第16話 二度目の取引

 初級ポーションを作ってから、4日たった。


 あの後は、習熟度を上げるために午前中はポーション作り、午後は陶器を作るために、色んな粘土を探したり、釉薬になりそうなものを探し、粘土を形成し乾燥させながら、炭用の木を伐採、窯の中に並べるなど、毎日充実した日々を送った。


 今日は二度目の取引の日だ、燻製類は準備出来てるので前回と同じように朝早く起きて朝食を済ませ村に向かった。


 今回はそこまで早く着く必要もないので、最近あまり狩りが出来ていなかったので、前回よりは多めに魔物を狩りながら村に向かった。


 またレベルが上がるんだろうな。現状他の人から見れるステータスはレベル5で固定してるから問題ないけど、森に住んでるのにあまり上がらな過ぎるのもおかしいから、適当な時期に調節しないとな~ めんどくさいけどしょうがない。


 10時頃、森の出口に到着、この10時というのも感覚なんだよね。まだこの世界の時間については探れていない。季節は四季があるのは前回でわかったのだが、まだ

時間やひと月の日数、月の数。曜日の様な物があるのかさえ解っていない。


 良く小説なんかに出てくる主人公は簡単に聞けるよね、どんな田舎に住んでてもそれぐらいは知ってて当たり前だから、中々聞けないよ。


 リヤカーを出してしばらく待ってると、馬車が向かって来てるのが見えた。

 御者はこの前俺を担当した従業員のようだ、後ろの荷台にも誰か乗ってる?


 フランクみたいだ、「店の主人が荷台かよ」変わり者のフランクならありかな?


 なんて思ってたら、向こうも気づいたみたいで手を振ってきた。


「わざわざ来てもらって申し訳ない、今回もよろしく」


 一応、社交辞令的に詫びを入れた。こういうのは大事だからね、横柄なのは良くない。


 一方フランクの方は、挨拶も程々に凄い勢いで、前回の商品の売れ行きをまくしたて始めた。


 良く話を聞くとフランクがそうなってもおかしくない内容だった、俺が前回持ち込んだ商品は結果3日で完売したそうだ。


 俺から買った商品は美味しいけど、何といっても初めての物だから、どうやって売るか、今日御者で来ているロイスと料理人のケインを交えて、相談したそうだ。


 先ずは味を知ってもらわないと、話にならないからということで、俺がやったみたいに、とりあえずは燻製とかベーコンを使いやすい店に商品を持ち込み味見をさせる事にしたそうだ。


 持ち込んだのは、宿屋と冒険者ギルドの酒場、どちらの商品もおかずにもなるし、酒のアテにもなるから。


 持ち込んだ時は、あの色に引かれたらしいが、兎に角食べてみろとその場で調理して食べさせたんだと。


 そしたらすごく気に入ってくれたんだが、いきなり多くは相手も、仕入れられないと言うことで、どちらの店もベーコン5本、燻製品は魚が5本、それ以外は10本づつ仕入れてくれたそうだ。


 その翌日には二つの店から注文が殺到、そのまた次の日には、評判を聞きつけた、案内をしていない店からも注文が来て、結果3日で完売。


 その次の日から次はいつ入荷するんだとか、製造者を教えろとか大変だったみたい。


 そういうことなら、今のフランクの状態もしょうがないか……俺でもそうなる。


 板挟みの辛さは良く解るから、俺も前世では板挟みで苦労した。その結果、最終的に早死にしたしね。


 それだと、今回持ってきてる前回の1.5倍では無理なんじゃ?


 一応インベントリには自分用に少しは入ってるけど、此処で出すわけにもいかないしな。さてどうするか?


 そう思ってると、フランクが悪そうな顔をして、「アイテムボックスあるよね」

 って言ってきた。


 確かに持ってますよ、アイテムボックスより凄いインベントリEXですけど。


 フランクは鑑定持ちだから、知ってて当たり前なんだが、何でそんなに悪そうな顔してるんだ?


 そしたら、フランク曰く俺みたいに必要以上に用心深い奴は絶対、注文以上を作って何かあった時の為の用意はしてるだろうと思ったそうだ。


 だから直接的に聞かず、アイテムボックスといい、反応を見たそうだ。


 流石、店舗をあの若さで、10年やってるだけのことはある。


 まあ、アイテムボックスはばれてるからいいか。これを理由に引きこもってる事にすればいいし。


 じゃあってことで、出したら今度は、何でそんなに余分に作ってるんだってことになった。


 そうだよな、アイテムボックスは時間は止まらないからな、時間が止まらないのにこの量は余分に作るのにはおかしい量だよな。


 そこからは、俺も焦って何とか誤魔化そうとしどろもどろになりながら、計算ミスって作り過ぎたから、今日もし良ければ追加で引き取ってくれないかと思って持ってきていたと説明。


 何とか、納得はしてないようだが、量が増えたのでフランクは落ち着き無事取り引きは終了。


 次回は今日の倍は欲しいと言われた、何故かというとこの分だと売ってくれという店がもっと増えるだろうとのこと。


 日持ちがする商品だから、下手すると領都からも買い付けにくるかもしれないというのだ。


 インベントリには魔物の備蓄はあるから問題ない、魚の燻製も何故かとってもとっても、魚は減らずに罠にかかるからこちらも問題ない。


 作ろうと思えば、今日の十倍でも作れるけど、そうすると自分の時間が無くなる。

 他にやりたいことが一杯ある俺にその選択肢はない。


 仕方がないので、「今日の倍でと」しぶしぶというそぶりで注文を受けた。


 今回はこれで良かったが、この先は何か考えないといけないなと俺は思った。


 帰ったら、大きめの燻製小屋でも作って効率を上げるか?


 こちらの商品は渡したので、代わりに前回注文しておいたこちらの消耗品をもらい、差額のお金、銀貨25枚を貰い、次回の取引日を決め帰宅する。


 後にこの燻製やベーコンはユウマの予想を超えて行く……








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