第12話 僕はきっと救えない

「聞こえますか」

と緊迫した女性の声とともに、ガラガラと何かものを運ぶような音とコンコンという靴の音が聞こえる。


私は目を開けようと試みるが、広がる暗闇に光が差すことはない。

おかしいな。


次は、声を発しようと試みる。しかし、どれだけ力を入れても音が出ることがない。いや

、力が全く入らない。


そして、僕を乗せた荷台は目的地についたようで止まった。すると、見えていた暗闇が少しだけ明るなり、暗黒が月に照らされた空ぐらいにはなった。


朦朧とする意識の中で、僕は横になっているにも関わらず、無重力の中を浮遊しているような感覚に襲われた。でも、それは、とても心地よくて、次第に、その感覚以外に何も感じなくなっていった。




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