第11話 大きければ良いんじゃない?

「って言うか、お前っ、百合ゆりだろ?」


「うん。そうだよ。だけどまぁ、ガチの百合って言うよりは、百合系ぇ?」


「何故に疑問形? にしてもお前はまったく屈託くったくが無いな。となると……ほれ、女湯って言うのはどうなんだ? お前にとって……そのぉ……良いものなの……か?」


「おぉぉ!」


「何がおぉぉだ?」


「ちーちゃんにしては珍しく核心かくしんを突いて来たね」


「まっ。まぁな」


「でも、別にそんな事無いよ」


「なんだ。そんなもんなんだ」


「うん。まぁ、もちろん色々な人は居るんだろうけどぉ、あくまでも私の場合はね。だいたいさぁ、鏡を見れば自分にも同じモノが付いてる訳だし、ソコの所にあんまり興味は無いよ。何て言うかなぁ、やっぱり私には無いモノに興味があるって言うかねぇ」


「へぇぇ。つむぎに無いもの? ……例えば?」


「例えばぁ、コレ……かな?」


「こらこらこら、揉むなって。だから、揉むなって! って言うかコレ、お前にも付いてるじゃねぇかっ! って言うか大きさか? 要するに大きさの問題なのか?」


「違うよぉ。大きさじゃないよぉ。やっぱりこう、ちーちゃんのとは、色もつやも形も全然違う訳よ。分からないかなぁ、この気持ちっ」


「いやいや。ぜんぜん分からんわ。って言うか、色もつやも形もほぼ同じだろ? って言うかさぁ、色とつやと形が違うって言うなら……ほれ、あそこにいるばぁさんのを見てみろ。完全に色もつやも形も違うぞ。アレこそお前の言う、お前に無いモノじゃないのか?」


「ちーちゃん。そうじゃないでしょ? いきなり賞味期限切れの納豆なっとう持って来て、どっちがおいしい? って聞いてるのとおんなじだよ? 流石にそれは無いよ」


「いやいやいや。ばぁさんを持ち出した私も悪かったけど、賞味期限切れの納豆なっとうたとえるのはほんとヤメロ。流石さすがに気が引けるわっ! それだったら……ほらほら、あそこ。小学生の子供がいるだろ? アレだったら色もつやも形もほぼ同じだぞ?」


「だぁかぁらぁ。納豆なっとうのおいしさの話をしてるのに、大豆だいず持ち出して来てどうするのよ! って話よっ!」


「いつの間に納豆なっとうのおいしさの話になったんだ? まぁ、良いけど。って事は、小学生も駄目って事か。となると、やっぱり違いと言えば……あれ? 例のエロエロ大学生が居たなぁ」


「あぁことちゃんね」


「名前なんてどうでも良いんだよ」


「ひどっ! って言うか、ちーちゃん、琴音ことねちゃんに対してはホント容赦ようしゃ無いよね」


「まぁな。で? そのエロエロ女子大生はどうなんだ?」


「えぇぇ。ことちゃんねぇ。うぅぅん。ことちゃんはねぇ……」


「うんうん」


「わりと……アリ」


「やっぱ、アリなんじゃねぇか。って言うか、もう、違いって大きさだけじゃねぇかっ! って言うか、単にお前が巨乳好きってだけなんだろ? 実際問題、そうなんだろ?!」


「ちっ、違うよぉ。ほんとにホント。違うんだよ。巨乳も確かに好きだけど、ちょっと違うって言うかさぁ……」


「なっ、何が違うって言うんだよ。また、ちーちゃんのオッパイが一番好き……とか言うんじゃないだろうな! もう、その手にはだまされんぞ!」


「えぇぇ。コレ、言わないと駄目なヤツぅ?」


「あぁ、絶対に言わないと許さないっ! もし言わないんだったら、もう二度とオッパイ揉ませてやらないっ!」


「うえぇぇ。ちーちゃん、それは殺生せっしょうだよぉ……」


「何が殺生せっしょうなもんか。ハッキリ言え、今すぐ言え、ココで言えっ!」


「うっ……うん。それじゃぁ……本当の事言うね」


「あぁ、言え、言え」


「あのね……」


「うんうん」


「えぇっとぉ……」


「なになに?」


「感度……かな……」


「……かっ、感度?」


「うん。感度」


「……感度……ねぇ……」


「ねぇ……」


 本当の事言ったら、めっちゃ恥ずかしくなった。

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