第17話 三度目の取引&
取引から帰った翌日には一度にかなりの量の燻製が出来る小屋を作った。
今度は道具もあったし、作業自体に慣れたのか一日で出来上がった。
はい、木材加工(木工)のスキルが生えてました。
ステータスもレベル25になってました。
不思議だよな、スキル木材加工は生えたのに、結構左官仕事してるけど
スキル左官は生えないんだよな?
そういう仕事がないのか、そういう作業がないのか?
確かに村の外壁は木と土だったし、村の住居は俺が見た範囲だと全て木造だった。
領都や王都に行けば違うのかな? 他の国とかも?
後に解りますが、左官という職業が無かったのでそういうスキルが無かったのと、ユウマだけがやってる事だったので、スキルが発現しなかった。
最近良く思うのだがこの世界は、俺が良く読んだりしてた小説とかの異世界とは文明や文化が違ってる。違ってると言うより全体的に遅れてる気がする。
それに、なんていうか住民に向上心が無いように思う。フランクみたいなのは例外で殆どが現状維持に違和感も危機感も持っていないように思える。
神様がこの世界に俺を送ったのは偶然だろうか? 両親への詫びというのは本当だろうが、神様の管理してる世界がここだけでないのなら、ここを選んだのには理由があるのかもしれない。
俺の大前提さえ壊れないなら、この世界の文明を進める手伝いをしても良いとは最近思ってる。
燻製小屋のおかげで、注文の量の倍が二日で完成、俺のインベントリEXは超優れもの、魚も取り除きたい部分だけ取ってくれるし、魔物肉なんて部位別にまでしてくれるから、下味をつけるのに1日、燻製するのに1日で完成してしまった。
残りの日は丸一日かけて炭を作ったり、乾燥させて素焼きした陶器に釉薬を塗って、こちらも丸一日かけて火入れ、後は窯の温度が下がるまで、薬の研究をしてた。
勿論、石鹸、シャンプー、リンスは作りましたよ。風呂があるのにこれがないのは、日本人として許せませんから。(日本人じゃなくてもだな)
3度目の取引日がきました、今日は問題ないと良いな~~
いつものように、森の出口に到着。リヤカーを出して、アイテムボックスからも商品を出しておく。
暫くすると、今回は馬車二台でフランク達がやってきた。馬車の後ろにはリヤカーらしきものが固定されていた。
注文の商品は、前回約束した注文量だから、今回はフランクも落ち着いてるようだ、よく見ると落ち着いてると言うより、少し項垂れて見える。
どうしたんだろう? 板挟みが酷くなって限界に来てるのか?
気になったので、従業員のロイスにそれとなく聞いてみた。
すると、返ってきた言葉は違っていた。何でもフランクの奥さんは病気の療養の為、優秀な薬師がいる領都におり、フランクの実家の店に住んでるのだが、最近病状が芳しくなく、その知らせが来たのでフランクは落ち込んでいるそうだ。
俺が異世界に来て、最初に縁を結んだこの商人がこれほど落ち込んでいるのを見るのは俺としても辛い、俺なら何とか出来るような気はしてる。
俺には創造魔法があるから、こちらの世界にない魔法でも作れるから、原因さえわかれば何とかなると思う。
俺の鑑定EXは特別だから、最低でも病気の名前と治療法は解ると思うんだよな。
この世界でまだ知られていない病気でも、俺の鑑定EXは教えてくれるから、大丈夫な気がする。
解析的なことも出来るからな最近、調合と錬金を覚えてから、前は解らなかった、鉱物の成分なんかも解るようになった。
何ていうのかな相乗効果?スキルの統合?みたいな?
良し、ここで見て見ぬふりをするのは違うと思う。当然リスクはあるが、やらないで後悔するより、して後悔しよう。
取り引きについて来てるのに、俺に話しかけても来ないフランクに俺から声をかけた。
「フランクさん 奥さんの病気治せるかも? 絶対ではないが一度俺に見させてくれないか?」
そういうな否や、フランクはかっと目を見開き、近づいてきて「本当か?」と詰め寄ってきた。
ただ、ロイスから聞いた症状だと、心当たりがあるんだよね、地球では普通に知られていて、今ではかかる人が少なくなってる病気に似てる。
だからこそ、余計に何とかなると思う。
だからもう一度絶対ではないと言うことを念押しして、それでもいいならと申し出た。
そこからはとんでもなく早かった、商品を全部積んだら、急いで村に戻ることになった。
領都までは今日出ても明日の夜にしかつかないので、商品を店に降ろしたら直ぐに出発する。
リヤカー持ってきてたけど、その話なんてどこえやらになってしまったが、しょうがないよな、心配で堪らなかったみたいだから。
俺もいつかそういうふうに愛せる女性が見つかるといいな。引きこもってるのに見つかるのかな~
俺の作った結界の魔道具は5日ぐらいは魔力満タンならもつから、このまま行っても問題ないし、食料もインベントリにかなり入ってるからこちらも問題ない。
何時かは、領都に行こうと思っていたから、それが予想より早くその機会が来たと思えばいい。
「あ! どうしよう、俺身分証がない」
そう言ったら、馬車の速度が上がった。フランクと俺が乗った馬車はそのまま商業ギルドへ、ロイスは店に向かい商品を降ろす。
手続きが済んだら店に戻り、馬車を入れ替えて、俺たちは領都に向かう。
入れ替えた馬車には途中一泊出来る準備が整っていた。いや~
懸念してた商業ギルドでの登録も、フランクの店の従業員ということで簡単に済み、拍子抜けするぐらいだった。
俺の警戒心を返せ~~~~~~
人間関係に疲れていた俺だが、商売相手だけの付き合いだと思っていた人と異世界で一泊とはいえ旅に出る事に成った。
人間ってやっぱり一人では生きていけないのかな?
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