第46話 そこってサンクチュアリなんじゃないの?

『Go! Go! Go! Move! Move! Move!』


 ――スタタタッ、スタタタタタッ……


「はぁ、はぁ、はぁ……分隊長殿、よくぞご無事で」


「あぁ、つむぎ上等兵もよくやった! どうやら全員無事に合流出来た様だな。そうは言っても、本番はまだまだこれからだっ! 次のミッションは更に苛酷かこくさを増すぞっ!」


 あぁ、千春ちゃんも『分隊長』の肩書は、普通にスルーするんだぁ。

 しかも、つむぎちゃんもしっかり『上等兵』になっちゃってるし。

 って事は、私もパル子上等兵になるのかな?


「それではパル子等兵。お前にとっては初めての任務となるが、早速頼めるかっ!」


「はっ、はひっ、頑張ります!」


 そうかぁ……やっぱり私は二等兵かぁ。

 確かに実戦経験が無い新人だもんなぁ。

 ここは仕方の無い所だよねぇ。

 って言うか、実戦経験って何だよ。実戦経験って。


「よしっ、それではパル子二等兵。その場からゆっくり立ち上がって、生徒会執行部の部屋の中に敵がいない事を確認してくれっ! もし敵を視認した場合は、即刻知らせて欲しい」


「そっ、そんな重要な役目をっ!」


「あぁ、お前は目が良いからなっ、お前にしか頼めない重要任務だっ!」


「くぅぅっ! 分隊長殿っ!」


 やばいなぁ……。

 ちょっと楽しくなって来たぞ。

 まぁ、一回乗っかっちゃえば、どうと言う事は無いんだけどね。

 って言うか私ってホント、典型的な日本人だなぁって思うよ。マジで。

 長いモノには巻かれろって言うかさぁ。

 でもまぁ、大好きな千春ちゃんやつむぎちゃんがとっても楽しそうにしてるからねぇ。仕方がありませんよね。

 ここはひとつ、乗ってあげましょうか。


「わっ、分りましたっ! 精一杯偵察ていさつ致しますッ!」


 よぉし、初任務。がんばるぞぉ!

 それでは早速。


 ――コソコソッ……


 さてさて、部屋の中はどうなっているのか……なぁ?


「……んん?」


「どうした? パル子二等兵。何があったんだ?」


「……はわ、はわわっ」


「分隊長殿ぉ」


「なんだ? つむぎ上等兵」


「なんだか、パル子ちゃん。口をあんぐりあけて、固まってるみたいですよぉ」


「固まってる?」


「ほらほらぁ……見てみて。なんか瞳孔どうこうとか、完全に開いちゃってるし」


「あぁ、本当だなぁ。どうしたんだろうな?」


「ねぇ、パル子ちゃん、パル子……」


「しっ! 静かにっ!」


「ふぐぐっ! パル子ちゃんはふほひゃん痛いひはひ……そんなに強くほんはひふほふほっぺ握ったらほっへひひひゃら痛いよぉひはひひょぉ!」


「うむ。どうやら何か異変があった様だな。それでは私たちものぞいてみる事にするか」


そうだねほうはへちーちゃんひーひゃんサバゲーごっこもははへーほっほほちょっとひょっほ飽きて来た事だしはひへひはほほはひ


「うむうむ。では早速のぞいて……」


 ――コソ、コソコソッ……


「うぉっ!」


ちちっひひっちーちゃんっひーひゃん! ちちちひひひちーちゃんひーひゃんっ!!」


つむぎちゃん、うるさいっ! ちょっと静かにしてっ!」


「つつっ、つむぎっ! つつつ、つむぎぃっ!!」


「千春ちゃんも落ち着いてっ! とにかく落ち着いてっ!」


 神聖不可侵、絶対的権威の象徴である、生徒会執行部。


 そんな聖域サンクチュアリとも言うべき場所において……。


「こっ、コイツらぁぁぁ!!」


 接吻ちゅーしてやがった。

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