第3話 露呈

 開けっぱなしのまま、人並みに取り乱していた。


 あちら側からペコリと先制の一礼をいただく


 つられた。


 なんだか空気が少し日常を取り戻したような気もした。


 キョロリンチョにグロリンチョ。


 今度は辺りを気にしているようだった。


「えっと、あのー、えー、そのー」


 続けようとした口元近くにサッと指が運ばれた。


 強烈な匂いがした。


「何も言わず、とりあえず中に……」


 そういうと返事を待たずに勝手に入りこみ、そろりとドアを閉めた。


 意外なほどすんなりと言葉を発したことに飲みこまれていた。


 玄関先は外よりいっそうと暗い。


 明かりを点けるべきだったが、正直、直視できる自信はなかった。


「灯りを……」


「……」


 拒絶した。


 腐臭がひどい。


 不快な雰囲気が色をつけて天井付近にまで立ち上っているような気がした。


「灯りを……」


「……」


 当たり前のように拒絶した。


 それにしても腐臭がひどい。


 目の前の物体を山盛りの馬糞だとみなすことに専念していた。


「スイッチはここですよね」


「あ……」


 儚さも空しく、その場が明るくなる。


 現れたのは、腐った少女の姿だった。

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