浴衣男子。(晃亮×遥)

・晃亮×遥

・夏祭り、浴衣ネタ

⚠️エロあり



───────────・・・・





「あらあら~っ男前チョー特盛じゃないの!」



部屋の中、やけにハスキーな声が甘ったるく響き渡る。


頬を朱に染め、いやんっ…などとシナを作る忍に対し。遥は顎髭を擦りながら、半ば呆れ気味に苦笑を漏らした。


それでも悪友の気持ちが、解らないわけではなかったが…







「なんだか、すーすーする…」



元より、ズバ抜けた美貌を誇る目の前の彼…晃亮は。今しがた忍の手により、その美しさに更なる磨きをかける。


映える金髪は、以前の様に前髪を上げ後ろへ流し…。

伸びた襟足は雅な紐で軽く結い、凡そ高校生とは思えぬ色気を醸し出す。



加えて日本人離れしたその身には、渋い縦縞の浴衣を纏い。一見すると異国の皇子にでも見えそうな顔立ちな晃亮だったが…


それでいて、全く違和感がないのだから不思議。



和服をここまで着こなしてしまうのは、もはや才能だろうなぁ、と。遥は内でこっそり感嘆していた。








「似合ってんじゃねーか。」



つい見惚れてたのを誤魔化すよう告げれば。

じっと晃亮に見つめられ、内心どきりとする遥。





「はるかの方が似合ってる。」



先に着替えを済ませていた遥も、長い黒髪を後ろで結っていて…。前髪は晃亮と同じよう、上げたところをピンでお洒落に留めてあった。


一見したら、野性的な遥には不似合いそうな髪型だが…。何故か違和感ない辺り、彼の男前ぶりも相当なもの。


晃亮とは対照的な白地の浴衣も相成って。渋く大人の魅力を充分に放っていた。


それを晃亮は、可愛いなどとうそぶく。








「あらあら謙遜しちゃって~!晃亮君のが何百倍も素敵よ~!」



若くてピッチピチなんだから~と、忍はべちんっと晃亮の肩を叩く。


あれは地味に痛いだろうに…。

それでも晃亮は、表情を殆ど変えることはない。








「おら、そろそろ行かねぇと…花火の場所取り出来なくなるじゃねーか。」


「え~せっかく仕事抜けてまで、着付けに来て上げたのにっ!」



携帯でパシャパシャ写真を撮り始めた忍を窘めれば。唇を尖らせ文句をいいながらも、仕方ないわねと帰り支度を済ませる。







「最高に男前に仕上げたんだから、しっかり楽しんでらっしゃいよ~。」



くれぐれも変な人についてっちゃダメよ~なんて母親染みた台詞を残し。忍は賑やかに帰って行った。






「んじゃ、行くか。」



振り返れば、こくんと頷く晃亮。

従順なその仕草は、ひどく子ども染みてるのに。

いつになく大人びた格好のせいか、妙に擽ったい気もしてくる。


こんな時は、ついつい彼の頭をガシガシしてやりたくなる遥だったが…。

忍がせっかく綺麗にした髪型を、崩すわけにもいかないので。つい出しかけた手を引っ込め、晃亮を外へと促した。


そんな遥を前に、晃亮はきょとんと首を傾げるも。

素直に従い、慣れない下駄を素足へと引っ掛けた。


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