第2話 邂逅

 佇んでいると、辺りを包みこもうとする夜の黒が遠くまで広がっていた夕方の赤に重なっていった。


 ようやく窓を閉めると、時刻は六時をまわっている。


 時計の秒針を目で追いかけながら少しだけ呆けていたことの余韻に浸っていると、グッググーと腹が鳴った。


「うん、何か食べよう」


 目の前にあるのはひとり暮らし用の小さな冷蔵庫。


 取っ手に手をかけ、開けると、期待しながらのぞきこむ。


 棚に並んでいるのは飲み物のほかに納豆と卵、それとこまごまとした調味料がてん、てん、てん。


 開けっぱなしのまましばらく固まる。


 仕送りまでの日を指折り数えていると沈むしかなかった。


 希望から失望を味わうくらいなら、ここは端から地獄だったと思いこんで過ごすほうが何かといいような気もする。




 チンポ―ン。




 インターホンの音が部屋に響き渡ると、不意をつかれて体がびくついた。


「ったく、またかよ、こっちは金どころかテレビすら持ってないんだぞ」


 ブーブー文句を垂れながらも、いちおうは出向こうとする。


「はい、どちら様ですかっと……」


 ドアを開けると、そこにはいたのは、腐った死体だった。

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