて、強引に答えさせると


「草は雑草だから簡単に手に入る、ただキノコの方は毒キノコだから直ぐに手に入るかどうかは解らん」


 この世界、全体的に遅れてるのと住民に向上心がないからそういう研究みたいなものもあまりしないし、まして毒キノコなんて毒薬という意味での研究しかしない。


 (いや、それすらしていないかも?)


 毒も薬になるという事が解っていないのだ。地球の漢方って凄いんだよ、時と場合によって毒も薬になると言うことを研究してるからね。


 近代薬学でも麻薬に指定される薬品でも使う量によっては薬になる


 しょうがないので、やっぱり俺が自分で集めてくるしかないようだ。それに実際に薬の形にしないと、信じられないだろうからな。


 薬の形にしてしまえば、俺の鑑定EXでなくても鑑定すれば、何の薬かわかる。


 フランク達が持ってる鑑定はそのものが何であるかは知る事が出来るが、材料が何に使われるかは見れない。


 俺の鑑定が双方向通行に対して、フランクたちの鑑定は一方通行ってこと。


 結局その日はもう夕方なので、後は明日ということになり、疑念を抱かれていても一応フランクの客だからということで泊めてもらえることになった。


 だがしかし、俺はその申し出を断ることにした。何故ならだって針の筵だよ、なんだこいつ自信満々でここまで来て何を言うかと思えば雑草、毒キノコなんてとんでもないことをいうみたいな目で見られてるんだよ。


 だから宿を取ることにした、一応は紹介はしてもらったけどね。相手もわざわざ来てもらったのに放り出すようなことはできないし、フランクの取引相手だと言ってるからね。


 案内された宿は一応この町では高級店みたいだけど、俺からすると普通かな。

 これで高級店なら他はどうなんだていうこと。


 食事も何もかも普通だった。この世界としてはね。俺の食生活では不満だらけだけど。


 明日は朝早く行動開始して、明日中に薬を作ってしまおう。そうしないと俺の信用がガタ落ちだし、折角町に来たんだから調べられることは出来るだけしたいからね。


 食事を済ませて部屋に戻ると、さっさとクリーンを掛けて寝る。


 翌朝、日が昇ると同時に宿を出て、昨日宿で調べたキノコなどの生息地に向かう。


 身分証を提示して、門を出たらキノコや薬草がある領都近くの小さな森に向かう。


 勿論、向かいながら鑑定しまくって雑草の名から、お目当ての雑草を採取、雑草だから見つけるのは苦労しなかった。


 領都から見える森だから、いつもの高速移動は出来ない。誰が見てるか解らんからな。


 1時間ぐらいで到着、早速森に入ってまたまた鑑定しまくる。


 目的のキノコの他にも使えそうなキノコや薬草があったのでそれも採取、

 さて戻ろうと思った時、今から帰ったら10時頃に成ると気づいた。


 もう宿には戻れないし、昨日の状態のフランクの実家にはこのままは顔を出したくない。それならここで薬を作ってから帰ろうと思い、土魔法でテーブル代わりの台を作って、インベントリに入ってる調合道具を出し調合を始めた。


 魔法があるから乾燥とか直ぐに出来てしまうから出来ることで、普通の人ではこんなことはできない。


 今の俺の習熟度でも作れる薬だけど、それでも人の命がかかった薬だから丁寧にゆっくりと調合した。


 2時間ぐらいでそれなりの量が完成したので、急いで帰ってフランクに鑑定させようと思う。


 俺の鑑定ではちゃんと完成してるから心配はしていないけど、もしかしたらフランクの鑑定では解らないなんて事が起きないとも限らないので、多少の不安はあるけど帰ることにした。


 結局帰り着いたのはお昼前、フランクの実家に急いで向かった。


 店に着くと同時に奥からフランクがすっ飛んできた。


「おい!どこ行ってたんだ? 勝手にいなくなったから、心配で探したんだぞ」


 半分怒ったようにフランクが言ってきたけど、それを無視して


「材料取りに行って、薬を作って来た」と答えた。


 今度は「はあ~~~」みたいな呆れた顔に一瞬なったけど、薬が出来たと言う言葉に期待を込めて、見せてくれと言ってきた。


 此処では出せないと、フランクにいい、実家にあるフランクの部屋で出す事にした。


 アイテムボックスだからね、フランクは何も言ってこないけど、これ普通にレアなスキルだから。


 3種類の陶器の容器に入った薬を出し、フランクに鑑定するように伝えた。

 フランクは1つづつ、コルクの栓を開け鑑定していった。


 鑑定するたびに薬になってる事には驚いているみたいだけど、何だか反応が今いち?


 鑑定し終わったフランクが発した言葉は


「薬というのは解った。でもこれでシャーロットの病気が治るのか?」


 だった。


 鑑定には結核の薬とは出てるだろうが、そもそも結核という病気が知られていない、それにシャーロットの病名も伝えていない。


 それじゃ反応が今いちになるよな。全てを伝えた時に初めてシャーロットの病気が治る薬だと認識できる。


 いや~~~ 俺も舞い上がってたのかな? 肝心なこと何一つ伝えてない。


 だから、いちから説明しましたシャーロットの病名が結核で、この薬は結核の治療薬

 で三種類を1年ぐらい飲まないと完治しないと言うことを。


 効果は早く出ると思うけど、治ったと勘違いしないで、必ず全てを飲みきるように伝えた。


 そこからのフランクは早かった、今は藁をも掴みたいのだから、毒でないなら結核という病気は知らなくても、飲ませる一択だった。















  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る