第8話 初めての村

 朝早く出発して、結構な速さで森を進んでいる。勿論リヤカーはインベントリの中。

 家を建て始めてからは、あまり狩りにも行けず、レベルは上がっていないが、それでもレベル15のステータスは一般人からすればかなりのもの。


 偽装してるから魔力が少なく見えるがMP1000越えは十分17歳ではありえない。


 豊富な魔力で無魔法の身体強化を掛けているので、レベル+身体強化で地球の100m走、金メダリスト並の速さでずっと走ってる。


 尚且つ気配遮断や気配感知のスキルも使ってるから、先ず魔物に邪魔されることもない。

 邪魔というより見つかる前に進路上の魔物は魔法で瞬殺、即インベントリへ、それ以外は殆ど気づかれることもなく通過してる。


 漸く森を抜け、村が見える所に出るのにそれでも出発して2時間ぐらいは経っていた。これ一般人だと多分途中最低でも一泊コース、下手すると二泊するだろう距離。


 まして魔物との遭遇もあるだろうから、戦える力かそれなりの護衛がいないと無理な話だ。


 以前あの森で誰かに遭うかわからないからなんて思っていた自分が恥ずかしい。


「まず遭わねえなあそこは」


 確かにエルフや獣人が差別されてる国では、そういった連中が森に隠れ住んでることはあるが、この国では差別もないのでそれもない。


 神様情報、神様配慮です。そこは……


 冒険者がもし挑戦しても、森の奥で倒した魔物素材を持ち帰れる。大容量のアイテムボックスかアイテムバックがなければ採算がとれない。


 ところで、俺の住んでる場所は人里からかなり距離があるので、森の奥のように思ってるだろうがそうではない。だって出てくる魔物の種類見ればわかるでしょ。


 まだまだあそこでも森の大きさからすれば浅い所なのが本当。


 それでも魔物は数がいるからね、おいそれとは俺のところまで来ることは出来ないんですよ。


 本当にこの森はとてつもなく大きいのよ、人間が開拓しても俺のところまで来るには100年はかかるんじゃない。


「よし!ここからはリヤカー出して進もう」


 村は開拓村なんだがそれなりに大きい、何故なら森の周辺だけでも良い木材がとれるし、土が肥えてるから作物も良く育つ。


 その為人口もそれなりにいる、だけどそれでもやはり辺境なのでこれ以上は大きくならないらしい。(後日情報)


 村の周りは木と土で出来た外壁があり、当然森からの魔物対策はされている。


 門が近づくにつれ門番らしき人が、森の方角から来る見たこともないリヤカーを引っ張る、どう見ても怪しい人間に警戒しだした。


 辺境だけど、それなりに大きい村だから、辺境領主の領兵が常駐してるのです。


「こんにちは!」 言葉が通じるのは言語理解EXがあるので、気にせず話しかけた。

 出来るだけ警戒心を抱かせないように……


 門番の一人が


「おいおい、お前どこから来たんだ?」


 と聞いてきた。


 そりゃそうだよね、ここは辺境でこの先に村もないし、それなのに森の木材運搬用の道から人が現れたんだから。


 実は門番の数今は三人に増えてる、さっきまで一人だったのに……


「俺 森のちょっと奥に住んでるんですよ」


 少し前から一人で生活してたけど、消耗品が切れたのと、他にも欲しいものが出来たので、村に来たと伝え、別に犯罪者とかでもないことも当然伝えました。


 そしたら今度は「身分証は?」と聞かれたので、森に住み始めてから、どこかで気が付かないうちに無くしてしまったと答えたら、怪しいけど、見た目は粗暴に見えないし、言葉も丁寧なので、水晶で確認が取れれば入っていいと言ってくれた。


 犯罪者かどうか確認取るための水晶ね、神様情報で知ってたやつ。


 勿論、確認OK 入村できることになったんだが、一人で住んでる理由とか聞きたそうにはしてたけど、結局は聞かれなかった。


 門を通る時にちょっと同情してるような目線を感じたが、気にしないことにした。


 同情されるような理由じゃないからね、決して絶対に。異世界から来て人間不信なので森に住んでるなんてとてもじゃないけど言えない。


「有難うございます」と門番に言い、リヤカーを引っ張って村に入った。


 先ずはどうしようかな? あ!さっき門番に聞けばよかった。燻製肉や魚の燻製が売れるかどうか、何処に売ればよいかなど。


 久しぶりの人との会話、初めての異世界人というのでテンパってからしょうがないけど、いやほんとどんだけ緊張してたんだよという話、情けなや元アラフォー。


 しょうがないので、店らしいところを探しながら村の奥に入って行った。


 少しすると、ありましたよ店らしい外観の建物が、店の前まできたら、ちょうど奥から人が出てきたので話しかけることに。


 この人物との出会いが、これから先何十年と付き合っていく人との運命の出会いだったとはこの時はまだ思いもしなかった。俺……


「こんにちわ ここは何のお店ですか?」


と元気に声をかけた。


 すると一瞬急に声をかけらたのでびっくりしたようなそぶりだったが、そこは商人直ぐに顔をつくり笑顔で


「雑貨屋だよ まぁ何でも屋というのが一番あってるけど、ここは辺境だからさ」


 と笑顔で答えてくれた。


 何でも屋なら、俺が持ってきた物を買い取ってくれるか、早速聞いてみることに。


 初めての村、初めての商談、はてさて上手くいくかな?
















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