③
「……で、続きは?」
「はあ…?続きて、なんば言いよっとや…」
恋人としての意志疎通が叶ったところで、めでたしめでたしとはいかなくて。
絢斗は意味深な視線を、修治に向けてくる。
「またまた~分かってるくせにぃ!」
キスなんて本題じゃないでしょーよと、絢斗は唇を尖らせる。
「オレがしたかとは、こげんお子ちゃまなチューやなかとばい?」
もっとヤラシクて気持ちいーコトだよと、敢えて遠回しに告げてくる絢斗に…修治は動揺して目を泳がせた。
「修治が抵抗あっとやったら、オレが掘られる方で良かけんさ…」
ね?と綺麗な顔して微笑んだかと思ったら…
「ちょ、なんすっとや…」
「んー?引いてダメなら実力行使?」
答えて絢斗は、徐に制服のベルトに手を掛けてきた。
「ばっ…学校やぞ!?」
慌てて絢斗の手を掴み、辺りを見渡す修治。
しかしここはお約束にも、人目が寄り付かぬ屋上への階段であり。彼ら以外に生徒の姿なんてものは、まず見当たらない。
「平気っちゃろ?こげんとこ、誰も来んばい…」
今すぐシたいと、変なスイッチが入った絢斗は修治のズボンのチャックを手際よく下げていった。
「やめろって…」
「とか言って~修治のかて、もう勃起しとったいね?」
いつっも我慢しとっとやろ~と、ニヤニヤする絢斗に。修治はバツが悪いとばかりにしかめっ面を浮かべる。
絢斗が示す先…露にされた修治の下着の中心は、若干膨らんでいるのが判った。
「修治も同じ男やっけん…さ、キツかっちゃろ?」
今までだって、そういう雰囲気にならなかったわけじゃない。けど、際どくなるといつも修治が寸止めで有耶無耶にしてしまう。
勿論、一度昂ったものが簡単に冷めるわけがなく…
絢斗に限らず、修治だってモヤモヤしてたハズだ。
今みたく、下半身を熱くしながら…
「修治ん事ば好きやっけんさ…気持ち良くしてあげたかとよ…」
それは純粋な愛の営みとして…当たり前なんじゃないだろうか?
「…俺は、軽はずみな気持ちで、お前を傷付けとうなか…」
しかし修治は修治で、大事にしたいと訴える。
対極ではあれど、それだってひとつの方法なのだ。
愛されてるが故と考えれば、絢斗だって嬉しいに決まってる。
だけど…
「好きなら良かたい…」
それとも…修治はオレとエッチばシとうなかとね?
問えば修治は言いにくそうにしながらも、違うと断言する。
「好きやなかと…?」
「そげんことやなか…」
ならちゃんと言って?
いつものチャラさも何処へやら、不安げに見つめてくる絢斗に修治も一瞬戸惑いを見せるが…
「俺は…遊びで手ぇ出す性格やなかけん、」
察しろて言われて、不満を表す絢斗。
修治は頭を掻き唸った挙げ句、
「んっ…」
もう一度、絢斗の唇を奪った。
先ほどより深く舌を絡めて。
「また誤魔化す…」
「良かやっか…こがんこと、お前だけとやっけんが…」
しょうがないな~と言いながら、本音は嬉しくて泣きそうな絢斗。それを隠すよう、すりと修治に熱を押し当てた。
「なぁ…修治ぃ──…」
ちょっとだけでいいから先に進んでみない?
ねだるよう耳元で囁かれ、修治の溜まったまんまの熱もドクンと反応する。
「学校、やぞ…」
「良かやん、今日だけ…なぁ?」
猫なで声ですりすり恋人に求められたら、男が黙ってられるわけがなく…寧ろ今まで抑えてた欲が、ここぞとばかりに込み上げてくる。
硬派だなんだ、偉ぶってきたが…修治とて思春期真っ盛りの健康男児。据え膳とばかりに好きな相手に迫られれば、抗いようがないというもの。
「チッ…どげんなっても知らんからな…」
「良かよ…修治になら…」
絢斗の魅惑的な瞳にプツンと理性を奪われた修治は…密着する絢斗の腰を更に抱き寄せると。
不器用にも荒々しく、その唇を奪っていた。
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