第15話 初級ポーション

 当然のように1日で錬金術と調合のスキルを手に入れ、ガラス器具や簡単な薬も作った。


 作った薬は 頭痛薬、風邪薬、胃薬、下痢止め、シップ薬。


 薬は本当にたくさん種類があるから、本に載ってるものを材料を探しながゆっくり作っていくつもり。


 特に異世界にしか存在しない病気などの薬は材料も特殊なので面白い。


 代表的なのが魔力酔い、元々魔力の少ない人や何かの原因で急激に高魔力にさらされたり、魔力を多く含んだものを食べた時にかかる病気、こういうのはポーションでは治せない。


 よし!今日は男のロマンの日だ、気合も十分に錬金道具や錬成板の置いてあるテーブルの前に立つ。


 先ずはポーションの初歩、初級HP回復ポーションの作成から。


 HP回復ポーションは水+ヒリル草で出来る、錬成板の上のビーカーに水、ヒリル草を乾燥させ、すり潰したものを本に載ってる割合で入れ、後は錬成板に魔力を通すだけ。


 この時はヒリル草を溶かすイメージで、魔力を送る。


 錬成板が反応して、ビーカーの中のヒリル草が無くなって、液体が綺麗な青になったら完成。


 ただこれイメージ力が弱かったり、魔力を一気に流すと失敗する。


 イメージ力が弱い時は薄い青、魔力を一気に流すと濁った青になる。


 当然効果や味に影響が出るので高くは売れない。これが薬師の弟子制度と同じことをする理由。


 流石に錬金術スキルのある俺は失敗しない、初級ポーションではね。中級、上級になれば今の俺の習熟度では失敗する。


 出来たポーションを、自作しておいたポーション瓶に入れる。瓶の形はコミックなどに出てきていた形、栓はコルク。


 この世界のポーションは陶器の入れ物に入っていて、通常3回は使える量が入ってる。


 流石に陶器じゃ小さな入れ物は作るのが大変だから。


「これが、ポーション」


 男のロマンと意気込んでいたけど、う~ん、あの気持ちを返してくれ、感動がなさ過ぎる。


 その時閃いた!


「そうだ使って見ればいいんだ」


 嫌々待てよ、使うと言うことは怪我をしないといけないと言うこと、針で指先を刺しても感動がな~、刃物で切るのはちょっと躊躇するし。


「う~ん、そうだ、魔物を捕まえて試そう」


 早速、近くでホーンラビットを見つけた、いつもなら首チョンパで終わらせるんだけど、今回はそうはいかない。


 どうするかな? 将来何かの役に立つかもしれないから、創造魔法で闇魔法スリープを作ることにした。


 イメージは対象の顔の付近に催眠ガスを球状に作る感じ、イメージがしっかり固まったら、目標に手をかざして「スリープ」と唱えた。


 慣れてくると、手をかざさなくても、目視で、尚且つ無詠唱で出来るようになる。

 俺のウインドカッターは目視でできるようになっている、まだ無詠唱は無理。

 使いまくってるからね、流石に習熟度が早いよ。


 スリープを唱えられたホーンラビットは一瞬「何?」って感じになったけど、直ぐに意識を無くした。


 では早速、「実験、実験!」と呟きながら、ホーンラビットの所へ、やばい!、 俺マッドサイエンティストみたいになってる。


 落ち着け俺! 初級HP回復ポーションだと内臓とかは修復できないから、お腹側ではなく背中にナイフで傷をつけた。


 その時血管も傷つけたのだろう、かなり多く出血してる。


 このまま死なれては意味がないので、急いでポーションを傷口に掛ける。


 すると「お~~~~何という事でしょう」、思わずそんなナレーションが聞こえてきそうなぐらい、映像を逆再生してるように傷口が塞がって行った。


 勿論出血も止まっていたので、血管ぐらいは大丈夫なようだ。


 それでも、それまでに出た血液は戻らないようで、ホーンラビットの背中は、赤く染まっていた。


 流石に今度は感動したよ、こんなの地球じゃ絶対にありえないことだからね。


 現実に、今、目の前で、アニメやコミックの空想の現象が起きたのだから、本当に感動した。


 驚愕に近かったのか人間ってあまりに驚きすぎると、声も出せないのね。


 いつもならホーンラビットは食料なので首チョンパでお持ち狩りだけど、今回は実験という、弱肉強食という自然の営みとも違ったので、こいつはそのまま解放することにした。


 勿論、、目が覚めた後の状態も見たいと言うのもあった。


 少し離れたところに移動して、他の魔物に食われないように、周囲に結界をはり

 観察することに。


 結論、いや~~~待ちましたよ、何と1時間ぐらい、あの魔法は改良するか、強制的に目覚めさせる魔法を作るしかないと心底思いました。


 どれぐらいで目覚めるかわからないから、移動も出来ず、かといって他にすることもないので、果物をかじりながらひたすら待ちましたよ。


 目覚めたホーンラビットは何が起きたのかわからないのと、出血のせいでだるいのか、動かず耳を立てて、周囲を警戒していました。


 それから何とか立ち上がったホーンラビットは、フラフラしながら歩き出しました。無事に巣に戻れることを祈りながら、観察は終了。


 帰宅後、初級MPポーションや毒消しの初級ポーションも作ったのですが、残りは鑑定で確認して終わりにしました。


 ちなみに、MP回復ポーションは水とマリル草、毒消しポーションは水とドウラ草。

 中級になるとこれにそれぞれに、ニグマ草という、効果を増幅する役目の薬草を追加します。


 上級には更にモスラ茸を加えます。


 上級のHP回復ポーションは流石に手足が生えてくるなんてことはありませんが、切断されたものがあり、時間が早ければつながります。



 そうそう骨折はちゃんと骨の位置を戻してからやらないと曲がったまま回復するので、もう一度折る羽目になる。


 何時か時間が出来たら、ポーションの改良もやってみたいな、異世界あるあるにあるもんね、蒸留水を使うとか色々・・・・






























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