②
(たく、仕方ねぇな…)
「んンッ…」
二人布団に潜り込んだまま、手探りで顔まで辿り着き。顔に掛かる吐息を感じ、近付いて奪う。
すぐに春流がしがみついてきたから。
舌を捻込み、互いのソレを絡め溶かすようなキスをお見舞いする。
そうすれば互いの中心が、見る間に膨らみを増すのが分かって…
なんか、変なカンジ。
「ふぁ…んンッ……!」
クチュリと夢中になってキスに溺れる。
唾液が口端に垂れるのも構わず、妙に積極的な春流につい押され気味になりつつも。
負けじとその甘美な唇を、堪能しまくった。
(なんか、いつもと違うな…)
もう何回重ねたか判らない、ソレ。
初夜を迎えた日から、遠慮なくアイツを組み敷いてきたけれど。
アイツはいつまで経ってもあの夜そのまんまで…。
キスも遠慮がちで、辿々しい感じがしてたんだ。
性欲で掻き立てられ、
うっすら戻りつつある意識で気付いたのは…
(あれ…足…)
俺の身長は成長して176。
対して春流は未だ160にも満たなくて。
今は同じ位置に顔があって。
キスの真っ最中なわけだから、春流の足がこんな長いわけないんだけどな…?
(ん?夢か?)
やべー…寝呆けてんのかな、俺。
でもキスしてなんだか、ふわふわしてるし気持ちいーし…
てかやめらんねぇじゃん、コレ。
「んっ、ァ…ふぅ…」
ホント今の春流は、らしくない。
半ベソかいてんのか、啜り泣くように必死でしがみついて離さねえし。声も色気ムンムンしてっし…
ついでに股間はカッチカチ。
こりゃ堪んねぇっしょ?
「ンンッ──────…!!」
口と口で繋がったまま、春流の上に覆い被さる。
恋人にここまで煽られて、発情しねぇ男はいないだろう。
俺は自ら理性を放棄して。
このケダモノの手を、春流の滑らかな肌へと這わせた。
その時、息つくほんの少しの間に互いの唇が離れて────…
「陽一…」
ん?ヨーイチ……………誰?俺?
聞き捨てならない名で呼ばれ、
俺の思考が一時停止した瞬間。
「ぐぇっ…!!」
俺の身体が、布団ごと吹っ飛ばされた。
「っ…てぇ……」
思い切りタンスに肩をぶつけ、
布団に絡まりながら悶絶する俺の遥か頭上から。
「てめぇ…人のモンに何してくれてんだ…あ?」
最恐の破壊神が、ここに降臨した。
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