第38話 そこはロイヤリティじゃない?

「で、具体的には、どうすれば良いの?」


「そうですねぇ。男子の好きなタイプになる事……ですかねぇ」


「なにその具体的な雰囲気をかもし出しつつも、何一つ実効性の無い提案は。私は虎を捕まえて! と言ってるんだよ。屏風びょうぶから追い出してくれたら捕まえられますよ……なぁんて言う『とんち問答もんどう』はいらないんだよぉ!」


「めちゃめちゃ、〇休さんですね。私、アニメは再放送もほとんど見た事無いんですけど、この話は本で読んだから知ってますよ。確か一〇さんがぁ……」


「いや、ちょっと待って。ボケた私が悪かった! あやまる。あやまるから、いま話題をアニメの一休〇んに持って行くのはヤめて。話の本筋がブレるから。私の聞きたいのは、その男子の好きなタイプになるってトコなの。そこの所を詳しく説明してほしいの! そっちが最優先事項なんだよ!」


「そうでした、そうでした。それでは話を元に戻してぇ。それじゃあ、男子の好きなタイプって言うのはどう言うものだと思いますぅ?」


「くっ! 質問に質問で答えるタイプっ! えぇぇ。そんなの一杯あるでしょお! 顔がカワイイとかさぁ、スタイルが良いとか。後は性格が良いとかぁ? って言うか、そんなの男子毎に違うんだろうから、なにが最善なのかなんて、絶対にわかんないよぉ!」


「うふふっ、そうですねぇ。男子も人の子ですから、色々な趣味しゅみ嗜好しこうがあるでしょうしね。でもね、基本、らは『』ですから」


「パパパ、パル子ちゃん。ブラックパル子ちゃんが降臨こうりんしてるよっ! 日頃暗黒のベールにつつまれて、厳重に封印されているはずのブラックパル子ちゃんが、この茶道部の部室に顕現けんげんし始めてるよぉ!」


「何を言ってるんですか、つむぎちゃんが呼ぶから出て来たんじゃないですか。私もすきこのんで地の性格を出してる訳じゃないんですぅ」


「いやいや、すきこのんで出してる様にしか見えないけど……」


「何か言いました?」


「いや、別に……。で、そのな男子の好みの娘って言うのは、どういうタイプなの?」


「そうです、男子の好みのタイプは、実は一つしか無いんですよ」


「え? ひとつだけ?!」


「えぇ、ひとつだけ」


「まっ、マジか?!」


「えぇ、マジです」


「そ、それならなんとかまとしぼれそうだね。でも、それってハードルが高いんじゃないの? 顔がグラビアアイドルみたいにカワイイ事っ! とかって言われても、私にはどうしようも出来ないよ?」


「大丈夫です。誰にでも出来ます」


「まっ、マジか?!」


「えぇ、マジです……って言うか、これ、天丼ですか?」


「いやいや、それ私のギャグだから。使う時には私にロイヤルティ払ってよね」


「それってロイヤルティじゃなくって、ロイヤリティじゃないんですか? もしボケたんだったら、わかりづらすぎて普通の人ではスルーされちゃいますよ。まぁ、千春ちゃんだったら、正確にツッこんでくれるとは思いますけど。ちなみに、ロイヤリティは特許権とか著作権とか、権利の使用権を表す場合が多いので、今回の場合ですとソッチの使い方が正しいと思いますね。ちなみに、ロイヤルティになっちゃいますと、忠誠や誠実って意味になっちゃいますから。単純に日本語変換するとすれば、『これを使う時には誠意みせろやぁ!』って事になりますので、ほぼほぼヤクザの言動と大差無い事になっちゃいますよ。マジでロイヤルティの方で使ったのだとしたら、私としても相応の対応を……」


 恐い、怖い、コワイ!

 ちょっと、こわいよぉ!


 パル子ちゃんって。

 見た目はこんな可愛いのに、めっちゃ性格怖すぎるわっ!

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