第37話 窮状

 言葉を濁す余裕を持たないまま、率直に聞いた。


「浄化って、ゾン美さんは……結局……どうなるの?」


 一口に浄化と言ってみたところで、それが意味することは何となくわかったつもりになっていたが、どういう形で果たされるのかは見当もつかなかった。


「詳しいことは、よくはわかりま、せん」


 何かを絞るようにして結んだのを聞くと、やっぱりそういうことなのかな、と勝手に考える。


 むりやりな平常心を装っているようには見えなかったが、無表情のなかに見え隠れする陰り。


 それは仕方のないことだった。


 誰が自分の終わりについて想像をたくましくしようなどと考えるだろうか。


 ましてや、それについて正面からぶつかろうとするだけでは何もならない。


 自分を諭すだけで救われるはずもないからだ。


 それが意味することがたとえわからなくとも、それが目前に迫っているときでさえ、それは美徳混じりのおごりに過ぎない。


 自分を育んでくれた人たちのことまで考えればきっとそうなるはずだ。


 受け入れること。


 拒絶すること。


 そのいずれもをバランスよく兼ねることではじめて終わりを迎えるために必要最低限なものが整えられる気がする。


「いなくなったり、するのかな?」


 どう表現していいのかわからなかったので思うままに口にした。


「きっと……」


 その先に続く言葉は何だったのだろう。


 それだけ言い終わるとゾン美さんは間を空けてから、少し口角を上げた。


 それが諦めを意味していたのか、これまでを偲んでから浮かび上がってきたものなのかはわからなかった。


 ふと気がつくと、両の手をただ強く握りこんでいた。

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