第33話 過言なんじゃない?
――キーン、コーン、カーン、コーン……
「お昼だぁ! ちーちゃん、お弁当ぉたべよ!」
「あぁ、そうだな。しっかし……いつ見てもパル子のお弁当は
「えぇぇ。そうですかぁ? 全然普通ですよぉ」
「いやいや。高校生の弁当がキャラ弁って、普通ありえんだろ?」
「本当にそうだよねぇ。ねぇねぇパル子ちゃん。これって、パル子ママが作ってるの?」
「違いますよぉ。ウチのママも結構料理は好きなんですけどぉ、お弁当は自分で作ってますねぇ」
「って事は、これはパル子ちゃんの手作りって事?」
「はい、そうですよ」
「まっ、マジか? ちち、ちーちゃんは? ちーちゃんのお弁当も手作りなの?」
「なんだ、なんだ。私か? ウチはもともと父親が弁当を持って行くからな。この弁当は母親がその時一緒に作ってくれるんだよ。基本、前日の残り物が多いから、パル子の様な
「でも、ちーちゃんママのご飯は美味しかったよ」
「あははは。そうか? そう言えば
「そっ、そうだよ。基本的に知的財産の権利は私にある訳だからね」
「知的財産の権利ぃ?」
「そっ、そうだよ! お弁当の基本設計は私自身がやってるんだけど、製造工程については高度な技能を持つファウンドリに委託する事にしてるんだよ。だって世界を見て
「
「ママだよっ」
「え?」
「ママだよっ!」
「えぇ?」
「って言うか、これ天丼?」
「天丼じゃねぇよ。って事は結局その弁当って、
「ちっ、違うのっ! もう一度聞いてっ! 前の日の晩にお弁当に何を入れて欲しいのかをママに伝えているのは紛れも無い私自身なんだよ。だから、結果的にはそのお弁当と言うのは、私の設計思想によって生まれたモノって事だから、つまり、私が考え、委託して作らせたお弁当は、最終的に私が作ったお弁当……と言っても過言じゃないって話だよねっ!」
「過言だよっ!」
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