第13話 今日はお勉強の日

 畑を作った翌日には、薪小屋と石窯を作った。今回は道具も釘もあったから、魔法と併用したら、一日で二つとも出来た。


 その翌日は、炭も欲しいと思ったので、仮住居に使っていた洞窟のそばに炭窯と陶器用の窯も作ってしまった。


 その翌日からは次回の取引用に前回と同じ燻製関係を前回の1.5倍ほどの量を作った。


 これはフランクと事前調整済み、次の取引までに美味しいけど、どれくらい売れるか予想できなかったので、今回はこの量に決めた。


 今回は二度目というのもあり、2日で準備できた。


 そこで、次は何か別の物を持っていけないか考えて、出来ても出来なくても問題ない、ポーションや薬を作ることにした。


 これは自分の為でもあるしね。多分俺は創造魔法で医療系の魔法も作れると思うんだが、あくまでも使えるのは自分一人の時だけ、こういうのを人前で使うと、必ずトラブルになるのは異世界あるあるだもんね。


 だからと言って困ってる人や人前で自分を治療できないのも困った話なので、普通に使えるものを用意しようと言う訳。


 商売のねたにもなるし、造ってみたいじゃない、ポーション。


 地球には存在しない、ファンタジーの定番、魔法の次に良く出てくる未知なる薬。


 この世界にはどんなポーションがあるか知らないので、先ずはお勉強から始めないとね。


 初めはやっぱり薬草の本から、この知識がなければ、調合も錬金も出来ないからね。


 不思議に思ってると思うけど、なぜ調合と錬金は別れているのか、理由はこの世界でもポーションでは病気が治せないんです。


 だから病気は調合の薬、怪我などの外傷やオールラウンドの毒消し、HP、MPの回復などはポーションになり錬金になる。


 だからと言って二つが全くの別物ということもないんだよね。ちょっとした熱なら HP回復ポーションで治るし、逆に毒の種類が解っていれば普通に薬で解毒できる。


 ポーションは全体的に便利なんだが、そこは魔力を使うので大量生産が出来ないので高くなる。


 薬は知識さえあれば魔力が少なくても関係ないから、比較的安価で売られている


 薬も専門的知識が必要なんだから、安く売らなくてもいいだろうと思うでしょうが、そこは異世界、この世界の住民は一般人でもちょっとした薬草の効能とか知ってるのよ。だから調合の薬が高すぎると買わない。自分で薬草取ってきて煎じて飲んだりするから。


 勿論、高価な薬も存在するよ、でもそういうのはめったに売れないから、日頃はちょっとした病気に気安く使えるぐらいの値段で薬を販売して生活してる。


 だからこの二つは似てるようで似てない。似てないようで似てる。不思議なスキルなんです。


 ここでスキルと出てきたでしょ、そう知識だけではないんですよ。スキルがないと同じ知識量でも薬やポーションに差が出る。だからスキルを得た人しか職業にはしない。


 ここに薬が安い理由があるんです。だってスキルを得るにはたくさん作らないといけないけど、売れなければスキルを得るまで生活できない。だから殆どの人が現役の薬師に弟子入りしてそこで給料をもらいながら薬を作る。


 じゃあなんで薬師は弟子を取るのか?


 自分が作った薬だけならそこまで安く売る必要はないのだけど、そんなことしてたらいつか薬師のスキルを持つ人が少なくなりすぎて、世界が大変な事になるし、売れなければスキルの習熟度も上がらないから安く売るし、弟子もとる。


 スキルを得ることと、習熟度というスキルの特性があるから、こういう仕組みがなり立っている。


 これは少し違うが錬金も似たような理由で弟子を取って育成してる。


 スキルは後天的に生えるのが普通ですが、中には生まれた時から持ってる人もいるのです。こういうのが地球で言う遺伝ですね。


 こいう稀なケースもありますが、基本は後天的が殆どですから。


 どんなスキルでもそのスキルを得るまでどうやって生活するかが問題なのです。

 このスキルも習得速度が個人で違うから、本当にこの世界のシステムは面白い。


 剣術や体術、俺も持ってる気配遮断なんかは、騎士の見習いや冒険者になれば得られるし生活も出来る。命の危険はあるけど。


 だけど、こういうのは基本庶民の場合であって、貴族や裕福な人は専門で教えてくれる学校に行く、生活なんて関係ないから。


 魔法スキルはスキルとは違う、これは本当に生まれ持ってくるもの、生まれるときから適性がある。


 これは貴族だろうが庶民だろうが関係なく、ランダムに適性を持って生まれてくる。

 それでも習熟度という点は同じなので、使わなくては上達しない。


 魔力量に関してはまだこれと言った定説はない。

 殆どの人が生活魔法位は使える魔力はもっているが、やはり個人で違う。


 当然属性魔法の適正を持って生まれてきた人は、初めから魔力量も多い。


 俺はスキルの習得速度は個人の魔力量によって変わってきてるのではないかと思っている。


 三冊の本に書かれていること、俺のスキルのこと、剣術や鑑定などのスキルのことを総合的に考えると、そういう結論になった。


 以前思っていた本を読んだだけでスキルを習得できるんではないかと期待してたが、流石にそれは無かった。


 でも本当にこの本は役に立った。作り方以外に、スキルについても色々書かれていたから、本当に勉強になった。


 さて、後は実践あるのみ、必要な道具も自作しよう、この世界ガラスがないから陶器でやってるけど、これをガラスでやったらどうなる事やら。


 それに知識チート、地球の科学の実験の知識も使えるから楽しみ。

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