第35話 入り浸っても良いんじゃない

「パル子ちゃん、抹茶まっちゃラテ飲むぅ?」


「え? 抹茶ラテ……ですか?」


「実はねぇ。昨日ちーちゃんが抹茶ラテれてくれたんだよぉ」


「へぇぇ……って、まさか、お茶碗でてたんじゃないでしょうね!」


「そうだよぉ。しかもストローで飲んでたら、思いっきり鼻に抜けてさぁ……」


「あっ、バカ。つむぎ、余計な事をっ!」


「どどど、どう言う事ですか!? 千春ちゃん! 茶器で抹茶ラテを作るなんてっ!」


「いやスマン。本当にスマン。ちょっとした出来心って言うか、そのぉ……折角だしつむぎにも茶の美味おいしさと言うものを知って欲しくてだなぁ」


「んもぉ! 駄目ですよっ! 大切な茶器をそんな事に使っちゃあ! ちゃんと洗っておいたんですか?」


「あっ……あぁ……えぇっと。洗うには洗ったんだが……」


「洗ったけど……どうしたんですか?」


「いや実は、洗っている最中に落としてってしまってなぁ……」


「えぇぇぇぇっ! あのお茶碗、割っちゃったんですかぁっ!」


「そ、そうなんだ。先生にも報告して、新しい茶碗は購入してもらえる事になったんだが……」


「そう言う問題じゃないんですっ! 千春ちゃんは茶道部の部長なんですから、茶道の精神をしっかり守ってもらわないとっ!」


「あいや、その通り。本当に申し訳ない。重ねておび申し上げる」


「ホントにもぉ! 私、あのお茶碗、結構気に入ってたんですからね!」


「まぁまぁ、パル子ちゃん。キミの気持ちもわからなくはないけど、ちーちゃんも反省している様だし。まぁ、このぐらいで許してあげようよ」


「もぉ! つむぎちゃんも同罪ですよっ! チョットは反省して下さいっ!!」


「はぁぁい……」


「はぁ……もう良いですよ。そんな二人して、捨てられた子犬の様な目で私を見つめないで下さい。ちゃんとして反省してくれればそれで良いんですから。そもそもつむぎちゃんはどうして毎日部室ココに来てるんですか? 毎日来てるぐらいだったら、つむぎちゃんも茶道部に入部すれば良いのにぃ」


「まぁねぇ。私もそうした方が良いかなぁって考えた事はあるんだよ? でもさぁ、私って抹茶が苦くて飲めないんだよねぇ。しかも、長時間の正座も出来ないし」


「あぁ……それはちょっときびしいですねぇ」


「って事で、勝手にびたる事にしたんだぁ」


「それはそれで迷惑ですけどね」


「迷惑って言うなぁ!」


「あははは。冗談ですよぉ、冗談」


「私だって好きでびたってる訳じゃないんだよ! 本当はイケメンの男子とか女子の居る部活に入りたいんだよぉ」


「だったら、そうすれば良いじゃないですかぁ」


「いやいやいや。私の運動神経ってコミケ会場のWifiよりも壊滅的かいめつてきな状態だしさぁ。かと言って、マネージャーになる程のマメさも無いんだよねぇ」


「あたたたぁ。それはダメそうですね」


「はぁぁ……。どこかに女装の似合うイケメンが落ちてないかなぁ」


「そんなの落ちてる訳ないでしょ!」

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