Sな弟×Mな兄
①
ドS弟×ドM兄でSS(※微エロ?)
━━━━━━━・・・
「彼女、出来たって…?」
自然を装うようなタイミングで、兄貴が怖ず怖ずと口を開く。盗み見たその横顔は、遠くを眺めてはいたが…。
膝を抱える指先は、酷く震えていた。
「俺も高1だし、普通だろ。」
「まあ、そうだけどっ…」
さらりと返せば、あからさまに表情を曇らせる兄貴。
俺に初めて彼女が出来た事が、相当ショックだったみてぇだ。
実際は1回ヤッただけで、ソイツは彼女なんかじゃねぇんだけど。
「兄貴は女作らねーの?」
高3になって未だ彼女どころか、女子とそういった噂すら上がらない兄貴。
「おっ、オレは…お前みたくモテるワケじゃないし…」
いつもそう言って、気のないフリをするけど。
兄貴がいつまで経っても恋愛しない本当の理由を、
俺は知ってんだぜ?
「…もしかしてキスとかっ、もう…しちゃった?」
彼女の存在もだけど、兄貴としてはソッチの方も気になるみたいで。
相変わらず視線は、部屋の壁に固定されたまんまだったが。意識は今か今かと俺の答えを待ちわびてんのが、目に見えて判り易い。
必死で隠してるクセに、バレバレなんだよ…兄貴。
「してたらどうすんの?」
「え…?」
問に問で返したら、兄貴は反射的に俺を見上げてくる。
兄貴のが小さいから、上目遣いの困り顔が。
俺を堪らなく悦に浸らせてくれる。
「今時キスくらい普通だろ。」
「そ、そうかもだけどっ…」
自分でも質問の矛盾さが解ってんだろう。
兄貴は次第に切羽詰まったよう、目を泳がせ始める。
それでも食い下がってくるのは…
「なに?まさか兄貴、キスしたことねぇの?」
「えっ…あ、や…」
からかうよう、グッと顔を寄せてやれば。
兄貴はバカみたいに、真っ赤になっちまう。
話題が話題だけあって。
その恥じらう様が、まるで誘ってるように見えるのは…仕方ない事だろう。
そうやって兄貴が未だに純潔であり続ける理由は、
「キスもまだとか…ほんと兄貴はオクテだよな?」
「お、オレはそんな軽い男じゃないしっ…」
とか言って。
さっきから気まずそうにする兄貴は、ちっとも俺と目を合わせちゃくれない。
そりゃ後ろめたいよな…だって兄貴は────…
「ふーん…そんなお堅いコト言うクセに。毎日オナニーはしてんだもんな、兄貴は?」
「なっ…?」
俺の台詞を引き金に、一瞬にして顔を青くした兄貴。
指先の震えが、
「なぁ、兄貴?そん時さ…」
一体誰をオカズにしてんの?
漸く俺を捉えた目が、じわりと滲んでいく。
やっぱ堪んねぇわ、その顔…
「ちが、違うんだッ…」
俺が何を言いたいのか…当事者である兄貴は流石に気付いたようで。言い訳するガキみてぇに、首を振っては否定を口にする。
そうして可愛い顔ばっかして見せるから。
意地悪く「何が?」と惚けてやると…。
兄貴は涙を堪えるようにして、唇を噛み締め俯いちまった。
…ホント、いちいち可愛いヤツ。
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