夏色キャンディ。(昴×円)

・昴×円

・夏休みネタ

・まったりラブラブ(エロなし)


⚠️本編ネタバレありますご注意を!!


━━━━━━━━・・・・





貴方と一緒なら、どんな小さな思い出も

宝物になるんです─────…



             『夏色キャンディ。』






side.Madoka



真っ青な大空に、綿菓子みたいな入道雲が浮かぶ…

暑さもピークに達し、夏も後半戦を迎えた頃。


昴クンとの同棲生活も、なんとか順調に…とは言っても。長期休暇こそ稼ぎ時なもんだから。

お互いバイトバイト…加えてオレは学校に課題にと。


なんだかんだ恋人気分を満足に味わっていなかったと、少し寂しく思っていた矢先───…




昴クンのバイト先のオーナーで、オレの兄ちゃんの親友でもある忍サンからのご厚意により。

なんとなんと、親御さんが所有する旅館に泊まりにこないかと言う…


願ってもないお誘いを受ける事になったんだ。





勿論ふたりっきりってワケじゃなく…。

うちの兄ちゃんと晃亮クン達4人でって事で。

ご招待されたんだけれども。










「うわ~綺麗な青!!」


地平線と混同する紺碧の海を見渡して。

砂浜に足を踏み入れ、ハシャぎまくるオレの後ろから…





「ホント、綺麗ですね。」


ふわりと王子様みたいな笑顔を湛え、ついて来るのは…オレの恋人である愛しの昴クンだ。


男前ってどうしてこうも海が似合うかな~。

今日の昴クン、いつもよりキラキラして見えるよ…。







「せっかく旅館が海の近くなのにな~。兄ちゃん達も来れば良かったんだよ。」


忍サンのご両親が経営する旅館から借りたビーチパラソルを立てながら。オレはつまんないとぼやいて、唇を尖らせる。






「仕方ないですよ。遥サン、朝早くからずっとひとりで運転してくれたんですから。」


ふてくされるオレに、昴クンは苦笑で返す。

見た目不良サンなのに、相変わらずイイコだなぁ…。







兄ちゃんは運転で疲れたと言い張って、結局は旅館に籠もってしまい。必然的にお兄ちゃんに懐いている晃亮クンもまた、一緒にお留守番する事になった。



だからオレと昴クンのふたりで、海まで来たんだけど…。








「俺とふたりっきりじゃあ、嫌ですか…?」


寂しげな表情で問う昴クンに、ドキリと胸が高鳴る。

昴クンてこういう儚げな顔すると、妙に色気が倍増しちゃうから…


トコトン弱いんだよね~オレ…。それに…






「ッ…そんなワケ無いでしょっ…」


慌てて訂正すると、昴クンは安心したように。

オレの頭をふわりと撫でて微笑むと。






「なら、たくさん楽しみましょうね…ふたりで。」


語尾を強調してうっとりと囁くものだから…

オレは顔を火照らせながら、ウンと何度も頷いた。








「ふはぁ~…1年振りの海はさすがにキツいなぁ~。」


ひと泳ぎして、海水を含んだTシャツを絞りながら。パラソルの下に腰を下ろす。





「俺、飲み物買って来ます。円サンは炭酸ですよね?」


ウンと返事して海の家がある方へと向かった昴クンに、オレは手を振って見送った。



ペッタリと身体に纏わりつく山吹色のTシャツが、水を吸ってかなり重たかったけれど。


ちょっと脱ぐわけには、いかないんだよね…コレ。





出発前夜、旅支度しながら宿泊先に海水浴場があると聞いて。オレはウキウキしながら、水着を用意してたんだけど…

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る