第3話 露呈
開けっぱなしのまま、人並みに取り乱していた。
あちら側からペコリと先制の一礼をいただく
つられた。
なんだか空気が少し日常を取り戻したような気もした。
キョロリンチョにグロリンチョ。
今度は辺りを気にしているようだった。
「えっと、あのー、えー、そのー」
続けようとした口元近くにサッと指が運ばれた。
強烈な匂いがした。
「何も言わず、とりあえず中に……」
そういうと返事を待たずに勝手に入りこみ、そろりとドアを閉めた。
意外なほどすんなりと言葉を発したことに飲みこまれていた。
玄関先は外よりいっそうと暗い。
明かりを点けるべきだったが、正直、直視できる自信はなかった。
「灯りを……」
「……」
拒絶した。
腐臭がひどい。
不快な雰囲気が色をつけて天井付近にまで立ち上っているような気がした。
「灯りを……」
「……」
当たり前のように拒絶した。
それにしても腐臭がひどい。
目の前の物体を山盛りの馬糞だとみなすことに専念していた。
「スイッチはここですよね」
「あ……」
儚さも空しく、その場が明るくなる。
現れたのは、腐った少女の姿だった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます