第7話 村に行く準備
家は完成したけど、足りないものが多すぎる。将来的には自分で作るのもいいけど、それまではどうしても買って来るしかない。
それにはお金に替えれる商品が必要なので、それを何にするかただいま検討中。
インベントリは使わないと言うのが大前提なので、持ち運ぶのに違和感のないもので尚且つ、お金にしやすいもの。
この世界の常識や文明がハッキリしていない以上、適当には選べない。
現状有力候補の一番は魔物肉の燻製。これならある程度たくさん作れるし、日持ちもするので、運べさえすれば多分売れると思うし、最悪お金は無理でも物々交換は出来ると思う。
他には森の果物や薬草、ただこれは村で情報を仕入れた後なら問題ないと思うが、万が一にも希少な物だったり、まだ使われていない薬草だったりしたら、トラブルになりかねない。
もっと危険なものでは滝つぼで見つけた、鑑定では宝石の原石と出てるものなんだけど、これを村で売ってもいいものか?
「う~ん、これは厳しいよな~」
一応インベントリには入ってるから売ろうと思えばいつでも売れるんだけど……
最終的に一番問題なのが、持っていく方法。
しっかりした草や竹で籠は作れると思うんだけど、持っていける量に限界があるんだよね。ここは頑張って、木製のリヤカーみたいなもの作るかな?
大八車でもいいけど、やっぱりリヤカーの方が運ぶとき楽かな?
「う~ん 他には良い案ないよな~」
最終的にどうするかは別問題として、リヤカーはあっても無駄にはならないだろうから作ることにしよう。
リヤカーで一番肝心なのは木で作るから車輪をどうするかだよな。それなりに頑丈に作らないと荷物を運べないし、頑丈過ぎると重くなるしな。
車輪に加工するのも簡単ではない、先ずはそれなりに丈夫で曲げ加工できそうな木を見つける所からだな。
森に入って目につく都合のよさげな木を片っ端から切って、持ち帰ることにした。
「あれ? これってゴムの木の様な樹液が出てる、こっちはなんだかメイプルの様な樹液?」
鑑定先生の出番ですよ、これは……
はい 間違いなく地球で言うゴムの木とメイプルの木でした。
どちらもリヤカーには関係なかったけど、これはまた嬉しい副産物。
ゴムは硫黄がないとタイヤに加工できないけど、メイプルは樹液を集めれば加工できる。
ただこれも、鍋という道具が手に入らないことにはできない残念だが。
持ち帰った木の中から一番よさそうなものを、乾燥させ熱いお湯につけて曲げ加工をしてみた。型は大きな石を俺流ウォーターカッターで綺麗な丸に加工、それにはわすようにして形を整える。
両端を繋ぐ時は、組み手で繋ぎ、固定に楔を打ち込んで車輪が出来た。
後は補強のためのスポークを車軸に固定、ベアリングはないから骨組みに穴をあけてそれに通して反対側の車輪もつける。
ここまでくれば後は簡単、荷台部分を作って人間が引く部分を作ればいい。
やっぱり車軸が一番苦労した。均等な丸い棒に加工するのが本当にムズイ。
結局2本失敗し、漸く三本目でなんとか納得できるものが出来た。
さてと、少し重りを載せて試運転してみますか。テストはしないとね最低でも村の入り口から帰りの出口までは壊れずにもってもらわないといけない。
それ以外はインベントリで運べるからね。何とも消極的な発想だけどこれが一番いいのも確かです。
リヤカーも完成したので、ここからは籠を作ったり、肉の燻製を作ったりした。他にも蔓の様な植物を加工して、なんちゃってロープも作る。
果物はどうするか迷ったから、今回は持っていかないことにした。
インベントリの中にはあるから、もっていかないと言うのはちょっと違うけど。
大変だけど今回は一番に情報収集、二番に物が売れればいいと言う方向で行こうと思う。
それから3日かけて、燻製肉の他に岩塩とハーブで味付けしたベーコンも作った。
オーク肉やボア肉があったからね。
それによく考えたら、川があるんだから川魚を捕まえれば魚の燻製も作れると思い、竹で罠を作って大量捕獲、擦れてない魚だから捕れる捕れる。
何で今までこれに気づかなかったんだろう?
目の前に川があるし、初日にゴブリンが魚捕ってたのも忘れてるなんて、正直ちょっと自信無くしましたよ。38歳ではなく、今17歳だよ……
スローライフ送ってるつもりが、社蓄生活を継続してたように思い、かなり落ち込みました。
確かにまだ安定した生活が送れていないので、余裕が無かったのかな?
今回の村訪問で何とか道筋が見えれば、近いうちに安定して余裕も出来るでしょうから、それまでは兎に角頑張って地盤づくりに励もう!
明日は早くに出かけるので、今日は結界の魔道具に魔力を補充して早めにやすむことにした。
ベットのシーツが欲しい、出来れば綿とかあればいいな~
寝るまで欲しいものや不足してるものを考えながら過ごした。
翌朝、「さぁ出発しよう!」 ワクワク感と少しの怯えの入り混じった不思議な気持ちで、朝食後出発した。
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